「あら、こんなところで奇遇ですわね、貴方様」
「……あれ?この流れってもしかして、しばらく個別回が続く感じ?」
「いや、なに突然メタいこと言ってんのさアンタ……」
「おっと個別じゃなかった、セット回だった」
「あの、もしかして今回は、そのノリで通すおつもりなので……?」
例え休みの日だからといって、毎日みんながうちに集まるというわけでもなし。
それぞれがそれぞれにやることとかあるだろうから、それによって人が揃わないなんてこともあるし──こんな風に、出先で誰かに出会うこともある。
……と、いうわけで。
どうやら二人で仲良く買い物に来ていたらしい、AUTOさんとCHEATちゃんに遭遇した俺はというと、特に疑問に思うこともなく、二人に合流することになったのだった。
……え、若い女の子二人と合流するの、色々と勇気が居るんじゃないのかって?んなもん気にする時期は過ぎましたよ()
「そういえば……今日はお兄さん一人だけだけど、TASの方はどうしてんの?」
「この間の仕事の後始末中ー。まとめて拿捕した船の中に、なんかちょっとヤバイのが居たとかなんとかで呼び出し受けてたよ」
「……それ絶対、詳細な内容とかについて聞かない方がいいタイプの話……ですわよね?」
「そうそう、ヤベーやつヤベーやつ。実はー、なんか某国の工作員が混じってたらしくてねー?」
「私、今そういうの聞きたくない、ってはっきり言いましたわよね!?」
え、ごめんフリかと思った。
なんて風にあっけらかんと答えたところ、キレたAUTOさんにチョークスリーパーを掛けられる羽目になりましたが、俺は至って元気です()
なお、件の工作員さんに関しましては、現地のTASさんが鬼のように判定が広い英国淑女(ロー)キックで薙ぎ倒していたらしい、ということをここに付け加えておきます。
「……なんで英国?」
「英国と言えば紳士、紳士と言えば
「いや、答えになってねーよ……」
「ところで貴方様は、一体なにをしにこちらまで?」
「することなくて暇だったから、なにか本でも買おうかと」
「本ー?アンタがー?」
「……そこはかとなく俺のことバカにしてないか?」
いやいや、そんなことはないよ?……と半笑いを浮かべている、CHEATちゃんのこめかみをぐりぐり圧迫して泣かせつつ、AUTOさんと談笑しながら歩いていく俺。
現在地は、この間彼女達が服を買いに訪れた店などがある、複合商業施設。その服屋とは別の一角に本屋があるので、そこを目指して俺は家を出た……というわけである。
まぁ、買い物するのにも丁度良い場所なので、本を見繕ったあとは夕食用の食材の調達も済ませるつもりなのだが。
「この辺りは都会と言い張るには、少し寂れていますものね」
「本当の田舎みたいに、ショッピングモール以外の選択肢がないってわけでもないけどなー」
「なんでこの子達、いきなり全方位に喧嘩売ってるの……?」
やはりVの者とかやってると、煽り癖とか付いてしまうってことなのだろうか。……え?煽らないVの者もいる?そもそもAUTOさんはVの者じゃない?
まぁともかく、外出中と言うこともあって派手モードなCHEATちゃんの言葉に、適宜こちらからツッコミを入れるなどしつつ、今度は彼女達のここでの目的について尋ねることに。
「いえ、私は既に用事を済ませたあとですの」
「おや、そりゃまたなんとも。……興味本位で聞くけど、なにしてたの?」
「ずっと太鼓叩いてたよ、なんかどうにも上手く行かないらしくて、頻りに首を傾げてたけど」
「……あー、もしかして躍りながら?」
「そうそう、躍りながら。……って、知ってたんじゃん」
「最初に会った時に同じ事してたからね、AUTOさん」
CHEATちゃんの言によれば、午前中の彼女はひたすら太鼓を叩いていた、とのこと。
……十中八九例の音ゲーのことだろうが、どうやら最初に出会った時と同じく、フラメンコ的なダンスを交えながらの演奏だったらしい。
正直俺には演奏にフラメンコを交える意味がわからないのだが、そういえばあの時TASさんが、なにか気になることを言っていたような……?
「それはなんですの!?」
「うわびっくりした。……ええと、『アレはそういうもの』、みたいなことだったと思うけど……」
「……ああなるほど、やり方が間違っていましたのね……」
「今度は項垂れ始めたぞ……」
「テンションが乱高下すぎる件」
その言葉を、改めて彼女に伝えると。
AUTOさんは突然、両膝を付いて地面に倒れ込んでしまったのだった。
……急にこちらに近付いて来たかと思えばこの反応、なんというか彼女も大概変な人だなー、と思うに不足ない奇行だと思います、はい。
まぁ、そのことを口にしたら口にしたで、「貴方様には言われたくありませんけどー!!?」と叫ばれたわけなのだが。
……いや、周りからスッゴい見られてるから、やめた方が良いと思うよ、そういうの。