「──無論、ゲームオーバーなのはそっちの方」
「……バカな」
はてさて、突然の発光、突然の衝撃、突然の死……みたいな状況から見事生存できました今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?
私めはご覧の通り、TASさんに襟首を捕まれた状態で座り込んでおります。腰が抜けた、とも言う。
いや、そりゃ抜けるでしょうよ腰くらい。
今回ばかりはマジに死んだと思ったもん俺。
目の前がパーっと明るくなって、なんかあからさまに暖かくなってきて。
……あ、やべ死んだ。
そんな間抜けな感想が脳裏を過った途端、先程までの勢いなど序章でしかなかったとばかりにさらに強い光と、焼けるような熱。
これで死なないのなら何で死ぬのか、みたいな衝撃とエネルギーの奔流。
思わず、それらが収まったあと自身の顔とか体とか撫で回してしまったもの。
『……お?生きておる?
「まぁ、意識があるってんなら生きてるってことでいいんじゃねぇのか?……にしても、幾らなんでも無茶苦茶だろTAS」
「そう?このルートじゃないとあと二ヶ月ほど掛かってたけど」
「……前言撤回、よくやったTAS」
他の面々も、自身が無事にこの大地に立っていることに感謝している始末。
……いや、ROUTEさんだけは少し見ている部分が違う気もするが……ともかく、俺達は全員五体満足の姿でこの場に揃っていた、というわけである。
で、それと同時に先程まで周囲を包んでいた暗闇も消え去ってしまっている。
爆風と共に吹っ飛んだ、ということなのだろうが……それにしては、周囲が明るくなった以外の変化がない。
恐らく、TASさんが何かをやって被害を抑えた、ということなのだろうが……。
「ん。答えはとても簡単。ロムの半差しした」
「なんて?」
「ロムの半差し」
「聞き間違いじゃなかった!?」
TASさんから返ってきた言葉に、思わず聞き返してしまう俺である。
……いや半差しって。それあれでしょ、昔のゲーム機は作りの問題上意外と適当な扱いをしても動いたせいで、結果として変なバグを生む温床になってたとかなんとかみたいなあれ。
いやまぁ、そんな限定的な状況を制作者のせいみたいに言うのは大概あれだけども。
「いやツッコむとこそこじゃないよ多分!?ロムって何さ!?」
「……?
「概念の説明をしろとは言ってないんだけどぉ!?」
そうして唸る俺に、どこからかツッコミの言葉が飛んでくる。
なんとなく年若い女の子みたいな声色のそれは、俺にツッコんだ後にTASさんにも同じ事をしていくが……結果として撃沈された。
TASさんに説明しろ、なんて言ったところで解説してくれるわけがないんだよなぁ……。
『仕方がないの、
(なんで生首に?)
(右枠……?)
ぎゃんぎゃん喚き始めた声の主だが、TASさんは首を傾げて不思議そうな顔。
……今ので説明は終わりだけど?とでも言いたげな彼女の様子に、ハァとため息を吐いて解説を買って出たのはスタンドさんである。
何故か生首になってたけど……あれか?解説するからってことなのか?
……などという微妙に関係のないことを脳裏で思考しつつ、彼女の解説に任せる俺であった。
『小難しいこと言っておるが、結局答えとしては単純。主の攻撃のタイミングでエフェクトの当たり判定を消した、というだけのことよ』
「……えふぇくとのあたりはんていをけした?」
『うむ。ロムの半差し……この場合はここら一帯の物理法則とでも言うが、それを機能不全にすることで主の攻撃を回避した……というわけだな』
「……??、?????」
相手の声から、隠しきれないほどの困惑が伝わってくる。
まぁ、気持ちはわかる。スタンドさんが分かりやすく説明したのは確かだが、だからといってそうして説明された方が本当にわかりやすいのか?……みたいな話はまた別枠なわけだし。
寧ろ、下手にこっちにわかる単語が並ぶせいで余計に困惑が強くなる、というか。
一応、補足しておくとすれば『半差し』とは言うものの、具体的に何か実体のあるものモノを半分差した状態にした、というわけではない。
結果として現象の説明に最適だったというだけで、恐らくTASさんのやったことはスプライトオーバーからの処理遅延……とか、そういう系統だと思われる。
「すぷらいとおーばー?しょりちえん……???」
「おいこら、テメェが余計なこと呟くもんだから話が完全に止まっちまったじゃねぇか」
「おおっと、それは失敬」
……なお、俺の現状把握が口に出ていたせいで、黒幕らしき人物の思考が更なる泥沼に突っ込んだようだが……断じて俺が悪いわけではない。
全部TASさんのせいである。多分。