「……で、結局その後どうなったんだい?」
「妹さんと神様は元々同一存在なので、TASさんがあれやこれやして元に戻して終わり……みたいな?いやまぁ、その『あれやこれや』も長いといえば長かったんだけど、それを話すとさらにややこしくなるので……」
「ああうん、聞いた私が悪かったよ。この場合は『めでたしめでたし』で済ませろ、ってことだね?」
「そういうことです」
理解が早くて助かります。
……というわけで、日本に戻ってきた俺達は正月明けをゆったり過ごしていたのだが、その中でMODさんにこの前の外出の際のあれこれについて聞かれたため、蜜柑のあて程度にそれを話していた……というわけなのであった。
まぁ、ところどころ大分はしょって説明したので、多分よくわかってないポイントも多いとは思うのだけど。
「そもそもTAS君ってそういうものだからね」
「……なんてことを言われてしまうと、こっちとしても頷かざるを得ないのです、はい」
まぁ、いつものTASさんだった、ということで……。
そんなわけで、久しぶりに日本に帰って来たわけなのだけれど。
ここ数日は特に問題らしい問題が起きることもなく、平和な一日を過ごしていたのだった。
理由は幾つかあるだろうが……TASさんが休んでいるから、というところが大きいように思われる。
「色々飛ばしたけど、フラグまで消えたわけじゃないから」
……なんてことを言っていたので、正確には休みというよりも色んな物事に対して整理の時間を設けた、みたいな感じの話のような気もするが。
ともかく、TASさんが家で(表面上)大人しくしている以上、トラブルらしいトラブルが起きることもなく、至って平穏な毎日を過ごしていた、というわけなのであった。
……うん、過去形なんですよねこれが。
「まさかAUTOさんがトラブルを持ってくるとは思わなかった」
「わ、私だって持ってこようと思って持ってきたわけではありませんのよ!?」
今回はとても珍しいことに、AUTOさんがトラブルを引き連れて来た形となっていた。
まぁ、流石にこの間のそれと比べれば規模は段違いだが……ともあれ彼女が問題を引き起こした、という状況自体が珍しいことに変わりはなく。
ゆえに、彼女は恥ずかしそうに顔を伏せていたわけなのであった。
……で、一体何が起きたのかを一言で説明すると。
「……なぁにこれ」
「その……ふと思い付いたことを試してしまった結果、と申しましょうか……あっ、お止めくださいまし!その『ええ、AUTOさんってば一体何を考えてるのさ……?』みたいなお顔を私に向けるのは!!」
「そうされるのは仕方ないと思うんだよなぁ」
いやだって、ねぇ?
まさか、DMさんにくっついて回るスタンドさんを見て、なんとなく羨ましい?みたいなことを思ってしまった結果、自分の後ろに背後霊がくっつくことになるとか。
……うん、後先考えてなさすぎでは?
違うんです違うんです、ふと思ったことが頭から離れず、しまいにはそのせいで『やれる』という確信が脳内を巡り、つい魔が差してしまっただけなんです……とAUTOさんは頭を振っているけど。
うん、その程度の思い付きで実際にやれてしまう辺りは流石AUTOさんだなぁ、というか?
「あああああああああああ……」
「滅茶苦茶恥ずかしがってる……ところで、この後ろの人全く喋りも動きもしないけどどういうあれなの?」
「さぁ……?スタンドさんを参考にした、っていうなら自律行動して然るべきなんだけど、そういう気配は全くしないねぇ」
顔を真っ赤にして机に伏せてしまったAUTOさんは一先ず置いとくとして。
彼女の背後──大体右斜め後ろ辺りにいる、半透明の存在に目を向ける俺とCHEATちゃん。
見た感じ、造形はまんまAUTOさんそのもの、ってかんじのそいつは特に何かをすることもなく、無言でそこに佇んでいる。
硬く結ばれた唇、遠くを見る眼差し。
……それらは、かつての?凛々しいAUTOさんを想起させるに相応しい……いや、AUTOさんって凛々しい系ではなかったような?
本人に聞かれれば抗議されそうなことを考えつつ、まじまじと後ろの人を確認する俺達。
されてる側は全く反応を見せず、これじゃあ分身って言うよりは複製とかその辺りだよなぁ、なんて感想を抱き始めた辺りで……。
「そうだお兄さん、忠告しておくことがあ……あ」
「おっとTASさん。その様子だと
自室から出てきたTASさんが、こちらに声を投げながら居間に入ってくる。
……そして、机に突っ伏すAUTOさんとその背後の半透明AUTOさんを見て、綺麗に固まった。
直前の言葉の内容からすると、こうなる前に何か言っておきたかった……みたいな話だろうか?
そうお気楽な思考をする俺に対し、近寄ってきたTASさんは次のように返したのだった。
「お兄さんの冒険はここで終了です。あーあ」
「なんで!?!?」
……何故唐突に俺の命の危機!?