うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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世界観的にそういうのもありなのかもしれない

「遠路はるばるよくぞ御出下さった。私はこの里の長ですじゃ」

「はぁ、これはご丁寧に……ってあれ?」

「言語はそちらに合わせておりまする。多少拙いやもしぬが、そこは多めに見てくだされ」

(……変に畏まってるのはそのせい、なのかなぁ?)

 

 

 はてさて、あの後周囲の森から出てきた人達に連れられ、集落の奥へと足を踏み入れた俺達。

 そこでこちらを出迎えてくれたのは、物腰の柔らかな老婆であった。

 

 ……なお、ROUTEさんは途中で他の人に取っ捕まって別所に連れていかれました。

 ついでに言うとスタンドさんはいつの間にか姿を消しており、脳内に(わし)の ことは いないものとして うごけ』なる伝言を残していたりします。……隠れて動く、みたいな話なのだろうか?

 

 まぁともかく、そんなわけでこの場にいるのは俺とTASさんの二人と、それに向かい合うように座る老婆のみ。

 なのでまぁ、微妙に居心地が悪い状態で座ってたりする俺であった。

 いやだって、ねぇ?一応は彼氏扱いとしてここにいるはずなのに、(向こうからすると)謎の女の子引き連れてるわけだから。

 

 

(……最悪連れ子とか思われてるかも知れん)

(なるほど。パパって呼べばいい?)

(止めて、何故かはわからんけど死にたくなってくる……)

(そんなに嫌がらなくても……)

 

 

 いや、嫌がるというか子持ちに見えるほど老けてるのか、みたいな気分になってくるというか……。

 とはいえそれ以外に説明しようとすると、そもそも俺とTASさんとの関係が言い表し辛いという何とも言えない壁にぶち当たるわけで。

 

 うちの親には妹とかそういう感じに扱われているけど、ここでも同じように紹介するのはなんか違うなぁというか。

 ……いやまぁ、妹が彼女に懐いてるんです、という言い訳そのものはわりとありだとは思うのだが。

 

 

(……ただ、なんとなくだけどこの場でその説明は死亡フラグのような気がするんだよなぁ)

(やっぱりお兄さんは鋭い)

(だよねー!?)

 

 

 ……うん、なんと言えばいいのか……。

 こう、下手なことを言うとこっちの首が折られそう感がする、というか。

 確かここの人達はROUTEさんほどではないにしろ未来視系技能持ちとのことだったので、適当な嘘を付くことでそこから芋づる式にあれこれバレて排除される……みたいなことがあるのかもしれない。

 

 まぁ、だとすると確かにROUTEさんには及ばないんだなぁ、というのも納得してしまうのだが。

 つまり、決定的な一言をこちらが述べるまで、向こう側は真偽を判定できないってことだし。

 

 

(ROUTE相手なら秒でバレる)

(確かに。選択肢型だから余計のことだよねぇ)

 

 

 これがROUTEさん相手だったら、真っ先に俺は首を折られていただろう。

 そういう意味では、ここのレベルが低くてよかったと不謹慎なことを思ってしまっても仕方ないというか。

 

 ……とまぁ、そんなことをあれこれ脳内で考えているうちに、どうにか落ち着いてきた俺である。

 それを見計らったというわけではないのだろうが、長老さんが静かに口を開く。

 

 

「あやつは今召し変え中でしてな。後で向かわせますので、一先ず今日のところは寝床に案内したいのですが」

「ああ、それは助かります。何せ飛んできましたので」

「……ははは。婿殿は冗談がお上手ですな」

「ははは」

 

 

 本当なんだけどなぁ……。

 とはいえその笑い方からするに、俺達が飛んできたことを認識はしていないらしい。

 TASさんの作戦勝ちというわけだが……いや、勝ったら何かあるのかなこれ?

 

 そんなことを思いながら、俺とTASさんは立ち上がって外に出て、そこに待機していた案内役の人に今日の寝床へと案内して貰うことにしたのだった──。

 

 

 

・A・

 

 

 

「で、しばらく待ってたら部屋に入ってきたのがこの姿のROUTEさんだったと」

「   」<プシュー

『見事に真っ赤だのぅこやつ……』

 

 

 はてさて、そこから数時間後。

 周囲はすっかり暗くなり、部屋の中を照らすのはか細いろうそくの火だけ……みたいな状況の中、暇を持て余して(現在別室にいるはずの)TASさんとババ抜きをしていた俺は、そこで扉が開く音を聞き……。

 するりと(ぎこちなく)部屋の中に入ってきたROUTEさんの行動とその姿に、思わず呆気に取られていたのだった。

 ……で、そうこうしているうちにスタンドさんも俺の背後に戻ってきた、と。

 

 さて、何故俺が呆気に取られたのかというと。

 ……部屋の中に入ってきたROUTEさんは、普段の姿が嘘のように着飾っていたのである。

 百人が見れば百人が美しい、って言い出しそうなほどに。

 

 ……これはあれじゃな、夜伽しろとかいう長老さんからの遠回しな催促じゃな?(訝しむ顔)

 なんて風に茶化したら、真っ赤になって俯いてしまったROUTEさんである。……誰これ?

 

 

「~~~~!!~~~~っ!!!」

「あいでででで、チョークスリーパーは止めてでででで」

「それは流石に怒られても仕方ない」

 

 

 いやだって、どう考えてもなんか隠し事してるのを気付かれないように誘導してるというか、そのために利用されてるの見え見えだし……。

 そこまでわかってるのかよ、みたいな顔のROUTEさんだが、そりゃまぁ俺がそんないきなりモテるとかあり得んので仕方ない。自分で言ってて哀しくなるが。

 

 ……とはいえまぁ、そもそも彼氏連れて帰ってこい、みたいな話だったのだからこういう展開はある意味予想通りであり、それが目眩ましというのはよくわからん……みたいな話もわかるので。

 

 

「で、何か見付かった?こんなことになってる理由」

『暫し待て。TASが今認識偽装を仕掛けておる』

 

 

 姿を隠し、この里の中を確認してきたであろうスタンドさんに対し、そうして見聞きしたであろうことを確認するために声をあげたのだった。

 

 

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