うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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命知らずは煮込みハンバーグ

 三人寄れば姦しい、じゃあ四人寄れば?

 ……なんてことを言ったら、過敏な人には色々怒られそうなので口には出さないが。

 まぁ、人が四人も揃えばそれが誰であれ、会話がひっきりなしになるのは仕方のない話、というわけでして。

 

 

「君達はもうちょっと見た目に気を使った方がいい」

 

 

 というMODさんの鶴の一声により、何故か彼女達の服選びに付き合わされる運びとなった俺である。……いや、君らだけで行けばよくない?俺巻き込む必要なくなくなくない?

 

 

「ありありありありあり」<ペシペシ

「迫力のない連打どうも。あと地味に痛いから脇はやめてね脇は」

 

 

 いやまぁ、彼女に本気で殴られたならば、下手すると塵とか芥とかになりそうなわけだから、これくらいで済んで良かった……みたいなところもなくはないわけなのだが。

 ともかく、今はAUTOさんがMODさんと一緒に服屋に入ったのを見送って、他二人とぼけーっと待っている最中である。

 

 年齢的にはどうもCHEATちゃん以外は同じみたいだし、TASさんも一緒に付いて行けばいいのに、と思ったのだが……。

 

 

「私はいい」

 

 

 と一言だけ告げて、そのまま読書を初めてしまうのであった。

 ……珍しく文学少女モードである。ただねー?

 

 

「……外でも変わんねーのな、それ」

「周囲からの眼差しが痛くないことだけが幸いです」

「生暖かいから嫌、ってわけか……」

 

 

 対面の席に座ったCHEATちゃんが、呆れたようなジト目をこちらに向けながら、さっき買ったシェイクを吸っている。

 ……まぁうん、いつも通り俺の膝の上に座ってるんだよね、TASさん。外ではやめて欲しいんだけど、言っても聞かないんだよねこういう時。

 

 以前だったら周囲からの視線が痛かったので、そこが無くなったのはいいことなのだが……こうして家の外で彼女が俺にくっついてる時って、大抵なにかしら起こるってことの証明でしかなくてだね?

 俺としてはとりあえず、何事もなく二人が服屋から出てくればいいなー、なんて思ってたのだけれど。

 

 

「きゃー!強盗よー!!強盗が美男美女カップルを捕まえて人質にしてるわー!!!」

「……いやいやいや。MODさんは確かに美形の男性にも見えるけど、カップルではないのだから大丈夫大丈夫……(震え声)」

「もう答え言ってるようなもんじゃん……」

 

 

 突然辺りに響いた叫び声に、思わず天を仰ぐ羽目になったのであった。……CHEATちゃん、現実逃避くらいさせてください。

 

 

 

・∀・

 

 

 

「はっはっはっはっ。いやー、参ったねー」

「参りましたわねぇ」

「お、おい!静かにしろ!撃たれてぇのか!?」

「「はーい、静かにしまーす」」

「おちょくってんのかコイツら……!」

 

「わぁ余裕そう。それから相手さん可哀想」

「言ってやんなよ……」

 

 

 こそこそと、店の裏手に回った俺達。

 そこから覗き見た店内では、銃を向けられた二人が大人しく両手を上げている姿が見える。……見えるのだが、二人に緊張感は全くない。

 いやまぁ、単なる銃弾なら軽く避けそうな二人だし、実質的に脅威なんて毛程も感じていない、ということなのだろうけども。

 

 

「……それにしちゃぁ、やけに素直に犯人に従ってんな、あの二人」

「だなぁ」

 

 

 派手モードなCHEATちゃんの言う通り、すぐにでも制圧できそうな相手なのにも関わらず、二人が動く様子はない。

 寧ろ、なにかを待っているかのような……?

 

 そうして二人を観察していると、小さくため息を吐いたTASさんが、開いていた本を閉じて自身の鞄にしまいこんだ。

 

 

「……喧嘩を売られてるみたいだから買ってくる」

「は?喧嘩?いきなりなに?」

(TAS)が新しく作り出せないと思っているのなら大間違い。『Tool(ツール)-Assisted(アシステッド)-Superplay(スーパープレイ)』の真の髄、体感させてあげる」

「ねぇ本当になに言ってるの?どこかから変な電波受信してない???」

 

 

 そんな彼女はと言うと……わかり辛いけど怒ってるような?

 精々普段の顔に怒りマークがくっついている程度の変化だが、そもそもに表情の変化に乏しいTASさんにしてみれば、それはもはや激おこの類いだと言っても過言ではなく。

 いや、なににそんなにキレてるの?……というこちらの制止もどこ吹く風、彼女はすっくと立ち上がり、犯人達の視線を自身に集めさせるのであった。

 

 

「いやちょっ!?」

「な、なんでこんなところにガキが!?」

「つ、捕まえ──」

「それではお手を拝借。──任意コード実行

「あ゛っ」

 

 

e3819fe381a0e38184e381bee38397e383ade382b0e383a9e383a0e69bb8e68f9be4b8ade38081e69aabe3818fe3818ae5be85e381a1e4b88be38195e38184……

 

 

;-∀-

 

 

 

「……いやまさか、唐突に野球回が始まるとはね……君のことを軽く見積もっていたのは確かだったようだ」

「全員三振。ぶい」

「いやぶいじゃないが?」

 

 

 あのあと。

 店内に居た人々全てを巻き込んだTASさんの任意コード実行により、突然『なにもかもを野球で決める』世界に放り込まれた俺達は、犯人達を三者凡退に追い込んでゲームセットを決めていたのだった。……え、なに言ってるかわからない?

 

 

「エンディングだぞ、泣けよ」

「本当に展開を創造するやつがあるか!!」

 

 

 まぁうん、要するにまたTASさんか……です、はい。

 プログラムに脆弱性がある方が悪い、ということでお一つ……。

 

 

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