うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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絶対絶命!同人最後の日(TASもあるよ)

「タイトルまで私の命の危機を主張してるぅーっ!!?」

「?何を言ってるの同人、もしかしてまだ正気に戻ってない……?」

「戻ってる戻ってます戻ってるんです大丈夫ですっす!!!」

「おお、超元気そう。良かったね」

「そうっすね……」

 

 

 はてさて、親交を深める(?)目的で開かれたピクニックから早数日。

 同人ちゃんの城である読書部の部室において、彼女は唐突に大声をあげていたのだった。

 

 これには偶然部屋に入ってきたTASさんも心配顔。

 主に前回のあれで足りてなかったのかな、的な意味で。

 当然同人ちゃん的には再度酷い目になぞあいたくもないので、必死の否定である。

 その甲斐あって納得してくれたTASさんを見て、ふうと額を拭う様はなんというか哀愁を誘う……。

 

 

ってそうじゃなく!!この唐突に襲ってきた濃厚な死の香りはどうすれば?!」

「諦めたら?」

他人事ぉ!!

 

 

 いや実際他人事というか、TASさんが不思議そうにしてる時点でそこまで大事になりそうにないというか?

 

 何せ彼女はTASである前に未来視能力者、それも早々並ぶ者のいない頂点級の能力者である。

 そんな彼女が特に何も身構えたりせず、ボーッと机に頬杖をついているだけとか、そりゃもう何も起こらないことの証明……証明…………。

 

 

「やべぇこれヤバいやつだ!?」

「!?」

 

 

 突然机を叩きながら立ち上がった俺にビクッ、と反応する同人ちゃんはちょっと面白かったが、そんなことはどうだっていい。

 今しがた問題ないと口走った矢先に方針転換するのは中々に恥知らずだが、その恥を偲んで敢えてこう言おう。

 ──今の状況とてもヤバい!

 

 

「えっ、なんすか急に発言を撤回するとか」

「お、他に慌ててる人がいるから逆に冷静になる、ってやつかな?台詞を何時ものに戻す余裕が出てきているようだ」

「ななな何を言ってるんすか私はいつでもこういう話し方っすよ???」

「動揺しまくりじゃん。まぁそんな君より遥かに動揺してるのが俺なんだけどどどどど」

「おお、先生が高速振動」

 

 

 唯一、この室内で一人だけプレーンな状態の読書家ちゃんが、俺達のやりとりに拍手を送ってくるわけだが……そんなのも気にならないくらい気が動転している俺である。

 

 

「何故かって?さっきまで気付かなかったけど、今のTASさん()()()()()()()からだよ!!」

「はい?????」

「はいそこ!意味がわからんとばかりに首を捻らない!!」

 

 

 その理由は、TASさんの今の状態。

 これ、前にも見たことがあるやつだと思い出したのだ!

 具体的には未来視技能が不全状態にある時のやつ!!

 

 

「未来視技能が不全状態……?」

「うむ。TASさんが何故TASさんと呼ばれているのかと言うと、その理由は彼女の未来視技能が一種のトライ&エラーに対応しているからなのである」

「なんか解説始まった!?」

 

 

 まぁ、細かい話は以前の話でも回想して貰うとして……。

 ともかく、TASさんがTASらしい動きをできるその理由の大半が、彼女の持つ未来視技能に秘められていることは確かな話。

 そしてそれゆえに、なんらかの理由で未来視ができなくなると、同時に彼女はその見た目通りのか弱き乙女にレベルダウンしてしまうのだ!!

 

 

「か弱き乙女……?」

「そこで疑問を差し込んでると、元に戻った時に酷い目に遭うぞ」

「ひぃっ!?嘘っす冗談っすTASさんはとても素敵で可憐な乙女っすぅ~!!?」

「それはそれで嘘臭いな……」

 

 

 持ち上げるにもやり方ってもんがあるでしょ、と思わず半目になる俺。

 まぁパニクってる同人ちゃんはともかく、問題はTASさんである。

 

 今の彼女は未来視のみの字もない状態、それゆえに戦闘力は皆無。

 そうするとどうなるのか?答えは単純、彼女の不調を聞き付け恨みを持つ者達が大挙してやって来るのである!!

 

 

「えっ」

「えっ、じゃないよ察してよ。この子TASとして裏社会を飛び回る時も一切変装とかしてないんだよ?顔だってバレてるし居住先だってバレてるわい」

「ええっ!?」

「ん、予めTASから文句を言うように頼まれてたから、変わりに言うね。『お兄さん失礼、変装した方がいい時は変装してる』」

「それ敵陣に上から戦車落としたりする時限定だよねぇ!?」

 

 

 潜入任務の際の暇潰し、的なやつというか。

 ……そんな真の英雄が誕生しそうな話は置いとくとしても、彼女が方々の組織から恨みを買っていることは事実。

 それでも無事に暮らせているのは、例えそこらの組織が手を組もうとも、TASさんからしてみればわざわざ難易度を上げて自分を楽しませてくれるアトラクション以外の何物でもないから。

 

 端的に言えば凄まじく舐められていると同時に、そうされても文句を言えないほどに彼我の戦力差が有りすぎるのだ。

 

 

「なので、そういうのが一切無くなった今のTASさんは、リベンジする大チャンス。世界各地から彼女の命を狙って刺客が大挙する可能性大なんだよ!」

「そ、それはまた大変っすね……」

「他人事みたいに言ってるけど、君も巻き込まれるんだよ」

「へっ?」

「今までの鬱憤をTASさん一人相手にぶつけたところで、解消されるわけがないでしょ」

「り、理不尽!?」

「悪役なんてそんなもんでしょー」

 

 

 美学とかないんっすかそいつら!?

 ……と恥も体裁もなく叫ぶ同人ちゃんに、俺はやれやれと首を振るのであった……。

 

 

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