「……なんで不思議そうな顔を?」
「いや、うちのクラスの面々が多数所属している、って聞いてたから警戒を……」
「警戒とは穏やかじゃないっすね」
室内を見渡してみたところ、そこにいたのは同人ちゃん一人。
……うちのクラスの面々が多数在籍する、と脅されていたにしては呆気ないというか、味気ないというか。
そんな感じの室内に思わず首を傾げる俺と、そんな俺を見て不思議そうに首を傾げ返す同人ちゃん。
唯一AUTOさんだけが、何やら察したように「なるほど」などと呟いていたが……いや、実際どうなってるんですこれ?
「どうって言われても、他の人達は……って、あ」
「あ?」
そう問い返した俺に、同人ちゃんは何事かを答えようとして──別の何かに気付いたように動きを止め、視線を他所へと向けた。
辿ってみれば、その視線は部屋の外へと向かっている。
具体的には廊下の方、みたいな感じで俺もそっちを向いて……そこでようやく、外から聞こえてくる
例えるなら、遠くから走ってくる音。
それも単に走っているのではなく、何か重いものを持った状態であることを示す、ドタバタとしたもの。
それが、遠くの方からこの部屋の方に向かって近付いて来ており──、
「とーう」
「貴方様っ!?」
瞬間、扉を蹴破って飛んできたTASさんのドロップキックにより、俺は部屋のガラスを吹き飛ばしながら外へと放り出される羽目になったのであった。
……二階とか三階とかじゃなくてよかったなマジで!
「大丈夫っすか先生?」
「俺じゃなかったら人死にが出てたと思います……」
「なんだ、じゃあ誰が受けても心配ないってことっすね。確か先生って虚弱体質だったと伺いましたっすし」
「……そんなことも言ってたっけね」
とはいえ皮肉をスルーされると、それはそれで困るので普通に受け取って頂きたい。
……そんな感じに愚痴りつつ、室内に戻る俺である。
なお、散乱したガラスやら何やらはAUTOさんとTASさんが共同で直していた。
逆戻しのように綺麗に元に戻っていくガラスを興味深げに同人ちゃんが見ていたが……これ、多分この二人だからこそできるやつだからあんまり参考にはならんと思うよ?
「いや、流石にそれはわかるっすよ。あからさまに人間業じゃないっすもん」
「ああいや、そうじゃなく。二人プレイであること前提のやつだから、仮に一人でやりたいならそう言わんと教えて貰えないよっていう意味で……」
「すみません、私が悪かったので苛めるのやめて貰えるっすか???」
「いや、苛めてはないんだけど……」
そうじゃねぇんっすよ、その辺りの話を子細に聞かせようとするなって言ってるんすよ!!
……とかなんとか悲鳴をあげる同人ちゃんだが、もうその時点で手遅れなんじゃねぇかなぁって(遠い目)
ほら見てみなさいよ、TASさんが「ほう、スピードランに興味がおありで?」みたいな輝ける眼差しでこっちを見てきているよ?
なんなら「今なら手取り足取り未来取り、ありとあらゆる面から貴方のスピードランライフをお手伝いしますよ?」って感じに揉み手してますよ?
個人的には「今すぐ逃げるんだよォーッ!!」って感じで逃走することをおすすめするが、正直同人ちゃんに纏わる謎の数々を思えば素直に逃がしてくれるのかなー、なんて諦めにも似た感情が沸き上がらないでもなく。
……まぁ、俺的には俺に被害が及ばないならなんでもいいのだが。
「鬼!悪魔!TASさん!!」
「訴訟も」
「辞さない」
「……何今の!?」
「同人ちゃんが召喚呪文唱えるからやでー」
「私のせいなんっすか今の!?」
まぁ、彼らもこういう会話の度に呼び出されて辟易してるだろうから、そこら辺はね?
……なお、突然呼び出されたもの、ということでTASさん的にはとても美味しい(フラグ的な意味で)相手なので、骨の髄までしっかり利用されてしまった鬼と悪魔なのでした。
──こんなことしてるから一緒にすんな、って怒られるのでは?
「そうしてこっちに怒っているとまた呼び出されてくれる。つまりその怒りを解消する必要性がない」
「うーんまさに外道」
本当に一緒にしちゃいけないやつだった。()
……とまぁ、TASさんの話はいつまでも続けられてしまうので、いい加減このくらいにするとして。
「結局、なんで扉を蹴破って来たんです……?」
「それに関しては簡単。
「戦利品?……ってなんだ、この振動と騒がしい音……」
「とーう」
「貴方様ーっ!?」
TASさんがなんで廊下を走っていたのか、という理由の部分について尋ねた俺は、その答えを彼女から聞き終わる前に──再びの衝撃により、再度部屋の外へと蹴り飛ばされる憂き目にあったのであった。
なんなの?最近のみんなの流行りは俺をサッカーボールにすることなの???
「ごめんなさい、友達としてはちょっと……」
「なんで俺振られたみたいになってんの?!」
そんな一緒に帰って噂されるの恥ずかしい、みたいなノリでお断りされても反応に困るわ!!
……そんな感じにツッコめば、俺を蹴り飛ばした下手人──読書家ちゃんは、てへっ、って感じに舌を出してごまかしていたのだった。なんかキャラ違くねぇ!?