はてさて、同人ちゃんがこのクラスにいる意味、というなんとも哲学的・かつ対応を間違えると新手のいじめになりそうな問題に直面したわけだけど。
その実、本人はなんだかほんのり嬉しそうにしてたのであった。
……あれだ、これで上手く行けばこのクラスから追放されて逃げられる、とか思ってそうな顔というか?
「なるほどよくない。今のご時世追放ものといえば追放した側の破滅とセットであることがほとんど、つまり私たちへの不利益が飛んでくる可能性大。頑張って同人が追放されないようにいいとこ探さないと」
「いやそんなことしなくていいっすから……よく見たらスッゴい笑顔っす!?」
なお、その隣のTASさんの顔。
何て言うのかなこれ……愉悦?TASさんにそんな感情があったのか、とちょっと驚いてしまうような顔というか。
横で見ている同人ちゃんも驚いているが、俺としても初めて見るタイプの顔なのでちょっと新鮮というか。
……え?新鮮なんて感想で済ませていいのかって?
「俺に向いたモノじゃないからね!仕方ないね!」
「おにー!!あくまー!!」
それが向けられているのが俺ならともかく、その愉悦の対象になっているのは同人ちゃん。
言ってしまえば他人事であるため、こちらとしては特段気にする必要を感じないというか?
いやまぁ、やり過ぎたら流石に止めるけどね?
「でも基本的には面白そうなのでオッケーです」
「なんにもオッケーじゃないっすよ!?私の人権を保証して下さいっす!」
「なるほど、貴方の価値を証明しろ、と。やっぱりここは私が頑張らないと」<フンス
「あっやっべぇこれどういうルート選んでも詰んでるやつっすね!?」
前門のTASさん、後門の俺ってか?
……いや、普通に俺の方突破すればいいんじゃね?
などと思った俺だが、すっかり混乱状態の同人ちゃんには届かないのであった。
──これが無能を装う演技だとすれば、そりゃあTASさんが逃がすはずもないわけだ(疑心暗鬼)
「先生の中で私はどういう存在として定義されてるんっすか……?」
「どうって……とりあえず面白い存在?一応一般人仲間、みたいな部分もあるけど」
「どっちも否定したくてしかたないんっすけど」
「わりと高評価してるのにこうまで微妙な顔されることある?」
露骨に嫌そうな顔してる、というか。
……まぁ、当初みたく一歩引いた空気感を醸し出されるよりましなのだが。
どうせ今のノリだともっと長く付き合うことになるのだろうし。
「えー……私としては普通の生活に戻りたいんっすけど……」
「TASさんが相手の時点で無理ですね。一山幾らのモブとして消費されないだけマシだと思ってください」
「うわっ、そういえばTASなんだからその可能性もあったことを失念してたっす……」
何やら想像したのか、体をぶるりと震わせる同人ちゃん。
……いやまぁ、ちょっと誇張して伝えたところがあるので、実のところモブだからとTASさんが人間爆弾したりすることはないとは思うのだが。
あ、勿論切り捨てることに良心が痛まない悪人の場合は話が別だが。
「立ち向かってくる悪人は切り捨て御免、立ち向かってこない悪人は踏み台御免。すなわち悪人は捨てるところのない万能素材」<フンス
「……いややっぱり安心できない……ってひぃっ!?なんすかスタンドさん!?」
『なんというかフラグを感じたでの、故に先人からの忠告と言うやつだ。──仮にお主に心当たりがあるのなら、諦めた方が吉だぞ、邪神たるこの
「……えーと、何を言ってるのかさっぱり……」
「では私からも追加で助言を。TASさんのお好きな言葉をお一つ、お伝えしますね」
「な、何を……」
「この世に悪の栄えた試しなし。──錦の旗というのは、どうしてこうも人を先導してしまうのでしょうね?」
「ひぃっ!?笑顔が!?DMさんの笑顔が怖いっす!?」
……うん?これもしかして、同人ちゃんってばうさぎとか羊とかを装ってる系?
ぞろぞろと絡みに来た二人の様子と、その言葉を聞いてガタガタ震える同人ちゃんに思わず首を捻る俺である。
もしかしてあれかな、実は裏で異能者達を取り纏める裏社会の
で、実は今までTASさんがドカンドカンと潰し捲ってきた組織ってのは彼女のもので、そうして辛酸を嘗めさせられた経験を糧に、復讐を遂げるため彼女は俺達に近付いた……もとい近付こうとして逆にTASさんに捕捉された、とか?
……うむ、適当にパッと思い浮かんだことを脳内で纏めてみたが、もし仮にそれが本当なら……。
(……うん、余計のことTASさんが逃がすわけがないな)
ネームドのボス(?)とか、そんなんあからさまにおもちゃじゃん。
人に対して抱くものとしてはかなり失礼かつ酷い感想だが、その実この想像が間違ってなかったとすれば、確かにTASさんが夢中になるのも頷けるのである。
(……その場合、四天王ってのも実は敵対組織での序列、みたいなことになるのかなぁ)
(な、なんだか先生ノ視線が怖いのデスがー!?)
(気になさらないで下さいまし、あれは恐らくかなり適当なことを考えている時の眼差しですわ)
そうして思わずジッ、と四天王──日本被れさんとかに視線を向けてしまう俺なのであった。
まぁ、横のAUTOさんに睨み返されて(?)、すごすごと前に向き直ったのだけれど。
AUTOさんを怒らせると後が怖いからね、仕方ないね!