うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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気にする必要ないよと笑う君

「……なるほど、中々に奇怪な人生を送っているのだねぇ、君達は」

「反応軽っ」

「ん?ああ、私が突然湧いたのかも……という部分かい?世界五分前仮説みたいなものだろう、そんなに気にするほどのことでもないさ」

「敢えてもう一度言うけど、反応軽っ!!

「はははは」

 

 

 いや、自分の存在についての話でそんなにゆるっとした反応が返ってくるのは、中々に驚きだよ???

 

 ……というわけで、こちらの懸念を話した結果返ってきた保険医の反応に、思わずこっちが面食らった次第である。

 だがそれも、続けてTASさんから放たれた言葉である程度氷解したのであった。

 

 

「一緒には暮らしてないけど、たまにハガキは送ってた」

「んん?」

「近況報告。送ると良いことがある」

「……んん?」

「あれを近況報告と呼んで良いのかは甚だ疑問だけどね。『乱数調整』、なんて書かれた紙が届いた時には何事かと思ったよ。我が妹の娘らしい突拍子の無さ、と納得もしたけどね」

「何やってるのTASさん!?」

 

 

 悪戯かなにかと勘違いされる可能性大っていうか、『乱数調整』って単語を知らない人には嫌がらせ以外の何物でもないよねそれ!?

 いやまぁ知ってても大概嫌がらせだと思うけど!!

 っていうか、それを『なんだ姪からの近況報告か』って感じにスルーする保険医も保険医だけども!!

 

 なんだろう、割れ鍋に綴じ蓋……ってほどじゃないけど、ほどほどに放任主義なのがTASさんの保護者として最適すぎるというか。

 やっぱりこの人、三周目でご都合主義的に生み出された人なんじゃあるまいな?(疑いの眼差し)

 

 

「そこに関してはご自由にご想像どうぞ?どうせ他人のクオリアなんて実際には触れられないんだから、自分が思ったことこそ正解……みたいに割り切るのも必要なことだろうさ」

「クオ……なんだって?」

「何、他人の意識ほどあやふやなモノもない……ということだよ」

 

 

 うーむ、どうも煙に巻かれた感が……。

 とはいえこれ以上追求しても得るものがない、というのも間違いなさそうなので、とりあえず当初の問題に立ち返ることにする俺である。

 

 

「当初の問題?」

「ええはい、とりあえずもうベッドから出ていいんですよね俺?」

「……ああ、そういえば死にかけてたんだっけ、君。この学校人死にが日常茶飯事過ぎて、あんまり気にしてなかったけど」

「ちょっと待って今なんか唐突に別ベクトルで気になること口走ったよこの人」

 

 

 あれかな?推理ものの舞台だったりするのかなこの学校???

 いやまぁ、いわゆる異能バトルの舞台っぽいし、そういう方面でヤベーのはわかってたけどね!!

 

 とはいえ日常茶飯事レベルで人死にが出てる、というのは聞き捨てならない。

 確かに俺の周囲が血腥いのは本当のことだが、そこからはずれたところまでそうなのは話が違うぞ!

 

 

「……?……ああいや、どうにも勘違いをさせてしまったみたいで申し訳ないのだけれど……人死にと言っても取り返しの付く類いの話だよ?」

「え」

「さっきも言っただろう、私の周りで不思議なことは早々起こらない、と。……妹の残した贈り物ということなのか、私が行く先々では死にそうな人も途端に元気になるんだよ。()()()()()()()()()()()()

矛盾しかねぇ!?

 

 

 起こってるじゃん!!不思議なことがその場で起きてるじゃん!

 あれか、巻き込まれないのが前提でそれ以外はわりと適当なのかその体質(?)!!

 

 ……ダメだ、この人と話してるとツッコミが過多になる!

 こんなところにいたらそのうちツッコミのし過ぎで倒れかねない!そんな死に方は嫌じゃ!!

 

 

「はっはっはっ、やだなぁさっきから言ってるじゃないか。私の周りでは不思議なことは起こらない、と」

暗にそのままツッコミ続けてろって言ってるこの人!?

 

 

 あれか、そんな死に方する俺は珍しいからそんな事態起こりっこないってか?喧しいわ!!

 

 

「もうええわ!ありがとうございました!!」

「ははは、一生分笑ったかも。彼はいつもあんな感じなのかい?」

近況報告に送った通り(そうだよ?)

「んー、そうかそうか。私の読み込みが足りなかったか。……いやそれ私が悪いのかな?」

 

 

 埒が開かないので、保険医の言葉を振り切りベッドから飛び降りる俺。

 背後では変わらず二人が話す声が聞こえたが……このまま付き合っているといつまでもツッコまされる可能性大であるため、心を鬼にして出口の扉に手を掛け。

 

 

「ヘーイ!!今日も元気に死にマシタデース!!……って、おや?」

「おま……おまっ、なんて絶妙なタイミングで……」

「ほ、ホワイッ!?なんで先生吹っ飛んでるデスか!?」

 

 

 お前が吹っ飛ばしたんだよ、と答えるだけの余力はない。

 

 こちらが扉をスライドさせようとした途端、それより遥かに大きい力で引っ張られた扉は、その取っ手に手を掛けていた俺ごと横に移動。

 つられて移動した俺もそのまま横に動き、結果保健室の壁に衝突。

 

 結果、下手人である日本被れさんを恨めしそうに見ながら気絶する俺と、そんな俺を見て困惑しきりの日本被れさん。

 それから、その一連の流れを見て過呼吸を起こすくらいに笑っている保険医……という光景が、保健室の中で繰り広げられることになったのであった。

 

 

「……奇跡的な乱数の並び。録画しておきたかった」

「気にするところそこなんデスか!?」

 

 

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