「いえソノ、揚げ物とかナラ得意デスよ?ポテトとかフィッシュアンドチップスとか……」
「揚げ物も単に揚げただけ、なんてことはあり得ないからまぁ料理の種類で差別することはないけど……その視線の逸らし方だと絶対得意ではないよね?」
「ギクゥー!!」
一人目、顔面蒼白で冷や汗を垂らし視線を逸らす日本被れさんは、なんというかあまりに分かりやす過ぎてちょっと不安になる。
別に揚げ物が得意なら、そう自信を持って言えばいいのだ。
油の温度、衣の付け方。具材の選び方にそれを油に入れる際のタイミング。
単に油に突っ込むだけでも揚げ物はできるが、それを美味しく仕上げようと思えば気にすべきことは増えていく。
それらを完璧……とは言わずともある程度こなせるのなら、それ以外が微妙でもある程度胸は張れるはず。
そう考えると、彼女のこの様子では出来上がる揚げ物は恐らく油が多すぎたり火が通り過ぎていたりするのだろう。
……揚げ物しかレパートリーがないというのは寂しいが、それでも学ぶ意思があるならなんとか……って、そういう話じゃなくて。
思考がずれかけたので軌道修正すると、その態度から察するに日本被れさんは料理ができない扱いでよい、ということで間違いあるまい。
なので一先ず置いといて、その隣に視線を移す。
そこで不自然な形で固まっている──唐揚げを口に運ぶ最中で止まっているギャル子さんは、表面上はそれ以外の変化がないが逆に言うと
これはつまり、動揺などを表面上に出さないように必死で抑えている、という可能性が非常に高く……。
「ナナナナニヲイッテルノカナオニイサン、ワタシハリョウリガトクイナギャルダヨーホントダヨーウソジャナイヨー」
「清々しいまでの片言だね」
「貴方はツッコミを入れる権利がありませんよ」
「……手厳しいねぇ」
なんか途中でMODさんがDMさんにツッコミを入れられていたがとりあえずスルーするとして。
うん、この反応だとギャル子さんも料理はダメなのだろう。
……ただ、なんとなくだが隠したいことはそこではないような気もする。
「ナナナナニヲイッテルノカナオニイサン、ワタシハリョウリガトクイナギャルダヨーホントダヨーウソジャナイヨー」
「うわわかりやすっ」
さっきまで片言なだけで動揺は隠せてたじゃん、今のそれだと最早隠そうとする気概が悲しくなってくるやつじゃん。
……ギャル子さんがその実滅茶苦茶な武道家である、ということは前回のデーモンコア(略)の時点で判明している。
となれば、ここで彼女に掛かる疑いというのは恐らく、料理下手は料理下手でも男性のそれに近い、ということになるのではないだろうか?
あれだ、男の料理的大雑把クッキングしかできない、とか。
「アバババババババ」
「お兄さん、詰めるのはいいけど手加減してあげて」
「おっと失礼。……別にできないならできないって言えばいいのにね?」
「
「ちょっとしたお茶目心が俺の命を削るんだ、ふふ怖いか俺は痛い」
(何やってるんだこいつ……)
まぁうん、TASさんも真面目にやる気がない時は料理下手だからさ。
別にできないならできないって言えばいいのにって思ったんだけど、なんかこうTASさんの逆鱗に触れたみたいで真っ赤だよ視界。
地味に染みるからやめて欲しいんだよねー(最早日常故の雑な対応)。
……ともあれ、気が済んだのか頭上から離れたTASさんを見送りつつ、垂れていた血を拭って最後の一人を見る。
最後の一人──同人ちゃんは、未だかつて見たこともないような綺麗な笑みを浮かべ、サムズアップと共にこう返してきたのであった。
「──先生が毎朝お味噌汁を作ってくれればそれでいいと思痛っ!?ちょっなんすかTASさんこれからはジェンダーフリーこそ正解……痛い!?」
「流石にこの場でその手のごまかしを投げるのは許されない。というか貴方ってわりと口は災いの元を地で行ってるから気にした方がいいと思う」
「何の話ぃ!?」
……うん、まるでプロポーズみたいなことを言い出したため、即座にTASさんから制裁を受けていたのだけれども。
異性にずっと味噌汁作ってくれとか、普通に勘違いされてもおかしくないから仕方ないね。
いやまぁ俺は勘違いしないけどさ、それを聞いた他所の人がどう思うかはまた別の話……なんか最近似たようなことを言った覚えがあるな?
……発言の是非はともかく、同人ちゃんも料理ができないことは間違いないらしい。
となると彼女がここにいるのは何のためなのか?……という当然の疑問が湧くのだけれども(何やら『滅茶苦茶貶してくるじゃないっすか!?』とか言ってる彼女はスルー)。
「いや実際、TASさんの天の声でここにいるだけで、正直巻き込まれただけって言った方が正解っぽいくらいにツッコミ以外の取り柄が見えないというか、最近ツッコミ方面ってよりボケ方面になってるというか」
「先生は私を貶したいのか褒めたいのかどっちなんすか???」
彼女がここにいる意味とは?
……という、若干哲学的なことを改めて考察する運びになったのであった。対戦お願いします(直近二回目)。