はてさて、その後の話だけど。
渡す予定の金額を見て目の色を変えたダミ子さんが「私も参加してもいいですかぁ?」と言い出したため、同年代に集るなよと思いつつ参加を認めた結果、なんか意外といい勝負になったり。
私もやるのですか?……と微妙な顔をしたDMさんとスタンドさんの二人組が、どことなく
はたまた、MODさんがブロックに変身して場を誤魔化したりしつつ、時間は過ぎ去って行くのだった。
「……途中経過にツッコミ処が多いんだけど?」
「ダミ子は単に金に目が眩んだだけ。DM達は普通にお兄さんとタメをはるレベルで、落ちものゲーがヘタクソだった。そしてMODはそんなDM達の試合内容を見て試合放棄。何か問題あった?」
「問題しかなくないかなぁそれ???」
後ろでは、先の三(+一)人の試合展開について、TASさんとCHEATちゃんが話し合ったりしていたが……うん、下手に上手い相手とやるより白熱してた気がするのは勘違いではあるまい。
実力の近い相手の方が一進一退を生み、結果として盛り上がりを作る結果になる……ということなのだろうが、それにしてはTASさんの視線が生暖かいというか?
……あれだ、成猫の喧嘩は心臓に悪いが、子猫の喧嘩は微笑ましい……みたいなのと同じ空気を感じるというか。
いやまぁ、TASさんから見たらみんな子猫みたいなもん、というのは何の間違いでもないとは思うんだけども。
「今回は失敗した。意外とみんな落ちものゲーに自信がなかったから、挑んでくる相手も少ないし。仮に勝負になっても、私の介入ポイントが少なすぎた」
「それはつまり、ヘタクソ過ぎて……ってこと?」
「うん(即答)」
「あんまりですぅ……」
『ヘタクソ云々の前に、ルールがわからんかったのでどうしようもない』
「うーんこの」
結局まともな勝負になったのは前半二回のみ、ということか。
そんな感じに残念そうな気配を漂わせるTASさんだが……勘違いしてはいけない。
これは単なるアピールであり、チラチラと視線を(他に気付かれないような間隔で)向けている相手がいるのだ。
ゲームの形式上本気を出しきれないAUTOさんと、ゲーム機本体への干渉を嫌がるCHEATちゃん。
そんな二人に対してただ一人、この場で特に問題なく全力を出せ──恐らく、今回の試合形式に唯一対応できる存在。
TASさんから熱いラブコールを受け続けるROUTEさんは、心底面倒臭そうな顔で画面を見続けていたのだった。
……関係ない・興味ないフリしてますけど、そろそろ諦めて貰えませんかね?TASさんの機嫌的に。
「……なんで俺がこんなことを」
「言外に禁煙をちらつかされたからですかね?」
「…………(なんでわかるんだこいつ、という顔)」
はてさて、渋面を作りながらコントローラーを握るROUTEさんだが、参加する気ゼロだった彼女がこうしてここに座ったのには理由がある。
それはズバリ、認知外でTASさんに脅されたから。
顔色を読み取った限り……恐らく「あーROUTEが遊んでくれないなー酷いなーでも私は優しいので貴方の健康を考えた一年の
ストレス解消にタバコを吸う、というのは喫煙者に共通のルーティーンだが、ある種望まぬままここに居続けている彼女にとって一日の終わりの喫煙タイムはまさに心のオアシス。
そこを潰すと暗に言われれば、さしものROUTEさんも誘いに乗るしかないって寸法である。
汚いなTAS、流石TAS汚い。
「……(んなこと考えてると後でキレられても知らねぇぞ、という顔)」
「(そもそも全部筒抜けですよ、という顔)」
「!?」
(もうちょっと観察したらこの方法も真似できそう。だからROUTEには頑張って貰いたい)
(マジか……)
……うん、TASさんが他人に強い興味を抱く時って、基本的にその相手が自身の成長の糧になってくれる相手だから、って部分が強いんだよね。
無論、基本的に無辜の人々を傷付けようみたいな感覚は(積極的には)持ってないので、
また、一度糧になった後は見捨てる、みたいなこともしない。
後に成長し、彼女を刮目させるような新しい可能性を見出だすこともあるので、アフターケアもバッチリなのだ。
……いやまぁ、そんな打算めいたことを考えながら接しているわけではないだろうが。
ともかく、今現在特に注目しているのが隠しキャラでありTASさんと同じ未来視能力者であるROUTEさん、ということは間違いあるまい。
ゆえに、その本領を見る時を今か今かと待ち続けていただろうこともまた想像に難くなく、ゆえに端からROUTEさんに
──なお、ROUTEさんはそれを悟って凄まじく苦い顔をしていた。強く生きて下さい……。