うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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運動部系の部活は大抵温度差がある

「ぁれ、せんせぃじゃんおっつー☆」

「なるほど、今日はそっちのキャラなんだね」

「キャラとかいうの止めて欲しいんだけど???」

 

 

 はてさて、最終的に寮内全土を使っての追いかけっことなった調理部体験からはや翌日。

 今日は主任さんから提案された二つ目、空手部の見学……見学?ということになっているのだけれど。

 

 そこで出会ったのは、うちの寮生であり四天王の一人であるギャル子さん。

 ……そういえば何か格闘系の技を修めてるっぽかったけど、どうやらここが彼女の根城ということになるらしい。

 

 

「根城て……別に、うちは普通にしてるだけだけど?」

「普通にした結果他の部員が一糸乱れずこっちに挨拶するようになるんだ?」

…………(;「「))

 

 

 その目そらし芸キミもすんのね(真顔)。

 ……ともあれ、こちらが会話する間ずっと居住まいを正しこちらに頭を下げ続ける部員達、というのが決して普通でないことは俺にもわかる。

 ついでに言うと、頭を下げているはずなのにこっちに視線が向いてるのもひしひしと感じる。

 なんならそれが友好的なものじゃなくて、どちらかと言えば敵対的なのもわかる。

 滅茶苦茶睨まれてますねこれは……。

 

 

「ぁれ、そうなん?……お前達、そうなのか?

「押忍!いいえ、俺達は誠心誠意頭を下げる次第です!!」

「そうか。だが返答に気合いが足らんな、挨拶はいいからさっさと準備運動に取り掛かれ」

「押忍ッ!!」

「……だって☆」

「うわぁ(素)」

 

 

 キャラ違いすぎてビビるぅー。

 ……いやマジで、いきなりキャピキャピッとした声からドスの効いた低い声になるんだもん、これ耐性ない人だと怖くて泣いてるでしょ。

 俺に関してはROUTEさんとかの時点で割りと慣れてるから問題ないけど、それでもあの声と今の声のギャップは風邪引くレベルだって。

 

 

「そぅかなぁ?……いやまぁ、ゥチがああいぅ話し方してるの、ここだけの話だから他の人はしらなぃんだケド……」

「なる、ほど?」

 

 

 部員にだけ厳しいギャル、ということか。

 ……そういえば四天王ネームも『部員に厳しいギャル』とかだっけこの人。

 厳しさが本当に厳しそうでビックリしたけども。

 

 っていうかこの分だとあれだな、さっきこの部員達が俺に殺気を放ってたの、『部長と普通に話しやがって……』みたいな意味だったのかも?

 ここでは基本厳しい方がデフォなら、部員達的にはさっきのギャル姿は違和感を覚えるものなのかもしれんし。

 

 

「ふむ……そうなのか、お前達?」

「押忍ッ!!いいえッ!!どちらも部長のお姿であることは理解しておりますのでッ!!」

「……だってサ☆」

「──あー、そういう……」

 

 

 こちらが遠い目をしたことに、不思議そうに首を傾げるギャル子さん。

 とはいえこちらが気付いたことを言語化すると、それこそ未だに飛んできている殺気がそろそろ本気で人を呪い殺せそうに変化しそうなので笑ってごまかす俺である。

 

 ……あれだ、オタクに優しいギャルに需要があるのだから、厳しさに焦点当てるパターンもあるだろうなぁ、というか。

 どっちにしろ『他者にはしない特定の相手だけの対応』というのは、ある意味で特別扱いであることは変わらないわけだし。

 

 大方、そういう扱いをして貰える場に入ってきた部外者として警戒されている、もしくは部長を奪った(過言)とか思われてるのだろう、この雰囲気からすると。

 過大評価甚だしいのだが、確かに突然上がり込んできた部外者であることも事実。

 

 なので、この場は穏便に見学を済ませ、早々に退出するが吉だと思うのだけれど……。

 

 

「いや、どっから入ってきたのTASさん」

「理由に関しては割愛、(前回と)同じだし。あと入り方についてだけど、お兄さんが行く場所は全て私の行動範囲のようなもの」

「やだ、体のいいビーコン扱いされてる……?」

 

 

 それだと面白くない、とばかりにひょっこり現れたのがTASさんである。

 さっきまで居なかったはずなのに、背中から現れた小さな少女の姿に、周囲の部員達が密かに身構えていた。

 ……ああうん、気配とか感じられなかったんだろうね、でもその辺りTASさん相手なら仕方ないから気にする必要ないと思うよ?

 

 とはいえそれを伝えたところで本当に気にせずにいられるか、と言われれば別の話。

 寧ろこんな小さな女の子に気付かなかった、という事実の方がのし掛かるので問題というか。具体的には部長に怒られるのでは、とか思ってそう()

 

 

「……ッ!!」

「待て、彼のそれは挑発ではない。純然とした事実だ。……お前達では荷が重い」

「ぶ、部長……?」

 

 

 自分達の思考を読まれたことに思わず身構える部員達。

 ……とはいえこれは彼らが読みやすすぎるだけであって俺が悪いわけじゃない云々かんぬん。

 

 ともあれ、ギャル子さんの鶴の一声により部員達は動揺を抑え、後ろに控えた。

 結果、ギャル子さんとTASさんが一対一で向き合う形となる。

 

 

「……胸を借りるつもりで行けばいいカナ?」

「ん。あの時のチョップは私も感動した。だから遠慮はしないでいい」

 

 

 そうして始まった彼女達の一騎討ち。

 結果はTASさんの勝利、かつ一回戦が終わってもなお何回も戦おうとしたため俺がそれを止めることになったのだが……。

 

 

「押忍ッ!!兄貴と呼ばせてくださいッ!!」

「あれー?」

 

 

 何故かその結果、他の部員達から兄貴と呼ばれ慕われることになったのであった。

 なんでかなー、わかんないなー(走馬灯が見えたことを思い出しながら)

 

 

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