「──ん、いい感じにみんな仲良くなれたみたい。良かった良かった」
「アハハハソウデスネー」
(同人さん……お可哀想に……)
……なんか数日ぶりに合流したような気がするな?()
ともあれ、なんとか山頂にたどり着いた俺達は、そこで無心にサンドイッチやら唐揚げやらを頬張り続ける同人ちゃんと、その姿をにこにこと眺めるDMさん(及び他の二人)を見付けることになったのであった。
なお、その姿を見たTASさんの反応はさっきの通りである。でっかい節穴かな?()
「そんなことはない。ねぇ読書家?」
「そうだねTAS。私達は友達、ラブ&ピース。いえーい」
「いえーい」
「未だかつてこれほど心に響かないラブ&ピースがあっただろうか……」
いやない(断言)。
えー、とぶーたれる二人には悪いが、同人ちゃんをこのままにしておくと確実によくないことになるのが見えるため、涙を飲んで正気に戻すための行動を開始する俺である。
「……エッ,ナニスルツモリナンスカイヤチョッマッワタシハショウキぎょえー!!?」
「古い作品のやられ役みたいな叫び声だなー」
具体的には斜め四十五度から打つべし、打つべし!
悪霊退散無病息災家内安全交通安全(適当)、破ァーッ!!
……ってなわけで、錯乱した同人ちゃんは元に戻ったのである。善きかな善きかな。
「何もよくねぇんすけど……?」
「おや、まだ悪い気が残ってるのかな?」
「ひいっ!?まだやり足りないんすかまさか!?」
……おかしいな、あれだけ叩けば同人ちゃんの体から悪い気は全て追い出されたはずなんだが?
もしや叩き具合が足りなかったのかな?
……とばかりに再度右手を構える俺を前に、同人ちゃんは涙目で叫んだのであった。思わせ振りな態度は止めてもろて()
(まぁ聞きなされ同人ちゃん)
(なんすかいきなり小声になって、もう殴られるのはこりごりっすよ?)
(思いっきりぼこぼこにしたみたいな言い方してるけど、普通に滅茶苦茶手加減してるからね?……いや言いたいことはそれじゃなくて)
(じゃあなんすか?私をぽこぽこ攻撃することへの何か明確かつ納得の行く説明でもあると?)
(あるある)
(はぁ?)
とはいえ、何やら行き違いがあるようなのも確かであるため、その辺りの差を埋めるため彼女に近寄って耳打ち。
こちらを不審げに見つめる同人ちゃんに、彼女をぼこぼこにしなければならなかった理由を告げる俺であった。
(俺がやってなかったらTASさんがやってたよ?)
(……はい?)
(いや、さっきの攻撃。正気に戻すためって言ったけど、俺がやらなかったらTASさんがやってたよ?)
(──なんでっすか!?今さっき『仲良くなって良かった良かった』みたいなこと言ってたじゃないっすか?!)
(いや、あの後に『それはそれとしてちょっと鬱陶しいから正気に戻って貰う』って思いっきりどつきに行く気満々だったよあの子)
「理不尽!!」
「……?もしかして同人、正気に戻れてない?」<スッ
「いやー生まれ変わったみたいにスッキリとよい気分っすねー!流石は先生の目覚まし、よく効くっすー!!」
「──なんだ、私の気のせいだった」
(ほっ……)
まぁ、俺が無茶苦茶やる時ってTASさんに先んじて状況をうまいこと推移させよう……みたいなノリであることが大半なので、今回もその例に漏れない話だったのだけれど。
同じ酷い目に合うのなら、TASさんにやられるより俺にやられる方がマシだろう……という感じ?
それを『そもそも酷いことにならんようにできんのか?』……とツッコまれても困る……みたいな話というか。
相手はTASさんのやることぞ?……起きる起きないは彼女の手の平の上に決まってるでしょうが。
まぁ、その結果TASさんが倒すべき巨悪、みたいなことになってるのは問題かもしれないが。
「とはいえそれを指摘したところで、TASさん本人からすれば『?死ぬより酷い目に合ってもいいの?』とか、未来視能力者特有のマウントを受けるだけなんだけども」
「酷くないっすかそれ」
「多分『貴方には言われたくない』って返されるんじゃねぇかな」
「ななな何を仰ってるのかわかりかねますねぇ~……あっ、す」
(最早ごまかす気あんのかなこの子)
とはいえその問題も、相手が巨悪(仮定(断定))なら普通に解決するわけだが。
あれだ、悪人相手なら何をしてもいい、みたいな扱いされてないだけ儲けモノ、みたいな。
……それを告げられた結果挙動不審になるのは、最早ごまかす余裕もその元気もないと言ってるようなものなのではなかろうか。
「…………」
「……獲物を前に舌舐めずりするのは、三下のすることですわよ」
「そう。今回の私は三下ムーブ」<ドヤッ
「……左様でございますの」
そろそろ狩るか、みたいな空気感を醸し出すTASさんに苦言を呈するAUTOさんと、それを受けて何故かドヤ顔をするTASさんを見ながら、俺は同人ちゃんの命日も近いのかもしれないな……などと神妙な顔をするのであった。
「いやそもそも殺そうとしないで欲しいんっすけど!?」
「それは君の選択次第じゃないかなー」
『踏み台か、キャラ変か……無事に越えられるかのぅ』
「そんな他人事みたいな!?」