うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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料理の鉄人(鉄製)(適当)

 三人の少女達を主にターゲットにした、調理実習。

 無論、彼女達だけがこの授業を受けているわけではないため、他の面々の様子も見なければならない。

 

 

「だからTASさん、そのどこから持ってきたのかわからない大きな釜はしまっとこうか。確かに俺料理は科学だって言ったけど、錬金術を科学扱いするのは許されないよ?」

「むぅ、久しぶりに鍋をかき混ぜる感覚を味わいたかったのに」

 

 

 なのでこうして先んじて問題児を封じておく必要があったんですね()。

 

 ……あれだ、寮に戻ったら好きなだけ錬成していいから我慢して、的なやつというか。

 いや、本当に好きなだけ錬成させると何作るかわかったもんじゃないから、本当は止めさせたいんだけどね?

 でもこの場で止める以上、あとで何かしらの埋め合わせをしないとそっちの方が怖いというか、ストレスが何処かで爆発する方が恐ろしいというか……。

 

 

「……むぅ、前にも増してお兄さんの私への態度が極端。私何かした?」

「何かしたというか、俺が何もできてないのが問題というか……」

「?」

「いやほら、新メンバーに掛かりきりな感じだろ、今の俺。TASさん達との戯れがおざなりになっている、とか言われたら否定し切れな……痛っ、何TASさん痛い、背中を叩くの止めて俺何かした!?」

「…………」<ムフー

未だかつてみたことないような満足げな顔!?

 

 

 何がそんなに君の琴線に触れたんだTASさん……。

 思わず困惑する俺だが、彼女は『大丈夫大丈夫。私はCHEATで遊んでるからそっちの面倒見てあげて』とかなんとか言いながら、他のグループの方へ歩き去ってしまうのだった。

 ……しばらくして『ぎにゃー!!?』とかいうCHEATちゃんの声が聞こえた気がしたが、俺は知らない。南無。

 

 

「(ソレって知ってるってコトなんじゃないデスかね……?)ええと、とりあえず試作品がデキタので味見をお願いしたいのデスが?」

「おおっと早いね日本被れさん。さて出来映えはどう……かな……?」

 

 

 そうして黙祷を捧げる俺の背中から、日本被れさんが完成したという声を掛けてくる。

 タイミング的にはてきぱきとこなせば完成していてもおかしくない時間だったため、特に警戒もせずに振り向いたのだが……そこに待っていたのは、目を疑うような光景であった。

 

 

「……ええと、これは?」

クッキーデス……

自分でも自信がないのがよく分かる声の小ささ!!

 

 

 いやまぁ、単純に炭が置かれてた、ってだけなんだけどね?

 でもほら、意気揚々と調理に向かい、特に問題無さげに動いていた姿を見ていた身としては、思わず『なんで???』ってなるのも仕方ないというか。

 

 ……うん、レシピを守れと再三言ったことから、彼女がその辺りをしっかり守っていたことは知っている。

 知っているからこそ、なんで最後の最後にそうなったのか、とツッコミを入れざるをえないのだ。

 

 

「その……焼いてるウチに『私ナラ耐えられそうデスねー』とか思ってシマイ……」

調理中に何考えてるんだこいつ

 

 

 いやマジで。……いやマジで???

 

 何を言ってるのかわからない、というのはこういうことを言うのだろうか?

 なんでクッキー生地と張り合うような思考がでてくるのか。

 あれか?不死身だから焼かれても私は平気デース!とか考えてたってこと?

 それにしたって生地を炭にするまで焼く必要性は……なるほど、自分が作った生地にも気合いを入れて欲しかったのか……(唐突な天啓)。

 

 

「モノを作ることを高尚なものだと勘違いさせてしまった俺が悪かったのか……!」

「えっ、いやソノそういうワケではなく……ええぃ、先生のエッチ!」

流石にその反応は意味不だよ!?

 

 

 何がどうなれば今の話の流れで不健全扱いされる羽目になるんだ……。

 一瞬理解できた気がした日本被れさんの思考の複雑さに、思わず唸りをあげてしまう俺である。

 

 

「せんせー!ゥチのチョコ食べてー!!」

クッキーじゃなくて!?

 

 

 そうこうしているうちに、次なる刺客の影。

 ギャル子さんは何故かチョコ片手に突っ込んできて、そのチョコを俺の口にシュート・イン。

 思わず咳き込んだ俺は、しかしてそのチョコが美味しいことに気付き──、

 

 

「……ダミ子さん、呼ばれ方が近いからって手伝っちゃダメって言ったでしょ」

「ししし仕方ないじゃないですかぁ!!色んな(陰陽的な)意味で勝てるわけないんですよぅ!!」

「ぁっ、バレたか。てへ☆」

 

 

 そのチョコの提供元が誰なのかに気付き、そのまま注意する羽目になったのであった。

 うん、ダミ子さんくらいしかいないからね、このタイミングでチョコ持ってそうな人。

 

 なお、本来クッキーになるはずだった生地はというと、型抜きの時点でミスったのかテーブルの上に打ち捨てられていた。

 ……気のせいじゃなければ型の方が壊れてないですかそれ?

 

 

「……先生、諦めてもいいで「諦めたらそこで終わりだから却下」……ぬぐぅ、無理っすよこんなの……」

 

 

 なお、最後の一人である同人ちゃんは、そもそもの生地作りの時点でギブアップしていたので活を入れておいた。

 流石にそんな序盤も序盤で諦めるのは許されないよ???

 

 

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