「……イヤ、説明されてもよく分からナイのデスけど?」
「あれー?」
急遽四時間目を潰す形で開催された他所の世界云々の解説。
それを聞いた新顔達の反応は、大体似たようなもの。……そう、困惑である。
こっちとしてはそんなに困惑することがよく分からないのだが、その辺り彼女達とこちら側の能力者としての違いが現れている、というか……。
「うちが分かりやすいけど、基本的にこっちの人達って自分を強化する、みたいな感じがほとんどなんだよねー」
「……成金君は?あと新聞部君も」
「扱うものを自分の体の延長線上として捉えている、って形だからそっちのやり方とは全然違うよー」
代表してギャル子ちゃんが説明してくれているが、基本的に彼女達の能力というのは自己に働き掛けるもの。
自分というフィルターを通すことで外部に働き掛けることもできるが、基本的には自己対象であり他者を直接どうこう、ということは難しい。
そのため、環境に直接干渉するような能力者、というのはほとんどいないのだとか。
一応、成金君とか新聞部君とかは自分がどうこうと言うより、他者に対して働き掛けているように見えるけど……それも自分という干渉手段があってこそのもの。
具体的にはここから遠く離れた場所にいきなり風聞を届けたり、はたまたそこにあるものをいきなり黄金に変えたりはできないとのこと。
「一応、私は例外に近い。本という媒体を通して世界を変革しているようなものだから」
「それにしたって本が自分の手足って形だから、本なかったらなんもできないんだけどねー」
「むぅ、私の弱点をあっさりばらすのはよくない」
「あっと、ごめんってどくっち」
例外である読書家ちゃんにしたって、本の中身を再現することであれこれできるようになっているけど……裏を返せば本がなければ何にもできない、とも言えてしまうわけで。
そういう視点で見ると、こっち側のTASさんとかが無法に過ぎる、というのも宜なるかなというか。
「私も一応、自分という存在を通して世界をあれこれしてるよ?」
「その範囲が広すぎる、って言ってるんだようちは。……少なくとも、たーちゃんのやってた回避とか早々真似できるもんじゃねーからね?」
「んん?」
それに反論するTASさんだが、すぐさまギャル子さんの反論が返ってくる。
わりとさらっとやってる光波回避とか、そもそも光波自体を見えないので不可能に近い……みたいな?
正直こっちとしても別にはっきりと見えているわけじゃないらしいが、そもそも光波を感じるという部分で引っ掛かるのでその時点で話が違う、と。
言われてみれば、あの授業も難なくクリアしてたのはうちの面子ばっかりだったなぁ、と。
ダミ子さんだけひぃひぃ言ってたけど。
「ま、前から思ってたんですけどぉ……」
「何?」
「ネーミング法則的に、多分私ってぇそっちの方達側だと思うんですぅ」
「仮にそうだとしても、もうこっちでの生活にどっぷり染まってるから誤差では?」
「……ちくせう、ですぅ」
授業免除の夢がぁ、とかなんとかメタいことを言ってるダミ子さんはともかく。
……いやともかくじゃねぇな?
もし仮にメタいその発言内容──ダミ子さんは日本被れさん達と同じカテゴリの存在である、というのが間違いじゃないのなら、それはすなわち目の前の彼女達もこれから長く暮らすうちにダミ子さんと同じ程度にはこっちの環境に慣れる可能性がある、ということ。
「えっ」
「お兄さん、それは早計。ダミ子はそもそも『DUMMY』から派生した呼び方。すなわちこっち側に多少は漬かってるからどうにかなった、という可能性が高い」
(ほっ……)
「なので、そちらの子達をこっちの世界観に巻き込む必要がある」
「えっ」
「なるほど。ってことはこじつけでも『Re:POP』とか『RESPAWN』とか呼べそうな日本被れさんは真っ先にこっちに適応する可能性が高いと?」
「
なお、その考え方に関してはTASさん直々にツッコミが飛んできた。
確かに、すっかりダミ子呼びで定着していたけど、そういえばダミ子さんって『DUMMY』から派生した呼び方だったねぇ。
となると、他の面々のような運用が出来なかっただけで、彼女も最初からデジタル系ネーミングの能力だったと。
となれば、他の面々もデジタル系ネーミングをこじつければなんとかなる……ということなのかも?
そういう意味では、当初からその辺り怪しい面のあった日本被れさんならなんとかなる、ということに?
唐突に巻き込まれ事故を起こされた日本被れさんが叫んでいたが、これからのあれこれを考えると真剣に考察する必要のある話であることも確かな話。
ゆえに、俺達は彼女を囲んで話し合いを始めることになったのだった。彼女の「やーめーてーくーだーさーいー!!」という悲鳴をBGMにしながら。
(……