うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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まぁそれはそれとして君とは仲良くしたい(凄まじく打算)

「と、ととととにかくっす!私は悪人でも悪役でもない、単なる一般人なので!早晩解放することを要求するっす!!」

「そっかそっかー悪人じゃないのかーそれは大変だねー」

「清々しいまでの棒読み!?」

 

 

 まぁうん、この反応は黒だよねー。

 まぁ、仮に黒だとしてもこれが素ならば多分対して悪くもない……精々()()()()()組織の長、とかなのだろうが。

 

 なお、四天王組はこのやり取りを見てぽかん、としているため多分白である。

 ……それはそれで、特に組織とか関係なく四天王が存在している、という別種の意味不明さを醸し出すわけだが。

 

 とはいえ、話が脱線しまくってることも確かなので、いい加減に軌道修正を図る次第であった。

 

 

「軌道修正、って何を……」

「そりゃ勿論、料理の一つもできないのは人間としてあれなのでそこら辺覚えようよの会をだね?」

しまったこっちの方が問題だった!……っす!」

 

 

 いやなんで今語尾付け足した?擬態ヘタクソか???

 ……なんてことを口にしたら同人ちゃん涙目確定なのでぐっと堪え、代わりにニコッと微笑んでおく俺である。

 

 

「え、なんすか気持ち悪い……こっち見て笑うとかキモいんっすけど」

「…………」

ホギャー!?痛いっす止めてっす地味に凄く痛いっ!?

 

 

 その結果同人ちゃんが泣き声を発するおもちゃと化しましたが特に問題はありません(相手のこめかみを両側からぐりぐりと抉りながら)。

 

 

 

;・A・

 

 

 

「   」<チーン

「悪は滅びた……」

「私でもお兄さんをこんなに怒らせたことはない。同人はやっぱり持ってる」

そんなの持ってても嬉しくねぇっす……

 

 

 下手人をマット()に沈めた俺がガッツポーズを取っていると、TASさんが燃え尽きた同人ちゃんに話し掛けていた。

 良かったね同人ちゃん、君の役割は俺の代わりの被害担当みたいだぜ?(まだ収まりきらぬ怒り)

 

 

「いや、単なるスキンシップの一環みたいなモノじゃないっすかあんなの……」

「知らんのか、最近の世の中は相手優先だから被害を訴えたもん勝ちなんだぞ?」

「すさまじいまでの恣意的運用っすねそれ……」

 

 

 イジメと弄りの境界って難しいよね、というか。

 あれだ、相手が問題行動してる場合、それを茶化すことである程度親しみやすいものに変換してる……って場合なら我がフリ直せ、としか言いようがないみたいな話というか。

 

 いやまぁ、そこら辺の人付き合いの話って『誰にでも当てはまるもの』なんて定型がないから、正直その場その場で合わせなきゃならないってことなんだけども。

 

 

「……えーと、何の話してたんだっけ?」

「学校教育なんだから生徒の情緒の育成まで含むな、という愚痴」

「そんな高尚な話だったかな今の?」

 

 

 いやまぁ、深掘りするとある意味間違ってないんだろうけども。

 ……ともかく、さっきの同人ちゃんの言動が宜しくなかったことは間違いないので、その辺りの認識の差を共有したところで改めて。

 

 

「そういうわけで、五時間目は家庭科にして調理実習しようと思います」

「いや幾らなんでも唐突すぎっすけど!?」

 

 

 ははは、拒否権はないぞなんてったって寮での当番に調理担当を含むか否かの調査の意味もあるんだからな!

 ……ってな感じで、嫌がる面々に拒否は不可能であることを告げる俺なのであった。

 

 

「……そんなわけで、昼食を終えた俺達は調理室にやって来たわけなのですが……」

「こんな行き当たりばったりの授業方針が認可されるってどういうことっすか……」

「あ、ソレに関してハ私カラ補足が。このクラス特別な組分け扱いされてマスので、実は発言権が結構大きいノデスよ」

「はい?」

「言い換えると『アル程度横暴が通る』、とデモ言いマスか。……イヤー、校長先生も思いきったものデスよねー」

「け、権力者の横暴だ……っす」

 

 

 因みにだが、同じタイミングで調理実習する予定だった別のクラスは、こっちの申し入れを受けて普通に譲ってくれた。

 

 ……仕組み的には今しがた日本被れさんが説明した通りなのかもしれないが、なんというかこう『授業ってそんな簡単に予定変更できたっけ?』とか思わなくもないというか。

 いやまぁ、作るのお菓子って話したのと、できたものの幾つかをそっちにもお裾分けする、って言ったのが功を奏した気もするのだが。

 

 

「そんなこと言ったんですの?」

「まぁうん。迷惑かける形になるしそのお詫びにどうかなー、みたいな感じ?最初は渋ってたんだけど、お詫びだから俺が作るって言ったら喜んで譲ってくれたなー」

(……いつの間にか兄ちゃんの料理の腕前が教員達に共有されてる……?)

 

 

 なお、学生側は生徒が作ったやつを分ける、と最初に言った時点で過半数が首を縦に振っていた。

 バレンタインにはまだ早いが、(見た目は)美少女であるTASさん達からお菓子を貰うチャンス、ということで目が眩んだのかもしれない。

 

 

「なるほど。つまりそれは相手からの許可が出ているということ」

「言っとくけど、実験台にしちゃダメだよ」

「むぅ……またお兄さんが私の先手を取ってる……」

 

 

 仕方ないからお兄さんを実験台にしよう、とか恐ろしいことを宣っている彼女を他所に、俺は生徒達に今日作るものを発表したのであった──。

 

 

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