「部活戦、ソレは部活対抗で行われる部費の奪い合い!具体的には備品を掛けた
「ねぇ、いつからこの世界はバトル漫画の世界に変化したの???」
「き、気を確かに持ってくださいまし貴方様!?」
なんだこれ、どいつもこいつもバカなのかな?
……そんな言葉が思わず口から漏れそうになったが、傍らのAUTOさんのとりなしによりなんとか堪えた俺である。
まぁうん、シンプルに罵倒なので火種になりかねない……具体的にはよその部活から攻めてくる人とか湧きかねないからね、仕方ないね。
そんなことはともかく()、改めて部活戦についての話である。
聞くところによれば、基本ルールは互いの部活の持つ備品を賭けた決闘、ということになるみたいだが……。
それ、決闘罪とかでしょっぴかれたりしないのだろうか?
「世の学園系創作全てに喧嘩を売る発言っすね……」
「いや、大抵そういう作品って現実というか現代とは色々違うじゃん……俺達が生きてるのって現実じゃん……」
「そもそもの話、決闘罪における決闘の意味から調べ直すべきなんじゃないっすかね?」
「なるほど?」
生命ないし身体を害するような、暴行によって争闘する行為?
……つまり手や足が出なきゃ問題ないと?意外と範囲狭いんだな……。
「範囲が広いと寧ろ些細なことでも決闘扱いされる可能性がある。それくらいなら狭い方がマシ」
「そういう考え方もあるのか……」
「……エエト、話を続けてモ?」
「あ、どうぞどうぞ」
思わず脱線しちゃったんだぜ☆
……冗談はともかく、部活対抗の異種格闘技?的なものがこの学園で常態化していることは理解した。
理解した上で、やっぱりバカじゃねぇのかなと思わざるをえない俺である。
「いやだって……そんなの、TASさんの勝ちじゃないか」
「いえーい、ぴーすぴーす」
「実際、彼女を取り込んだ部活こそキング・オブ・部活……みたいな風潮があったみたいデスからねぇ」
しみじみ、といった風に両手を組みながら頷く日本被れさんである。
……うん、勝負事を持ち込んでしまった時点で、TASさん相手に蹂躙されるのは決まったようなものだからねぇ。
寧ろ蹂躙なんてされるもんか、と張り切ってる部活ほどTASさん好みだろう、というか?
難易度高い方が好きだからねぇ、この子。
「サッカー部とはドリブル対決。三週くらい差を付けて勝った」
「膝から崩れ落ちてたよ、向こうのエース」
「かわいそうに……」
「弓道部の時は全部継ぎ矢にした」
「顧問の先生が崩れ落ちてたよ」
「かわいそうに…………」
「パソコン部は自作のゲームで挑戦してきたから叩き潰した」
「初見プレイなのに完璧なプレイングを見せられて真っ白になってたよ」
「かわいそうに………………」
うーんこの。
全部活かわいそうだが、感覚的には後になるほどかわいそうさ加減が上がっているという印象だろうか?
一番手のサッカー部は……まぁうん、ドリブル勝負というごく限られた戦いだったこともあり、負けたショックもそこまで大きくはないだろう。
無論、TASさんみたいな小さい子()に負けたショックは計り知れないが、それでも後半二つに比べればまだマシである。
二番手の弓道部は、継ぎ矢で勝たれたことも勿論、それによって破損した矢の補充面でも頭を抱えていることだろう。
継ぎ矢というのは先に射たれた矢の矢筈──矢の後ろの部分に、後から射った矢の矢尻が寸分違わず刺さっている状態を指す言葉。
銃撃におけるピンホールショットに相当するものであり、その難易度は言うに及ばず。
それを手番全てで行ったのであれば、技量の差をむざむざと見せ付けられたと言い換えても違いあるまい。
ただ、それよりショックなのは恐らく継ぎ矢によって壊れた矢の修繕費用の方だろう。
基本的に、矢というのは一本五千円から高ければ二万近くもするもの。
それが何本お釈迦になったのか?……となれば、顧問が崩れ落ちるのもわからないでもあるまい。
まぁ、当の矢はTASさんが戦利品として持ってきているので、仮に壊れずとも追加費用が必要になるのは変わらないのだが。
最後のパソコン部は……言うまでもない。
恐らく何処にも出していない、オリジナルのゲームを対戦に持ち込んだのだろう。
その圧倒的優位を以てしても倒せないどころか、制作者すら把握していないバグなどを利用してすいすい初見ゲームを攻略していくTASさんの姿は、最早人外の何かに見えていただろうことは想像だに難くない。
そうして完膚なきまでに敗北した上に、ゲームを作る以外にも様々な用途に使用される命綱とでも言うべきパソコンを持っていかれているのだ、ともすれば明日にはパソコン部が消え去っているかもしれない……。
「ノートパソコンまだいっぱいあったよ?」
「それらを持ってこずにデスクトップ持ってきてる時点でギルティなんだよなぁ」
それが一番スペック高いってわかって持ってきてるじゃんね?
そんな感じにツッコミを入れれば、TASさんは「流石お兄さん、わかってる」とばかりに胸を張っていたのだった。
……ドヤる要素どっかにあったかな今?