うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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当社比の当社ってどこのことなのか(唐突)

「色々見た結論として言うのだが、やはり貴殿はちょっと弱過ぎると思うぞ。少なくともこの集団でやっていくには」

「これでもあれこれ補強した方。少なくとも高所から突き落としたくらいじゃへっちゃら」

「訂正する、パラメーター配分もうちょっと考えたまえ貴殿」

 

 

 要約すると体力の最大値を上げろ、となるのだろうか。

 回避技能とか耐久技能を上げるのも構わないが、そもそも総体力が低すぎるので焼け石に水、みたいな感じに見えるとは成金君の言。

 ……そんなに低いつもりはないんだがなぁ。

 

 

「やられても即復帰できるから問題ない」<フンス

「まさかの残機制なのか貴殿……いやまぁ、彼女に付き合うのならそっちの方が都合が良さそうではあるが」

「感心してるのかドン引いてるのかどっちかにしてくれんかね?」

 

 

 あからさまに「うわぁ」みたいな顔してんじゃないよ全く。

 小さくぼやきながら、ベッドから飛び降り……ようとしたのを改め、大人しく静かに起き上がる俺である。

 

 ……うん、さっきのあれこれでね?さっくりダウンした俺は保健室に運ばれることになっていたのさ。

 競りに掛けられたマグロの如く物言わぬ肉塊と化していたため、そこからの復帰に時間が掛かると判断された、とも。……いや、原型は保ってたけどね?

 でも完全に気絶してたので復帰するまで教室に放置するのも、ということで成金君が運んでくれたらしい。

 

 ……で、その流れで成金君がなんで『成金』なんて名前で呼ばれているのか、ということも判明したのだった。

 

 

「まさか(きん)を操る能力者だったとは……」

「正確には『生み出し操る』、だな。能力者特有のどこから質量や材料を確保しているのかわからない謎技術、というべきか」

「うーん金の成る木……」

 

 

 そう、創作とかでもたまに見掛ける『金を作り出す』能力。それが成金君の持つ異能、ということになるらしい。

 

 それも単なる金ではなく、いわゆる二十四金──一般に純金と呼ばれるものから、それはもはや、金というより金が含まれてる物質という扱いなのでは?

 ……というようなものまで、あらゆる純度の金を生み出せるのだとか。

 

 

「つまり、実のところ銀とか銅とかも作り出せるということ」

「金を抜いてそれ単体で生み出す、ということはできんがな。あくまで金の合金として発生させられる、というだけのことだ」

「それはそれで色々疑問点がすごいけど」

 

 

 うん、その辺りの区分が本人の認識に依存しすぎているというか。

 ……洗脳とかで銅を金と思い込まされたりしたら、その辺りの感覚も変わるのだろうか?

 

 

「……貴殿と彼女は本当にお似合いなのだな」

「はい?」

「さっきそこの彼女にも同じ事を聞かれた……というか、実際試そうとしてきたので止めんかと咎めておいた」

「oh……」

「お兄さんが思い付くことを私が思い付かないわけがない」<フンス

「いやそれドヤることじゃないからね?」

 

 

 やだ恥ずかしい、先にTASさんが考え付いてたなら言ってよもう。

 ……なんて愚痴は心の中で留め、変わりに重ねて注意をする俺である。責任転嫁?何のことやら。

 

 

 

;・A・

 

 

 

「しかし、成金君が直球のネーミングだとすると、読書家ちゃんも似たような感じなのかな?」

「ちーちゃんでいいのに」

「あだ名呼びは変な邪推を生みかねないから却下」

「……いや、そもそも我らへの呼び方もあだ名のようなものでは……?」

「!?」

 

 

 保健室から出て、下駄箱方面へと移動する俺達。

 話題は自然と、成金君の能力を踏まえた上での読書家ちゃんの能力考察になる、のだけど。

 

 

「……そういえば、なんか成金君初見時とキャラ違くない?」

「む」

 

 

 その前に、なんとなく気になったので質問が一つ。

 そういえば彼と初めて出会った際、その話し方とかは今と違ったような?

 そんなことを問い掛ければ、彼は苦い顔をしつつこう返して来たのだった。

 

 

「……あれだ、スタンド殿の神官であることを受け入れたら喋り方が変化してしまってな……」

「スタンドさーん?スタンドさーん。怒らないから出といでー」

『それ確実に怒るやつであろうに……』

「あっ、素直に出てきた」

 

 

 まさかうちのメンバーによる被害を受けていたとは……。

 そうと決まればお説教、とばかりに周囲に呼び掛けたところ、ジト目でこちらを見ながら現れるスタンドさんである。

 まぁ、地面からにょきっと生えたせいで成金君が滅茶苦茶ビビってたのだが。……意外と小心者だなこの子。

 

 

『そう、それだ』

「はい?」

『こやつ能力に見合わずわりと小市民的でな。せめて態度だけでも相応にしてやろうと言う神心なのだこれは』

「なるほど、彼のためを思ってやったと」

『そうだ』

「DMさーん」

「うーん、とりあえずギルティですね☆」

『ナニィ!?』

 

 

 なるほど、彼がそういう自分を変えたいと思っていたため、神らしく叶えてあげたと。

 ……確かに悪気はないみたいだが、相手に確認を取らずにやらかしたことは事実。

 その辺りが判決に影響を与えた……ということで、残念ながらスタンドさんは有罪となったのであった。

 

 

「ここは異議ありって叫んでいいところ?」

「叫んでもいいけどその場合TASさんも連帯責任になるけど?」

「──スタンド、大人しく罪を受け入れて」

『はーくーじょーうーもーのー!!』

 

 

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