「……新学期だねぇ」
「そうだね」
「春だねぇ」
「そうだね」
「一ついいかな」
「ん」
「……なんで俺、先生になってるの……???」
「ん。いい加減定職に就きたい、と言ってたからちょちょいと」
「どう考えてもそんな雑な理由でなれないしなっちゃいけない職業なんだよなぁ!?」
「え?」
「両手に教員免許とか関連資格全部用意するの止めない!?」
それあれでしょ、なんか裏技とか使って習得したやつでしょ!?
とまぁ、そんなわけで何の因果か教員になってしまった俺である。
無論、担当するのはTASさんが所属するクラス。
……滅茶苦茶恣意的運用されてる気がするのだが、問題はそこではない。
教員免許も持ってないようなアルバイターが唐突に教職台に立っている、ということの方が大問題である。
……え?TASさんのやることなのでいちいちツッコむ方があれ?それはそう。
まぁうん、来週辺りには「飽きた」とかなんとか言われていつの間にかクビになっている……という状況がありありと想像できるのもあって、ここで騒ぐ意味はほぼないかなーと思わないでもないのだが。
でも一つ、一つだけツッコミを入れさせて頂きたい。
「俺だけじゃ飽きたらず全部盛りになってるのはどういう了見で???」
「いちいちサイド変更みたいなことをするのが面倒臭かった。一纏めにしておけば全員描写できる」
「だからって限度があるだろうが……っ!!」
そう、このクラスには何故か俺以外にも、そもそも成人してるので関係ないはずのダミ子さんとROUTEさんの二人、それから学校と学年が違うので合流の可能性が無いはずのAUTOさんとCHEATちゃんの二人。
それから、そもそも実体がないので参加も何もないはずのスタンドさんと、こういう時基本的には留守番として家で家事を片付けているはずのDMさん。
最後に、最初からTASさんとは同級生であるMODさんの、総計九人が全員集合しているのである。……なんの嫌がらせかな?
このままでは、他の同級生達が完全にモブになってしまう……!!
「そう?結構特徴的な人いるけど」
「ほう、例えば?」
「そこで机に突っ伏して寝てる子。この子実は同人漫画家で昨日徹夜だったからこうして睡眠時間を捻出むぐ」
「止めよう!!人の趣味を赤裸々に無責任に暴くのは止めよう!!」
話題になってるせいで、耳たぶ真っ赤にして震えてるからその子!
この分だと自分がどういう作品を書いてるのかもバレてる……みたいな感じでプルプル震えてるから!!公開処刑以外の何物でもないわ!!
あまりに憐れなので、とりあえず話題にあげることを禁止する俺である。……少女よ、すまんなこんなクラスメイトで。
ともかく、TASさん的にはうちの面々以外にも目立つ人はいる、という認識らしい。
なので、俺達が揃って学校生活送っててもきっと埋没したりしない……と。
「それは別に褒められたことでもなんでもねーんじゃねぇのか……?」
「大丈夫大丈夫。二十○歳になって制服を着せられてる貴方とダミ子が隣にいても、しっかり目立てるような逸材達だから」
「それは買い被りっつーか喧嘩売ってるってことでいいんだよな?あ??」
「お、落ち着いてくださいROUTEさぁん!!それTASさんの思う壺!思う壺ですよぅ!!」
「ダミ子は二度めだから慣れたものらしい。ウケる」<ドッ
「止めてください、必死に目を向けないようにしてたんですよぉ!?!?」
まぁうん、本人達が言うように若い子に混じってる大人、という時点でかなりアレだとは思うが……見た目的にはまだイケる分いいんじゃないかなー、というか。
イケなきゃそもそも着せてない?それはごもっとも。
「困りましたねぇ、何故か私も巻き込まれていますし……」
『いつも通りであれば、今頃家で家事終わりのワイドショー閲覧の時間だものなぁ』
「お兄さんと一緒に、ですね」
「うん、それは確かに事実なんだけど今この場でそれを言うのは止めて欲しかったな?見てみなよ周囲の子達、さっきまでドン引きだったのになんかこう超興味津々でこっち見てるんだけど??同棲とか呟くの止めようね君達、俺捕まりたくないからマジで」
こっちでは、見た目ほぼTASさんと変わらないDMさんが問題発言。
……外見年齢CHEATちゃんと変わらない彼女達は、それと一緒に住んでいる……みたいな話を他所様に聞かれた時点で大問題確定というか。
明らかに血が繋がってないからねこの子達と俺!変な意味でしか取られないやつだよねこれ!!
いやまぁ、近所の人達ならもう少し踏み込んだ部分についても知ってるから、その辺り勘違いだってわかってくれるのだけど……。
この学校、微妙に俺達の家からは離れた位置にあるからなぁ……俺らの風評とか全く届いていないんだよなぁ……。
思わず頭を抱えてしまった俺を、誰が責められるのだろう?
そんなわけで、唐突に始まった学園生活。
波瀾万丈が待ち受けていること確定のこの生活を、無事乗りきることができるのか?
そんな、無謀な戦いが幕を開けた、ということを改めて悟った俺なのであった……。