うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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そういえばなんか話をしに来たんだっけ

 特に問題もなく次の日。

 朝食の準備と夕食の準備を平行してこなしつつ、起きてきた面々にタオルと歯ブラシを渡して洗面所に送り出す俺である。

 

 

「ここで歯ブラシを二つもって右に三回転すると歯磨きをスキップ……」

「ちゃんと磨かない人には朝御飯ありませんけど?」

「……ちゃんと磨く」

 

 

 なお、そこでもとかく色々省略しようとするTASさんがいるため、その行動に否を叩き付けつつさっさと準備をするよう促すのも忘れない。

 ……うん、やってることが完全に寮母さんとかその系統だなこれ?いやまぁ、俺は男なので寮夫、とでも呼ぶべきなのかもしれないが。

 

 

「?久しぶりに性転換する?」

「しないっていうか人の脳内を覗くなというか……」

 

 

 こちらに振り返り、不思議そうに首を捻るTASさん。

 ナチュラルに思考を読むのは止めて欲し……いやしないって言ったじゃん俺?!

 

 

 

 

 

 

「……what's?先生何かおかしくないデスか???」

「そんな微妙な反応するような変化じゃないというか、そもそも俺だと判別できるんだね君……」

 

 

 面影が残ってる……なんてことはほぼないと思うんだが。

 なんてことを問い掛ければ、日本被れさんからは『性別変化くらいならよく見るやつデスから』みたいな感じの反応を頂くこととなった。

 ……それはそれで、今の何に驚いたんだ感がなくない?

 

 

「それはデスね、今日の先生昨日より可愛いお召し物を着ていらっしゃるノデ」

「……俺の趣味ではないんだけどな」

「なるほど、納得デース」

 

 

 ……うん、どうやら性別が変化したところで趣味は変わらないのでは?というようなことを疑問に思っていたらしい。

 あれだ、普通ならスカートじゃなくてパンツルックになるのでは、みたいな?

 

 それはまさにその通りで、俺も唐突に変化させられたタイミングでは普通にスーツを着ようと思っていたのだ。

 それをDMさんが面白がってスカートの方を渡してきた上、それ以外は着させませんよと強権を発動してきたものだから……。

 

 

「……何故そこでDMさんが?」

「事前にスーツの類い全部クリーニングに出されてた」

「完全にグル!」

 

 

 昨日着てた奴を洗いに出して、今日は別のを着ようとしてたらこれである。

 ……うん、事前に打合せしてた様子はなかったんだけどあの二人だからなぁ……。

 

 まぁそんなわけで、どこからか彼女が持ってきたスカートタイプのスーツを着る羽目になった、と。

 はぁ、とため息を吐きながら下手人──朝食の味噌汁などを運んできているDMさんに視線を送る。

 彼女はこちらの視線に気付いたのち、「何か?」とでも言うかのように首を傾げていたが……うん、そんなんじゃ誤魔化されないからなこっちは。

 

 

「なるほど。それでは仕方ありません、今日の夜は怒られないように何処かに逃げておくことに致しますね」

「止めない?物理的に反対意見を封殺しようとするの止めない???」

「……何でこれガ脅しとして成立してるノデス?」

「ご自分で仰っていたでしょう?寮母みたい……と。DMさんはここでは副寮母のようなものでもありますので……」

「ナルホド、仕事押し付け宣言デシタか」

 

 

 ええい、外野ようるさいぞ。誰がよわよわ寮母じゃい。

 

 ……ともかく、DMさんが手伝ってくれないとこの寮()が回らない、というのは本当の話。

 そのため、彼女の主張はできる限り叶えなければならない弱い俺、なのであった。……いやまぁ、普段わがままを言わない相手だからこそ、って部分もあるけれど。

 

 

 

 

 

 

「そういえば流れで泊まってるけど、日本被れさんは朝から用事とかないんで?」

 

 

 ほら、こういう世界の生徒会長って何かと忙しそうだけど。

 ……というような意味合いの言葉を、綺麗に焼けた卵焼きを口に運びつつ投げ掛ける私(AUTOさんに『そろそろ一人称を変えておかないと大変ですわよ』と忠告されたため変更中)。

 お味噌汁を『アチチ』と言いながら吐息で冷ましていた彼女は、そんな私の言葉を聞いて不思議そうにこちらに視線を向け。

 

 

「……?イエ、これがお仕事デスよ?」

「はい?これが?」

 

 

 朝食を私達と一緒に食べるのが?……みたいな意味を込めて返した言葉は、彼女の頷きによってあっさり肯定される。

 よく意味がわからん、と困惑した顔をしていると、彼女はいい感じの温度になった味噌汁をぐいっ、と飲み干し。

 

 

「行事連絡ついでに他の四天王へのお目通りモしておきたいノデ。実はモウ既に学校では他の面々が待っているノデスよ」

「……そういえばそんなこと言ってたような言ってなかったような」

「記憶力が雑過ぎマース!」

 

 

 えー、そんなこと言ってたっけ……?

 思わず首を捻る私を見て、日本被れさんは呆れたように一つため息を溢す。

 いやしゃーないやんけ、昨日は歓迎会?みたいなノリになってもうたんやし。

 なんなら同人ちゃんがやらかしたからその対処も必要だったし。

 

 

「ぶふっ、ななななんでそこで私に話題を振るんっすか!?折角このまま話題が立ち消えることを期待していたというのに……!!」

「そうはいかんよ!君の失敗は我々の中で語り継がれ……額が!?

「自業自得ですわね……」

 

 

 そのことに触れた結果、私の額に同人ちゃんの茶碗が飛んでくるサプライズが発生したりもしたが、まぁ概ね平和な朝食だったと思う。多分。

 

 

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