うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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一日が終わる、一日が始まる

 イライラしているROUTEさんの即席煙草の煙ショー(?)を楽しんだ俺達は、各自それぞれの部屋へと引き上げていた。

 

 で、その個室についてなのだけれど。

 これに関しては、一人一部屋ではあるものの然程大きくはないモノ、という形になっている。

 具体的にはまんま寮だとこれくらいの広さだよなー、みたいな感じ。

 ベッドと机で大部分が占められており、それ以下の面積──おおよそ部屋の半分に届かないくらいのそれが、室内における通路であり腰を下ろす先である……というか。

 まぁ、一人分の部屋として見れば相応の大きさ、と言うべきだろう。

 

 ところが、この室内の広さ(せまさ)に悲鳴を上げた人間が一人居る。……そう、ダミ子さんである。

 実はTASさんは内装から外装から全部弄った際、中にあった個人の所有物はそれぞれ本人の部屋に無造作に配置する、という形で移動していたのだが。

 

 

「ほぎゃぁー!!!?」

「え、何デスか今の踏まれた猫ミタイな声は……ホワイ(why)!?

「あー、荷物が多過ぎたんだねー。私も似たようなことにぬわーっ!!?

「チートガールまでっ!?」

 

 

 うむ、我が家において一番荷物を持っていたのはダミ子さん。

 故に、その次点であるCHEATちゃんと一緒に、部屋の中に詰め込まれた自身の荷物が生み出す津波に飲み込まれた……というわけだったのだ。

 これには彼女達の間の部屋となった日本被れさんもびっくり、である。

 

 

「イヤ、ビックリで済ませていいのデスかこれ?死んでマセンかコレ?」

「大丈夫大丈夫。二人とも意外と頑丈だから」

「デモ何か地面に赤いモノが滲んでマスけど……」

「大丈夫大丈夫。あとでTASさんが綺麗に片付けるから」

「大丈夫ナ要素が欠片モ見えないのデスが!?」

「お兄さんは私のこと甘く見すぎ。もう既に片付いてる」<ニュッ

「そっかー、もう片付いてるかー。流石はTASさんだなーあははは」

(せ、先生の目が据わってマス……!?)

 

 

 なるほど、床とか壁に自動で汚れを消去するシステムを組み込んであると。

 原理はわからんが犯行現場を隠すにはもってこいだな!HAHAHA!

 

 ……はい。

 まぁ憐れな犠牲者二人はそのうちリポップするだろうとして。

 

 一先ず、悲鳴を聞き付けてやって来た俺はこの場からさっさと去ることにする。

 一応寮長みたいなものであるからこそ駆け付けたけど、基本俺って男性だからこっちに長時間居座るのは宜しくないからね!

 

 

「……?性別が気になるんならいつでも変えるけど?」

「そういう意味じゃないんだよなぁ!」

 

 

 こっちにいるとなんか面倒事に巻き込まれそうな予感がするからさっさと帰りたい、ってだけの話なんだよなぁ!

 それを下手に女性にされた日には、ずるずると他の面々に捕まって問題遭遇の確率が爆上がりするんだよなぁ!!

 

 ……という内心は口に出さない。

 出そうが出すまいがTASさんには攻撃されるが、流石に口に出してなければ他の面々には気付かれないし指摘されない。

 なんならTASさんに俺が攻撃されるのはいつものことなので、追及も対して発生しないというプラス効果も付いてくる!お得!

 

 

「また訳のわからない理論武装していらっしゃいますのね……」

「おおAUTOさん、丁度よいところに。このTASさんを引き剥がすのを手伝ってくれ!俺は猪に餌をやるのと家庭菜園の様子を見に行くので忙しいんだ!」

典型的な死亡フラグ、ウケる(がじがじがじがじがじがじ)

 

 

 で、そうやって捕まっている間に、騒ぎを聞き付けてやって来たのはAUTOさん。

 この面々の中で随一の常識人である彼女ならば、TASさんの暴虐を正し俺を救ってくれる!

 

 ……というのはまぁ、ちょっと大袈裟だけれども。

 少なくとも一般的な倫理に照らし合わせ、こんな夜分遅くに年若い子女の元に良い歳の男性がいる、ということを良くないことと示してくれるはずだという期待を込めて視線を向けたところ。

 

 

「えいっ」

「 」

「……申し訳ないのですけれど、同人さんの勉強を見るのを手伝ってくださいまし。私一人では終わりそうもありませんわ」

「   」

 

 

 ……いや、いつの間に覚えたのそれ?

 

 申し訳なさそうな表情を浮かべながら近付いてきたAUTOさんが、俺の額を小突く。

 するとどうだろう、俺は突然光に包まれ、気が付いた時には……体が女性に変化してしまっていた!

 

 この姿では自身の部屋に戻るに戻れない!

 自分の力では戻れない以上、ここから立ち去るにはAUTOさんのお願いを──同人ちゃんの勉強を見る、というイベントをこなすしかない!

 そのことを悟った私は降りてきたTASさんに視線を向ける。

 察して、という気持ちを込めながら向けたその視線に、彼女は小さく笑みを浮かべ返してきて。

 

 

「頑張れお姉さん。夜食はDMに頼んでおく」

「そうじゃないだろー!!」

 

 

 そのまま頑張れ、と言わんばかりの彼女の態度に、私が思わず崩れ落ちたことは言うまでもない。

 

 ……その後、同人ちゃんへの個人(?)レッスンは、夜明けまで続いたのだった。

 

 

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