うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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これはひどい(顔を覆う少女一人)

 はてさて、AUTOさんが諸々の事情で自主隔離、みたいなことをしだしてから早三日。

 

 ……さらっと三日が経過したわけだが、特に事態が解決する気配が感じられたりはしなかったり。なんでかって?

 

 

「貴方様、おかわりを所望します」

「ああ、はい……」

 

 

 イツーモさんの方が、ずっとうちに入り浸ってるからだよ!!

 ……いや、真面目になんでこうなった???

 

 現在イツーモさんは、何かをねだるように両手を広げてこちらに主張をしている。

 ……おかわり、という言葉に食事を求めているように聞こえるだろうが、前回も言ったように彼女は食事をしない(できない)ので実態は違う。

 

 では何を求めているのか、というと。

 

 

「……よっ、AUTOさん日本一。並ぶもののない美少女、誰もが思わず見とれてしまう美人~」

「……ええ、ええ。貴方様からの褒め言葉は幾つ受け取っても良いものですわね……」

 

 

 まさしくうっとり、といった感じで俺の言葉を受け取るイツーモさん。

 ……うん、彼女が求めていたのは俺からの褒め言葉、だったのであった。いやなんで?

 

 

「最近あんまり構ってあげてなかった。ゆえに褒めてほしくなった……とか?」

「いや犬猫じゃねーんだから……」

 

 

 そんな俺達の横で、我関せずとばかりに本を読んでいたTASさんが茶々を入れてくる。

 ……うん、解決のために動くとかなんとか、そういうあれは無いのかと尋ねてみたところ「なるようにしかならない」と無残にも切って捨てられたこの状況、はたしてどうしてくれたものか。

 

 というかだ、このままイツーモさんの求めるままに褒め言葉を投げ掛けていいものか。

 彼女はAUTOさんの潜在的な欲望で動いている、とかなんとか言ってたが……そんなもの満たしっぱなしにするのよくないんじゃないか、というか。

 

 

「何故です?私はとても満足していますが」

「潜在的な欲なんだろ?だったらこう、それが大っぴらに外に出てて勝手に満足してる……ってのは、噴飯もの以外の何物でもないような気がするんだが?」

「?」

「いや、そこで不思議そうに首を傾げられても……」

 

 

 まぁそもそもの話、潜在意識のはずの彼女と普通に会話してる……というのが既に大問題のような気もするのだが。

 このままやり過ぎると多重人格として分裂しない?……みたいな感じというか。

 

 

「……ふむ。それは望むべくもないですね。別にトラブルを起こしたいわけでもないですし、そもそも彼女と私が完全に分離してしまってはそれこそ本末転倒です」

「だろう?だからこう、そろそろ自重してくれると助かるんだけど……」

「それとこれとは別です。もっと褒めて下さいまし」

「ダメだこりゃ」

 

 

 うーん、内面はこんなに甘えたがりの駄々っ子だった、ということだろうか?

 ……なにがあれって、こうして勝手に動いているイツーモさんの行動は、普通に本体であるAUTOさんに筒抜け……ってことなんだよなぁ、とため息を吐く俺である。

 これ、もうAUTOさんが顔を見せにここに来るのは不可能なのでは?

 

 

「……あー、それに関してはですわもごご」

「ん?なんでイツーモさんの口を塞いだのTASさん?」

「ここで彼女の口を塞ぐことで長ったらしいイベントを一つスキップできる」<ドヤッ

「はぁ……?」

 

 

 なんてことを思ってたら、唐突に読んでた本を放り投げながら割り込んでくるTASさんである。

 ……わりと余裕のない動きっぽいけど、そのタイミングじゃないとダメだったんです……?

 

 飛んできた本の背表紙の痕を擦りつつ、掴んだそれを本人に返す俺なのであった。

 

 

 

;・A・

 

 

 

「何故止めたのです?」

「流石にその場で世界崩壊級のあれこれが起こるのはNG」

「はぁ……いえ、正直もうリセットした方が早いと思うのですが?」

「そう?」

「ええ。ここまでやってこれなら、最早問題は別のところでしょう」

「むぅ……」

「そろそろループのタイミングなのでしょう?その前に少しちょっかいを……と思ったのですが、これでは彼女(わたし)も報われませんわね」

「報われたい、と思ってるかは知らない。でもみんなで当たる方がいいのかも、とはちょっと思ってる」

「……あの方、昔何かあったんですの?」

「知らない。知っててもそこに関してはスキップする」<キリッ

「私が言うのもなんですが……そこをスキップするからうまく行かないのでは……?」

「うまく行っても仕方ない、みたいな部分もある」

「……どうにも私が知らない事情があるようで。なんともままなりませんわねぇ」

「本当にそう」

「楽しそうなのはどうして、と聞いても?」

「楽しいから」

「答えになっていませんわよ……」

 

 

 

・A・

 

 

 

 そうして色々あった正月。

 結局AUTOさんは戻ってこないまま──俺達は、新たなるループへと突入したのだった。

 

 一月から四月までの三ヶ月間、その間に何が起こったのか?……という記憶の一切合切を喪失した状態で。

 

 

「また今回も繰り返してしまった……」

「それはいいんだけど、一月から三月までの間に何があったんだ……」

「……お兄さんのえっち」

「マジで何があったんだ……!?」

 

 

 いやからかわれてるだけなんだろうけどさぁ!?

 不穏なこと言うの止めようよマジで!!

 

 

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