「なななな、なんで私まで!?」
「そういう辞令……アイヤ、生徒相手ナノデ辞令って言うのハおかしいデスね。敢えていうナラお知らせ?マァともかく、同人ガールも対象ナノは本当のことデース」
思わず唖然とする私からさっきの封筒をさっと奪い取った日本被れさんは、そこに納められた書類を改めて同人ちゃんに渡し直す。
渡された方の彼女は最初呆然としていたが、すぐに気を取り直して書類を隅から隅まで読み漁り……。
「……ほ、本当に書いてあるっす……」
「イエス!そういうワケデスので、先生に置かれマシテは部屋の方の準備をお願いしますデース!」
「えー…………」
なんと横暴なのだろう、やはり校長を亡き者にする他ないのでは?
……というか、部屋を準備しろって辺り、うちの特殊性についてよく知ってるってことなのか?
その辺り胡散臭さがすっごい上がったんだけど……それより何より、現在一番問題なのは突然うちに来ることになった同人ちゃんのメンタルである。
「そうなの?」
「そうなんです。多分こっちのことは『変な人だなー』と思いつつも『まぁでも関わりあいなんてそんなに続かないだろうし、見てて面白いくらいでいいんじゃないかなー』みたいなノリで関わってきてただろうに、こうしてガッツリ巻き込まれることが確定して恐らく絶望してるはず……」
「止めてくださいっす!!?私そんなに薄情ものというか傍観者気取りというか、とにかくそんなに感じの悪いやつじゃないっすよ!?」
「うん知ってる。でもこう言っておけば引け目とか感じてくれるかなって。ツッコミ役として確保したい人材だし」
「…………」
「いででででで、無言で鳩尾に突きをするの止め……なんで君達まで参加してるのさ!?」
「お姉さんがそういうこと言う時は、大抵構って欲しい時だと私は認識している」
「彼女がそう言うのだからそうなのだろう、ってことで追従してる。楽しい」
「グワーッ!!?」
バカ野郎三人一度に来られたらどうしようもないだろ!?
そんなわけで、脇腹を小突いてくる三人から逃げる羽目になる私なのでしたとさ。
「あ、いつの間にか元に戻ってるっす」
「戻ってるとは?……え?この人さっきの先生と同一人物??どういうこと???」
(こやつ感性の面ではわりと一般人だのう)
はてさて、今日の授業も恙無く終了。
……半ば以上TASさんの傀儡みたいな動きの俺だが、それでいいのかこの学校。いいんだろうなぁこの学校。色々知ってそうな校長だし。
でもぽっと出なんだよなぁ校長……などとぼやきつつ、帰る準備をしているとこちらを見付けた同人ちゃんが声を掛けてくる。
まぁうん、さっきの授業中までは女のまんまだったから、その発言はわからんでもないが……なんで成金君まで一緒にいるので?クラスというか学年違ったよね君?
……なんて疑問を抱いたのち、そういえば四天王軍団みんなうちの
「む、まだ話が通ってないと見る」
「はい?」
「そもそも貴殿のクラス、飛び級っぽいのとか混じっておるだろう?」
「……CHEATちゃんのこと言ってらっしゃる?」
「うむ。それが何故かといえば、貴殿のクラスは特殊学級扱いだからなのだ。普通のクラスには置いておけない存在の吹き溜まり、みたいな感じというか」
「!?」
「まぁ、そうするとさっき決めた、みたいなことを聞いたのだがな」
「!?!?」
なんか、いつの間にかまた別種の問題を投げ付けられていたことに気が付いたのだった。
……おかしいなー、今日の時点ではまだTASさんが無茶苦茶した、くらいの話でしかなかったはずなんだけどなー。
「あの校長、中々遣り手」<ニュッ
「ぬぉっ!?」
「教卓を移動用のゲート扱いしないの。……ところで、その言いぶりだと?」
「この機会に学校中に散らばった人材を一ヶ所に集めようとしてる。お兄さん預かりなのはいつものメンバーと今朝増えたのくらいだけど、それ以外にも個性的なメンバーが集合中。変わりに元々このクラスにいた比較的普通の面々は他のクラスに振り分けられた」
「な、なるほどっす!つまり私も他のクラスに……!」
「同人は固定メンバー。逃げられない」
「ぐあーっ!!?」
「しっかりして、傷は深いけど」
うーんこの。
流れるように一連の動きが解説されたわけだけど、その流れ弾が同人ちゃんに飛んで行く辺りがなんとも。
あと読書家ちゃん、うちのTASさんより酷くない?
……にしても、今でもわりといっぱいいっぱいなのにまだ増えるのか。
いやまぁ、TASさん的には変……というとあれだけど、特徴的な人物が増える方が嬉しいのだろうけど。
でもこう、比例して俺への負担が増えるのは嬉しくないなぁ、感があるというか。
「……?なんでお兄さんが苦労を掛けられる側なの?」
「おい待てぃ、俺が迷惑掛ける側みたいな発言はよくないと思うぞ?」
「だってお兄さん虚弱体質だし……」
「……いや、それはTASさんが無茶苦茶するからであってだね?!」
やべぇな、一瞬納得し掛けてしまったぜ。
元々俺が乙りやすいのはTASさんに引っ付いてるからであって、耐久力とかは一般人とそう大差ないはずなのだ。
殊更に虚弱だなんだと言われるほど弱くはない……。
「とーう」
「ぐふっ!?」
「医者ー!!?」
そんな俺の言い分を否定するかの如く、唐突に飛んできた読書家さん。
無論俺が彼女を受け止めきれるはずもなく、無様に一乙したのは言うまでもない。……いややっぱこれ俺が弱いわけじゃないって!!