うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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鍋は美味し夜は長し

 はてさて、鍋である。

 そして鍋と言えば、AUTOさんである。いやマジで。

 

 

「この私、鋼の鍋奉行であるAUTOの目が黒いうちは、好き勝手に好きなものだけ食べるなどという蛮行は許しません!」

「……ナント、これが日本が誇るナベ・ブギョー!初めて見マシタよ私!」

「これで見た目が普通に日本人(黒目黒髪)なら完璧なんですけどねぇ」

「一応日本生まれ日本育ちですからね私?!」

 

 

 うんまぁ、うちの面子でその辺りが怪しいの、ROUTEさんくらいのものってのは知ってるけども。

 でも髪色でキャラ判別を狙ってる可能性を……気にする必要性はないな!うん!……黒と金ばっかじゃねぇかうちの面子!

 

 

「あ、私は違うぞぅ?」

「貴方はそもそもその姿も数ある姿のうちの一つでしょうが」

「……しょぼーん」

 

 

 唯一茶髪であるMODさんが手を上げたが、そもそも彼女の容姿は自由自在。

 キャラ判別狙わずとも個性的……というか、本気出すとそもそも判別できなくなるでしょうがとツッコむとしょんぼりしていた。

 

 なお、たまたま合流してる二人──同人ちゃんと日本被れさんも、それぞれ黒と金の髪なので見た目のカラーリングだけで判別しようとすると酷い目に合うタイプである。

 まぁ、言動を聞いてりゃ幾らでも判別できるのだが。二人して他との被りが欠片もないし。

 

 

「とはいうけど、喋り口調で判別が困難……なんて、AUTOとDM、私とROUTEくらいのものじゃない?」

「最近のCHEATちゃんはわかりやすいけどね」

「……ふぅん?それはつまり私の個性が爆発「普通の女の子、って感じの喋り方になって寧ろ目立つようになったというか」ふざけんなぁ!!

「いでぇ!?」

「オー……私も大概デスけど、先生も大概デスねー」

 

 

 全く、CHEATちゃんはちょっといじったくらいで即死攻撃が飛んでくるから困る()。

 

 額に突き刺さった箸を抜いて傷跡を押さえていると、日本被れさんが感心したようにこちらを見つめてくる。

 ……そういえばこの人、自分で『不死身の』とかなんとか言ってたか。

 どっちかと言うとギャグっぽい空気感だったが、実際は普通に不死身だったりするのだろうか?

 

 ……え?そもそも不死身であることに疑問を持たないのかって?

 いやほら、今まで関わってきた面々が面々というか。

 そもそも前々からなんかそういう人智も及ばぬヤバイのが居る世界、みたいなことは所々明記されてたし。

 

 

「オヤ、こちらについてモ意外とご存じなヨウで」

「たまになんとかとかいう組織を潰してきた、みたいなことを俺に楽しそうに報告してくる人がいるので……」

「……?いえーいぴーすぴーす?」

 

 

 その筆頭にして多分現状一番ヤバイ人物であるTASさんはと言えば、自分が話題に上っていることに遅蒔きながら気付いたのか、よくわかってない顔でダブルピースをしていたのだった。

 

 

 

v・v・v

 

 

 

「……いやまさか、TASさんがダブルピースしたことで日経平均が爆上がりするとは思わなかった……」

「つい風を吹かせてしまった。反省してる」

「二千円以上上がってるんだけど……」

 

 

 たまたまテレビを付けたら大騒動になってた件について。

 ……自分の些細な行動が周囲に甚大な影響を与えるってのは、こういう時恐ろしいねんなって……。

 

 それはともかく、鍋の方はすっかり具材が少なくなって、今は締めの用意中。

 多数決を取ったところ雑炊がいい、という話になったのでそれ用にちょっと味を付けて米を煮込んでいる最中である。

 

 

「で、最後に溶き卵を満遍なく掛けてひと煮立ち……っと」

「オオー、とても美味しそうデース!」

「はいどうぞ、熱いから気を付けて」

「ふふん、そういうのハ得意なので御安心を、デース!」

「……?……ああ、不死身だから怪我とかしてもすぐ治る、みたいな?」

「そういうコトアツゥイ!!?

「だからって一切冷まさず口に入れるのはどうかと思うよ……」

 

 

 出来上がった雑炊を、希望した面々のお椀に(よそ)う俺。

 その内の一人、がっつり鍋も食べ続けていた日本被れさんは、雑炊にも物怖じせずトライ。

 ……結果、案の定舌を火傷していたのだった。まぁ、しばらくひーひー言ってたら治ったみたいだけど。

 

 

「しかしなるほど……超回復系だとすると、もしかしてあの落ちた時も穴の中でスプラッタなことになってたとか?」

「モー先生、そんなコト想像しちゃダメデスよー!エッチデスヘンタイデス!」

「……えっち?」

「エエ!生まれたての姿を想像するコトになりマスので!!」

「……いや、この場合想定されるのはぐちゃぐちゃのエグいやつでエロさとは無縁なのでは……?」

「ノー!人の裸体をエグいとか酷い先生デース!」

「ねぇTASさん、この人人の話聞いてくれないんだけどどうすればいいかな?」

「諦めれば?」

「嬉しくない即断即決!」

 

 

 なお、その過程で彼女の能力について考察していたところ、何故かいやんいやんと照れる日本被れさん、という意味不明な状況が成立することとなったが──雑炊を食べてるTASさんの反応は実に淡白であった。

 

 ……いやこれ、さっきの日本被れさんの早食いに対抗できないか考えてる顔だな……?

 危ないから止めなさい、君は普通に火傷するんだから。

 そうツッコミを入れれば、彼女は「流石にこのレギュレーションは諦める……」と残念そうにしていたのだった。

 滅茶苦茶悔しそう……。

 

 

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