「確かニ私が触れたことデハありますが、多分気にすべきトコロはもっと別の場所ダッタと思うんデス私……」
「いやまぁ、死なないのならいいかなーって」
「クッ!自分の体質をコレホド憎いと思ったことは初めてデス!!」
「君こそもっと他のところを気にすべきなのでは?」
あれだ、TASさんの過激なツッコミについて怒るべき、みたいな?
……まぁ、これを言われた当人は不思議そうな顔をしていたわけなのだが。
うーん、これはDMさんとは違うタイプの超越者思考……。
どうせ死なないのだから、ある程度酷いことになっても問題ない……みたいな意識が根付き過ぎてしまっている、みたいな?
その辺り仮にも教師としては是正すべきなのかと思わなくもないが、よくよく考えたらある種似たような精神してるTASさんが間近にいる以上無理だな、と即座に諦めた俺なのであった。
「いえその、そこで諦められても困るのですが……」
「そうは言うがねAUTOさん。ただでさえ人数増えてトラブル発生確率ダダ上がりなのに、それに加えて別種であれTASさんとタメを張るような面倒……もとい倫理観の人物をどうにか矯正しよう、だなんて無理だと思わんかね?」
「くっ、反論できない……!!」
「よく分かりマセンけどこれ多分バカにされてマスよね???」
いやいや、決してバカになんかしてないって。
本当だよ?だからその握りしめた右手を解いて仲直りの握手を……張り手!?
「……いや、真面目に何やってるんだお前」
「女子校生からの張り手とかご褒美みたいなもんだよね(ヤケクソ)」
『開き直るなとツッコむべきかのぅ、これ』
その結果、四時間目の残りを全て真っ赤な手形を頬に付けた状態で過ごす、という罰ゲームを受ける羽目になりましたが。
正直、これくらいならある意味慣れてる()のでどうにでもなるわ、とばかりに残りの授業をこなした俺なのでしたとさ。対戦お願いします。(?)
「そういえば、なんだが」
「なんだ?」
四時間目をなんとかこなし、やって来ました昼食タイム。
結果的にみんな同じ寮に詰め込まれたこともあり、以前も用意していた重箱はその数と量が大幅アップ。
結果、みんなでいそいそと机を移動し、長机のようにした上でそこに重箱を乗せてみんなでご飯をつつく、というスタイルがすっかり馴染んでしまっていた。
今もみんな、だし巻き玉子とネギ入り玉子のどっちが美味しいか、みたいな下らない会話を投げ合いながら甘めの玉子焼きを口に運んで……いや甘めの玉子焼きの話じゃないんかい。
……ま、まぁともかく。
そんな感じで今日も今日とてフリーダムな会話を続ける面々を見つつ、俺はふと気になっていたことを彼らに問い掛けたのだった。
「君ら四天王って料理はできないの?」
「 」<ピシッ
……うん、露骨に一部が固まったな?
それに関しては後から触れるとして、固まらなかった面々に話を振る。……そっちは三人、まずは成金君だが。
「名前からして料理などしないと思わないか?」
「しないというかできないというか?……まぁ、金持ちは誰かにやらせてるイメージしかないよね」
彼に関しては動揺してない……もとい、端からやるわけないんだから動揺する必要性がない、とばかりに泰然としている。
いやまぁ、胸を張られても困るのだが言われてみれば確かに、ともなるのでツッコミ辛くもあり……。
その横で残りのうちの一人、新聞部君がうんうんと頷いている。
「そうですね。料理なんてできなくても問題ないのです、はい」
(……この言い方からするに、料理云々はそもそも家庭科で習ったことくらいしかできない、とか言い出しそう)
あれだ、拙速な食事行動こそが最適であり、ゆえに自分から調理をすることなどない……とかなんとか思ってそうというか。
成金君が他者にやらせてるおかげ(?)で舌は肥えてそうなのに対し、新聞部君は食えりゃあなんでもいい的なノリで味とか気にしなさそうな感じがするというか?
まぁ、実際のところは成金君の中身は元々小市民的な人物だったらしいので、誰かを雇って作らせるというよりは外食が多いという感じだろうが。
ともかく、折角の男子組が調理面で役に立たないことに密かに落胆しつつ、最後の一人──読書家ちゃんに視線を向ける。
「私は本読めばできるから」
「うーん、便利にもほどがある……ついでに聞くんだけど、本がないと?」
「私にそういうものを求めてはいけない」
「アッハイ」
限度があるとはいえ、本の中身を再現できる能力持ちである読書家ちゃん。
それゆえ、レシピ本などがあれば普通に調理をすることは可能、とのこと。
なんなら、調理方法が現実に存在しないようなモノでも再現できるというのだから、ある意味ここにいる誰より料理が得意、と言い換えてもいいのかもしれない。
……本人がそっぽを向いたことからわかるように、本がない状態での調理技能は微妙なようだが。
さて、ここまで話を終えたところで、改めて固まった三人に視線を向ける俺。
固まった三人──日本被れさん、同人ちゃん、ギャル子さんは、三者三様の顔でそこに座っていたのだった。