はてさて、唐突にかつあげでもされるのかと思ったが、どうやらそういうことではないらしい。
「ROUTEさんの外出についてこいと?」
「まぁ、テメェだけってわけでもないんだが……とりあえずテメェが来ないと話にならねぇと言うか……」
「どういうことなの……」
三が日に彼女が獲得したお年玉──外出許可証の使用の際に俺にも同行して欲しい……というその願いは、正直なところよくわからない、というのが本音であった。
いやだって、ねぇ?
正直な話、彼女のプライベートに俺がついていく理由が一欠片たりとも思い付かないんだもの。
その辺りは彼女自身もわかっている様子だったので、何か別の理由があってのことなのだろうと思うのだけれど……。
「それについては私が解説する」<ニュッ
「うおわっ!?テメェどっから出てきてやがるっ!?」
「どこって……背後から?」
「妖怪かなんかかテメェは!?」
……好きだねその転移の仕方。
ってなわけで、唐突にROUTEさんの背後から現れたTASさんが解説をしてくれるとのことで、彼女の言葉に耳を傾けることに。
その解説によれば、どうやら今回のこれはある種の隠しイベントに相当する、とのことであった。
「まぁ、ROUTE自体が隠しキャラなんだから、それに関するイベントも隠しになるってのは当たり前なんだけど」
「そりゃそうだ。……んで?今回の目的地はどこなんだ?」
「彼女の地元」
「……ゑ?」
「生まれ故郷、と言ってもいい。いわゆる
「行きたくはねぇんだけどな……」
そうして語られた目的地、ROUTEさんの生まれ故郷。
……苦い顔をしている辺り、本当は彼女が向かう予定の場所ではなかったのだろう。
少なくとも、期限無しの外出許可証が入手出来てたらそのまま帰らないつもりだった、とかありそうだし。
などと考えていたら、またもやROUTEさんが苦い顔をしていた。
多分思考を読むんじゃねぇ、みたいなことを考えているのだろうが、それを言うのならそっちも読むんじゃないよ、としか言いようがないというか。
……うん、不毛だからこの話止めよっか!
「で、目的地はわかったけどなんで俺まで同行する必要が?」
「…………だから」
「はい?」
話題を戻して、なんで俺がROUTEさんの里帰りに同行する必要があるのか?
……というところを問い掛けたところ、ふいっとそっぽを向くROUTEさんである。
珍しい反応に思わず呆気に取られるが、小さく呟いた言葉が聞き取れなかったため再度尋ね直す俺。
そんなこちらの態度を受けて、彼女はバッとこちらに向き直って大声を投げつけて来たのだった。
「
「……はい?つがい???」
「えーとつまり?ROUTEさんの家系は未来視系の技能者が生まれる血筋で?それの保全のために跡取りを早々に作ることが求められるけど、その一族最高峰の能力を持って生まれたROUTEさんはそういう風潮に反発して逃げるように飛び出して来た、と?」
「その癖、向こうには居場所を突き止められて『子供、ないし番を作るまで里の土は踏ませない』的なことを言われてるってんだから笑い話以外の何物でもねぇだろうがよ……」
「ウケる」<ドッ
「…………っ!(本当に笑ってんじゃねぇよ、という表情で殴り掛かるROUTE)」
顔真っ赤にして殴り掛かるROUTEさんとかレアショットでは?
いやまぁ、TASさんは自分が悪いとか関係なく普通に避けてたわけだけど。
……まぁ、ROUTEさんも本気で殴りに行ってたわけでもないし、単なるじゃれあいの延長線上でしかないんだろうが。
ともあれ、ROUTEさんから詳しい話を聞いたところ、わかったことは次の通り。
彼女はどうやら日本生まれではないらしく、とある国の奥地にある少数民族の出身、ということになるらしい。
その民族は血筋的に予言能力などの未来視系統の能力に目覚める者が多く、それによって権力者に取り入って繁栄を繋いでいる……などということはなく、自身の出身地から一切出てこないのだそうだ。
理由は単純、自分達のような技能は世を乱すだけと悟っているから。
……ただまぁ、そういう縛りを設けている一族にはよくある話──若い者はそういう掟に反発する、というお決まりのそれにより、ROUTEさんはその場所を飛び出したのだとか。
まぁ、それだけが理由ってわけではないのは、先程の話からも認知できるわけだが。
……積極的に取り入ることはしないし、金を積まれても頷くことはないが、必要な時に必要な助言はするそうで、その立場?を守るために血筋を繋ぐことには積極的、らしい。
正直よくわからんが、その流れでROUTEさんも跡取りをちゃんと作るように、と逃げたあとも言い含められているそうだ。
で、今回一所に留まり過ぎた結果、再びその催促が飛んできたらしい。
無視すると酷いことになるので対応する必要があるが、そのためには番……雑に言うと彼氏を連れていかないといけないらしい。
その彼氏役として俺の同行を求めている、というのが今回の話の真相ということになるようだ。
……うん、率直な感想を一ついいかな?
「偽物だってすぐバレないそれ?」
「いいんだよ口実でしかねーんだし。……ババアに何言われても笑ってごまかしゃいいから」
「それでいいのか……」
……だったらMODさんとかにやって貰うんでもいいんじゃないのか、と思わないでもない俺である。