うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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最後に面倒を纏めるのはいつものこと

 はてさて、生死の境を彷徨った気がする空手部見学からさらに翌日。

 俺が最後に体験することになったのは、読書部という微妙に謎の部活であった。

 

 ……え?読んで字の如く『読書する』部活だろうって?

 それがそうとも言いきれない。何故かと言えば、それだけだと部活動として認められるとは到底思えないからだ。

 

 

「本を読む、という行為だけでは部活動として認められないということですわね?」

「そうそう。読んだ本の内容を元にディベートするとか、はたまた感想文を(したた)めるとか……まぁともかく、読書以外のアプローチを含んでないと部活としては認められないよなぁってこと」

 

 

 部活動とは、基本的に『生徒の自主的・自発的な参加により行われるもの』であり、『学習意欲の向上や責任感・連帯感の涵養等に資するもの』であり。

 そして、『学校教育の一環として、学習指導要領に位置付けられた活動』である……という風に文部科学省によって定められている。

 

 このうち『学生指導要領』というのがポイントで、これは教育の水準を全国で平均化することを目的にしている。

 言い換えると『それを学んだことで何を得たのか』を外部に示す必要がある、というわけだ。

 

 

「難しい話は省くけど、要するに学びを形にする必要があるってことだね。だから、仮にも部活を名乗るなら発表なりなんなり、何かしら外に向けて活動をする必要があるってわけ」

「そうでないなら同好会で十分……というわけですわね」

 

 

 横を歩くAUTOさんに、そういうことと頷く俺である。

 ……いやまぁ、一応読書部ってのが存在する学校もあるらしいんだけどね?

 たださっき言った通り、『読書だけを目的としている』部活は存在せず、書評を披露しあう大会に参加したりするのが普通である。

 

 そういう意味で、この学校の読書部は異質であった。

 何せ、活動実績が何もない。先の書評に参加した形跡もなく、ただそういう部活があるという事実だけが記されているのだ。

 

 部活動はタダではないのだから、場合によっては生徒会会議とかで『無駄遣い』とか詰られてもおかしくないというか。

 無論、生徒会長である日本被れさんが鶴の一声で『存続ッ!!』とか言って続けさせている可能性もなくはないが……。

 

 

「……それはそれで『そんなことを彼女がするのか?』という疑問を抱えてしまいますわね」

「まぁ、うん。まだ付き合いが長いわけでもないから微妙だけど、無駄を好む性格かと言われると微妙な気もするというか……」

 

 

 必要性のないものをそのままにしておくほど、生徒会長としてのやる気がないとも思えない……みたいな?

 断言しきれないのは、自分に関してのことならわりと大雑把になる面があるためなのだが。いわゆる不死者視点というやつである。

 

 ただ、彼女の場合それが適用されるのは自身に関することに対して。

 言い換えると自身の所属していない部活に適用されるだろうか?……という疑問を抱かせるというか。

 

 そんなわけなので、活動実績はないのに歴史だけはある読書部、という不可思議な存在に首を傾げることしかできていない俺なのであった、と。

 ……とはいえ、問題がそれだけかと言われると唸ってしまうのも事実。

 

 

「うちの生徒が多数所属してる、って主任さんに言われてるんだよなぁ……」

「誰が所属しているのかは見てのお楽しみ……でしたか?」

「流石にそういう風には言われてないけど……なんか目が笑ってなかったのが気になるんだよなぁ」

 

 

 あれだ、所属している生徒の内容如何によっては、その生徒こそ読書部が潰れない理由なんじゃないかなーというか。(※フラグ)

 一人の生徒に部活の存続が委ねられているのだとすれば、主任さん的にその一人を辞めさせて欲しい、とか思ってそうだというか。(※フラ(ry)

 そしてそんなことを俺に言ってくる辺り、該当する生徒なんて限られているというか。(※フ(ry)

 

 そんなわけなので、読書部というあからさまに楽そうな部活の見学が後回しにされる、という異常事態に繋がっていたのであった。

 なんならAUTOさんが俺の隣を歩いているのもそれが理由である。

 

 

「本当は万全を期してCHEATちゃんも連れて行きたかったんだけど、なーぜーかー(※(ry)何処にも見当たらなかったから、AUTOさん一人だけ連れていくことになったんだよね……」

「MODさんは『おおっと私はスパイの仕事があるから!じゃっ!!』とかなんとか言いながら逃げようとしましたので、追い掛けて別の仕事を頼んでおきましたけどね」

「うーんAUTOさんから逃げるとか自殺行為……」

 

 

 逃げられるわけないじゃんね?

 ……露骨に嫌な顔してたROUTEさんと一緒に買い出しを頼んでおいたが、はたして彼女達はちゃんと頼んだものを買えるだろうか?

 お金は成金君持ちだから、予算的には問題ないと思うけど。

 

 ともあれ、逃亡者への制裁について思いを馳せたのち、改めてたどり着いた読書部部室の前でごくり、と唾を呑み込む俺。

 予想が正しければ、この中は万魔殿である可能性が大。ゆえに覚悟を決め、扉を開いた俺が見たのは。

 

 

「……あれ?先生じゃないっすか。どうしたんすか?」

「あれ?」

 

 

 パソコン越しにこちらを見る、同人ちゃんの姿なのであった。

 ……あれ?他の面々は?

 

 

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