うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

479 / 728
光るTASの職人芸

「そういうわけで、我が家に到着した俺達は、TASさんが匠の増築工事をしているのを端から眺めている最中なのです」

『お主、誰に向かって説明しておるのだ……?』

 

 

 はてさて、道中ちょっとしたトラブルに見舞われたものの、無事に家に戻った俺達。

 ……とはいえ、このままだと急な来客用の部屋しかないため、現在TASさんが部屋の増改築を進めている最中である。

 

 具体的には……なんだろうねこれ???

 正直外から見てる分には全くわからん、という感想しか出てこないわけなのだが……。

 あれだ、誰かに解説をお願いしたいくらいというか。

 

 

「なるほど、任された」

「読書家さん!?」

「さぁTAS入場です。軽快に滑っていく先には扉が一つ、これを使ってぶつかりながら速度を貯めて貯めてー……飛びました!速度が限界を突破し画面外へ!そのままデータの海を潜りに潜ります!!」

「なんか急に無口キャラを崩してきたんだが!?」

 

 

 そんなことを口走ったせいか、唐突に饒舌に喋り始めた読書家さんである。……え?この解説も本の中の再現なんです?

 

 と、ともかく。

 なんか解説してくれた読書家さんの言うところによれば、現在TASさんはデータの海の中であれこれしてる最中、とのこと。

 本来の表示外の領域に飛び込むことにより、直接データを書き換えるその技は彼女のお得意のそれだが……なんかこう、嫌な予感がするのはなんでだろうね?

 

 

「あっ」

「突然何!?」

「終わった……」

「へ?!」

 

 

 あ、これBGMがループして……あっ

 

 

 

暫くお待ち下さい……

 

 

 

「ちょっとやりすぎた、てへ」

「今何度か生命の神秘とか体験したような気がするのですが……」

「終わりを越えて始まりに至ってる……」

 

 

 輪廻転生何度か体験したのかもしれん……みたいな?

 額を抑え呻くAUTOさんにしっかりするよう声を掛けつつ、改めて我が家を見直す俺達。

 ……本来それはマンションであり、俺達が暮らしていたのはそのうちの一部──具体的には二階のワンフロアとかだったような気がするんだけど。

 

 

「……完全に寮になってない?」

「組み替えの際に色々あって……」

「色々?!色々って何!?」

 

 

 うん、なんかこう……随分スッキリしたなというか。

 いや、横幅広がってるからスッキリではないのか?縦が縮んだと言うべきであって。

 

 そう、現在俺達の目の前にあるのは一階建ての平屋。

 但し、周囲の建物まで移動しているため、実際の広さは先程までのそれとは一線を画していると言っても過言ではないだろう。

 ……具体的には、なんか家庭菜園とか増えてる。

 っていうか、三周目入るに当たって何処かへ消えてた猪君までおるんだが何がどうなってんのこれ???

 

 

「……え?何々……気付いたらここにいた?」<ブヒー

「エエト……何で先生はナチュラルに猪と話しているのデス?」

(わし)にもわからん……』

 

 

 多分今まで空間を歪めて成り立ってた部屋が全部実体化した、とかなのだろうが……それがどうすればこう敷地面積ごと広がる結果に繋がるのだろうか?

 ……全くわからんが、そもそもTASさんがやることを理解しようとする方が無駄だった、ということに気付いたら俺は理解を放棄した。

 なったもんはなったんだからしょうがない、の精神である。

 

 

「……うーん、内装も大分変わっている……」

「えーと、向かって右側が貴方様の部屋で、左側に行くと生徒達の部屋が纏まっている……ということで宜しいので?」

「む、いや我ら男組は先生と同じく左のようだな」

「なるほど?」

 

 

 玄関に入ると、そこにあるのは大きな下駄箱。

 学校の玄関口と同じくらいの広さのそれは、それぞれ三方向に繋がる通路が隣接している。

 案内板によれば、向かって左の通路を進むと俺や男子組の部屋に繋がっており、逆に右側に進むと女子組の部屋が固まっているようだ。

 

 で、最後に残った真ん中の道。

 これはどうやらリビングなどの共同生活用の部屋に繋がっているらしい。

 キッチンなんかもこのまままっすぐ進んだところにあるようだ。

 

 また、内装案内を見る限り真ん中の道の奥の方には大浴場もあるとのこと。

 ……各部屋にシャワー室が備え付けられているとのことなので、広い風呂場に浸かりたい時に使え、ということになるらしい。

 ……うん、寮は寮でもかなり大きな寮だなこれ?

 

 

「頑張った。これから暫く学園編が続くから、拠点はしっかり整備しておかないと」

「なんかサラッとすごいこと言わなかった今???」

 

 

 え?TASさんの気まぐれで始まったのかと思っていたけど、もしかしてこれって彼女の意思とは全然関係なく始まった話だったりする???

 そう問い掛けると彼女は不思議そうな顔をして、

 

 

「……?同人とか日本被れとか、こんなの見逃すわけなくない?」

「──言われてみればそうだな!」

(……アレ、もしかシテ私達突然生えてきたと思われてるデスかこれ?)

 

 

 今ここに居るメンバーのうち、新たに加わった六人。

 彼女達をもし前回までに見付けていたのなら、もう少し素直に学校に通っていた……と告げるTASさんの言葉に、思わず頷いてしまうことになったのであった。

 ……日本被れさんが難しい顔してるけど放置で。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。