「 」<チーン
「哀れな……」
あれだ、友情破壊ゲームで貧困の神様擦り付けられた時みたいな凹み具合……いやそれだと微妙か?
んじゃあせっかく大貧困神擦り付けたのに、相手への被害ほぼ零でこっちに帰ってきた挙句自分への被害は甚大だった……みたいな感じ。
「なんでそのゲームやってないとわかんないような例えしかないんっすか……」
「いや絶望感がわかりやすいかと、その時の俺の」
「ただの実体験だったっす!?」
みんなもTASさんと遊ぶ時は、できる限り彼女と敵対関係になる可能性のあるものを選ぶのはやめようね!!お兄さんとの約束だ!!
……TASさんと遊ぶ機会なんて普通はねーよ、ってっツッコミは厳禁な()
そんな俺の小粋な冗句を挟んだことにより、どうにか調子を取り戻したらしい同人ちゃん。
今現在は自身のスマホ片手に、かつての古巣()がどうなったのかを確認中である。
「うへぇほんとだ、いつの間にか
「因みにこっち側が払ったのは一円」<フンス
「それあれっすよね?金額記入欄に『0』って記入しても
「そうだよ?」
「クソァッ!!」
うーむ哀れな……。
買収金額の異様な低さは言うまでもなく、そもそも『M&A』って言葉を勘違いしてそうなTASさんには色々言いたいことがあるが、たぶんその辺りを指摘しても彼女の小首が傾げられるだけなので諦めた……みたいなノリの叫びだろう。
気持ちはよくわかる、そしてその上で
「えっ」
「よく思い出してみてくれ同人ちゃん。そもそも俺達、何のためにこんなところまで連れ出されたんだっけ?」
「あっ」
そう、酷い言い方になるが、同人ちゃんのところの組織が潰れたのは、既に何日も前のこと……いわば既に終わってしまったことなのだ。
ゆえに、今日の目的は何一つとして果たされていないどころか、そもそも始まってすらいないということになるわけで。
まぁ一応?自分のとこの組織が目の前で滅ぼされる、ないし自らの手でそれをしなければならなくなる……みたいな最悪の事態は免れているため、絶望感は薄いかもしれないが。
ともあれ、本来の目的を示唆したのだから、いい加減話も進むというもの。
「今日向かう先は主に『
「ひぇっ」
まぁ悪い顔、などと呑気に考える俺の横で、わかりやすく息を呑む同人ちゃんである。
でもまぁ、無理もないといえば無理もない話。
何せ今のTASさん、初見の人が見ても意見が一致するくらいに
共同生活を続けることで彼女の行為に慣れてきた同人ちゃんも、彼女のこの顔は初体験だったことだろう。
なお、こんな顔をしているが別にTASさんが悪い子になったとか、そういう話ではない。
「いやハッスルって」
「実際そうとしか呼びようがないし……同人ちゃんが何か他に呼び方とか考えるってんなら、そっちに合わせる用意はあるけど?」
「いや別にそういうのはないっすけど……」
ちょっとひっかっただけであって、別に文句があるってわけでもないっすし……。
などと視線を逸らす同人ちゃんである。……人のネーミングセンスに口を出すんなら、自分のセンスに最低限自信を持ってもろて。
ななななにを言ってるっすか?!……などとどもりまくる同人ちゃんだが、隠せてると思ってるのはたぶん君だけですよ?
何せさっき話題に上がった同人ちゃんの組織、普通に微妙な名前だったし。
「 」
「ちゃんといい感じの名前に変えておいたから安心して」
「TASさん基準の『いい名前』とかこの世で一番当てにならないやつじゃないっすかやだー!!」
で、その変な名前だった彼女の古巣だが、現在の名前は『アドルルグ』となっている。
意味は分からないがなんとなく響きはいいだろう?
まぁ命名した本人であるTASさんに意味を尋ねたところ、何故か首を捻られたんだけどね!!
それどっちの意味かな、『意味なんて一目同然でしょ』ってことなのか、はたまた『この配列に意味があるだけで言葉としての意味はないよ』ってことなのか!
TASさん相手だとどっちもありうるから困るよねははは!
「止めてくださいっすうちの子達を実験動物みたいに扱うのはぁ!!」
「?使われてるのは名前欄だけ。中身には被害はないよ?」
「風評ぅっ!!」
いやまぁ、そこをツッコむのならそもそもの組織のダサい名前にツッコむべきじゃ、とは流石に言い出さない俺なのであった。