うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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良いも悪いも一纏め

「……どうやら悪は去ったようだ。ならば私も去らねばなるまい」

「おっと、ちょっと待つんだダサお面」

「……君は、さっきのあれこれで懲りなかったのかい?」

「なにを言う、俺はモノをハッキリ言っただけだぜ?」

「ねぇ君たち?この人の保護者かなにかだろう??ちゃんと言って聞かせておいて貰えないかな???」

「言って聞くのならTASはいらない」

「正しさで全てが変えられるのなら、AUTOなんて必要ありませんわ」

「書き換える先がないなら、CHEATも無用の産物かな、って……」

「おいこらお前ら、なに上手いこと言ったみたいな空気を醸し出してんだマジで」

 

 

 なにも上手くないぞマジで。

 ……ともあれ、自分の仕事は済んだ、とばかりにここを去ろうとするお面の人を呼び止めた俺達。

 件の相手は、お面が砕けたままのため、いわゆる『マスク割れ』みたいなことになっているのだが……いや、その特撮組に大ウケしそうなビジュアルでさえ、どことなくダサさが滲み出るのは如何なものだろうか?

 

 ……って、そうじゃなくて。

 別に俺はこの人に喧嘩を売りたいわけではなく、単にちょっとお話を聞きたいだけであってだね?

 

 

「……話?私に?」

「あーうん。TASさん……彼女が言うには、この世界は『中二病的能力バトル』が勃発している世界らしくてだね?」

 

 

 まぁ、俺の周辺にはゲーム用語に例えられるような感じの人しか現れないわけだが。……その辺りはそもそもTASさんが乱数調整で弾いている、って風に聞いているのでよっぽど危ねーやつらばっかりなんだろうなー、みたいな気持ちもなくはないのだが。

 いやだって、ねぇ?人のこと虚弱体質と勘違いしているTASさんが会わせたがらない……ってことは、そいつら多分やベーくらいに好戦的、ってことだと思うわけで。

 

 

「……ねぇ?なんでこの人その辺りを考慮できるのに、わざわざ私のセンスに疑問を投げ掛けて(喧嘩を吹っ掛けて)くるんだい?」

「わかってるから、逆に近くに居られる人にはこれくらいやっても怒られない、って認識してる」

「質悪っ!?この人思っていた以上に質が悪いぞ!?」

「だまらっしゃい」

 

 

 ……まぁ要するに、さっきみたいなやり取りをするとまず間違いなく俺の首が飛ぶのだろうなぁ、というか。

 首が飛ぶ程度のことで俺の口が止まる訳もないので、TASさんが『アカン』というのも仕方ないかなー、と思う俺なのでした。

 なお、他のみんなからの反応は「なんでそこに命賭けてるの」でした。……性分だから仕方ないね。

 

 

 

・∀・

 

 

 

「あーなるほど、わかったぞ。この人がこんな感じだから、君達はこうしてつるんでいるのだね?」

「言い方は悪いけど、そう間違いでもない」

「俺、まさかの一昔前に流行った守られ系男主人公だった!?」

「守られ……なんです?」

「男主人公が弱いタイプのやつです……最近のスマホゲームの主人公なんかは、わりと戦闘能力がないって人も多いのでその系統に含まれますね」

「なる……ほど?」

 

 

 さて、あれこれと会話した結果、どうやら俺がいわゆる指揮官とかの類いだった、ということが判明したわけだが。

 

 正直、この子達の指示とか無理だと思うんですよね、俺。……いやまぁ、個性の坩堝みたいな最近のソシャゲキャラ達に比べれば薄味かもしれんけども。

 こう、キャロライナ・リーパーがブート・ジョロキアに変わったところで、どっちにしろ普通の人に食べさせられるもんじゃない……みたいな?

 

 

「酷い言われよう。これはもうお兄さんを山葵まみれにするしかない」

「辛さで例えたからって、辛さで報復しようとするのやめない?」

「……いえその、話がずれているのでは?」

「おおっと」

 

 

 AUTOさんからのツッコミにより、当初の目的を思い出した俺。

 ……そうだったそうだった。俺はあることを尋ねるために、この人を呼び止めたのだった。

 まぁ、大した疑問ではないし、一言尋ねればそれで済むので、わりと会話としての優先順位が低かったわけだけど。

 

 

「それで脱線し続けたんじゃ本末転倒」

「転げまくってもゴールすれば勝ちじゃね?」

「詭弁ですわね。……で?結局貴方様は、一体なにをお尋ねになろうと?」

「それはだなー……って、ん?」

 

 

 みんなにあれこれとツッコミを入れられ、ようやく本題に回帰しようとした俺。

 ……だったのだが。この会話に参加してなかった唯一の存在・CHEATちゃんとなにやら盛り上がっていたらしいお面の人は、突然バッとこちらを振り返ったかと思えば、なにやら『やれやれ、仕方ないなぁ』みたいな謎の空気を醸し出しながら、こちらにこう宣言するのだった。

 

 

「──仕方あるまい!君のような人間には、確かに私達のような力が必要だろう!いいだろう、我が名はMOD!この力、存分に奮うがいい!」

「……尋ねることなくなっちゃった」

「よかったね、お兄さん」

 

 

 なにもよくないが?

 

 ……この人との邂逅を意図して引き寄せたわけではないだろう、とは言ったが。

 同時に、この邂逅を()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことを薄々察していた俺は。

 目の前のこの人が、多分電脳娘の新メンバーなのだろうなぁ、と半ば確信し。

 それを確認するための言葉を発しようとしていたことを、こうして出鼻を挫かれ、微妙な気分に浸ることとなるのであった。……変な人達全部俺の担当にしようとするのやめない?

 

 

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