うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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肝を試す必要、ある?

「今日は休み。みんなで遊びに行く」

 

「……なんてTASさんの鶴の一声で出掛けることになったわけだけど、ここは何処?」

「それは勿論、色々出そうな山」

「肝試しにはまだ早いんじゃねぇかなぁ???」

 

 

 なんでこんな羽目に……。

 学校休みの週末、特に何もなければそのまま部屋でのんべんだらりとでもしていようかと思っていたのだが、朝食の際にTASさんの発した一声により、何故か全員参加の肝試し大会?的なモノが始まってしまった。

 

 いや、今まだ春なんですけど?旧暦なら確かに夏になるけども。夏真っ盛り判定だけど。

 

 

「ある意味間違ってないんじゃないですか?最近だと五月の時点で真夏日だったりしますし」

「おう、その後七月八月と気温が下がるんならそうも言えるわな、実際は?」

「酷暑日が待ってますね」

単なる二極化ぁ!!

 

 

 冬か夏しかねぇなこの四季!秋と春何処いった!?

 ……とまぁ、何故かチームを組まされた新聞部君に愚痴る俺である。

 

 ところでなんでこの組み合わせなのかって?

 TASさんから「お兄さんは彼と余り打ち解けられてない。これを良い機会にしてもっと仲良くするといい」とかなんとか言われた結果だよぉ!!

 

 

「余計なお世話、と言うべきでしたかね?」

「そうだねぇ!それを口にした場合君の顔が陥没してるかもだけどねぇ!」

「うーん恐ろしい。今時暴力系ヒロインなんて流行りませんよ?」

「それは清廉潔白・他者に責められる所以のないモノのみが発するべき言葉だな」

「はっはっはっ、これは手厳しい」

 

 

 なおチームと述べた通り、実際には二人だけではなく成金君も含めた三人組である。……こらそこ、雑に男達を纏めただけとか言わない。

 まぁ、変に畏まる必要がなく自然体でいられる、という意味ではありがたい組み合わせだとは思うのだが。

 

 

「……貴殿は何を言っているのだ?」

えっ、いや俺変なこと言ってなくね?女子の中に放り込まれた青年男性とか気まずさマックスでしかなくね?」

「本気で言ってるのであれば、脳の検診を受けた方が宜しいとおすすめさせて頂きますよ」

何?喧嘩売ってるなら買うけど???

 

 

 なんだこの生徒、慇懃無礼にも程があるだろが(真顔)。

 

 ……なんて風に愚痴るものの、まぁ確かに今まで気まずさを感じたことがあったのか、と言われれば微妙なところ。

 んなもん感じてたらTASさんに磨り潰されてるわ、という内心は内緒である。

 

 

「そうなんですか?」

「気恥ずかしさなんて感じてたら、まずTASさん基準のお散歩()に連れていかれるだけで瀕死確定よ」

「お惨歩とでも言うつもりか貴殿……」

その通りだが?

「わぁ目が笑ってない」

 

 

 考えても見るんだ、例えば突っ切ると五分短縮できる道があるとして、それを通る間に多種多様なトラブルが待ち構えている場合、TASさんはその道を通らないのかと。

 正解は嬉々として通った上でトラブル全部踏む(発生させる)、だ。内容が難しければ難しいほど大興奮確定ですねわかります。

 

 ……そんな前提であるため、TASさんの散歩に付き合わされる俺は常に死と隣り合わせ。

 いやまぁ、本人に聞いたら多分「お兄さんは心配性。私と一緒にいるのに死ぬわけがない」とか言うけど、だからって精神的な負担が軽減されるかというと別の話なわけでして。

 

 というか、結果として死んでない現実(けっか)がお出しされてるけど、それにたどり着くまでの課程(ついき)の中には数千数億の俺達の骸が転がってる可能性大なわけで。

 そりゃまぁ、似たような能力持ちのROUTEさんも「正気かこいつら」みたいな顔しますよーって話なんだわ。

 寧ろ同業者に引かれるってなんだ?TASさんだったわ(納得)

 

 

「落ち着け」

電化製品っ!?……はっ、俺は一体何を」

「……AUTO殿から彼が暴走した際には斜めから衝撃を与える(思いっきりチョップする)とよいと聞いていたが……こう、ここまでうまく行くとどういう顔をすればいいのか悩ましくなるな……」

「笑えばいいんじゃないんですかね?」

 

 

 俺は一体、ここは何処?

 ……え?何か出そうな雰囲気のある山?なんだまたTASさんか。

 

 なんだか数分ほど記憶が飛んでる気がするが、目の前にお出しされたトラブルの種に比べれば些細なことだな、うん。

 こういう切り替えを咄嗟に行えないと、TASさんについていく上で命が幾つあっても足りないからな……。

 ……ん?命?複数?うっ、頭が!

 

 ……深く考えるとよくない気がしたので流すことにしつつ、改めて同行者二人に視線を向ける俺である。

 彼らはこそこそと何かを相談していたが、こっちが視線を向けていることに気が付くと内緒話を止め、こちらに追従する意思を見せてくる。

 ……言い方を変えると『お前先行けよ』である。

 いやまぁ年長者が先導しろ、ってのはわかるんだけどさぁ、俺無能力者なんだけどぉ!?

 

 

「はっはっはっ、無能力者は空を走って人を追いかけたりはしないんですよ?」

「ぐっ、TASさんのスパルタ特訓の成果がこんなところで俺に不利を……っ!!」

「わけのわからない言い争いをしてなくてよいから、さっさと行かぬか?」

「「あっはい」」

 

 

 ……もうこれ成金君がリーダーでいいんじゃねぇかなぁ?

 そんなことを思いながら、俺達は雰囲気溢れる山の入り口へと足を踏み入れたのだった。

 

 

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