頻りに「なんと」と呟きながら、地元の警察に連行されていく首領。
何にせよ、これにてようやく一件目の組織が壊滅したわけで。
「これにて一件落着……とはいかないんだよなぁ」
「……そういえば今回って多数の組織を潰すとかなんとか、そういう話だったっすね……」
「いや、それもあるんだけどさ?」
「?」
うーんこの。
自分がやったことの重大さをよく理解してない様子の同人ちゃんに、思わず天を仰いでしまう俺である。
そんな俺を見て疑問符を頭上に浮かべる彼女に、
「……ほれ」
「んん?何を指差し……げっ!?」
すっ、と右手を持ち上げ、とある一点を指差す。
彼女はその指先を目線で追っていき──そこにあったモノを視認したのち、大きく呻き声をあげたのだった。
俺が指差した先。
そこにいたのは、なんだか照れ臭いような誇らしげなような、そんな微妙な顔をしたまま鼻先を擦るTASさんの姿。
……今の彼女の心境を簡単に表すと、すなわち『……へへっ、やるようになったじゃねぇか同人』(※意訳)である。
うん、主な目的はTASさんのストレス発散とはいえ、その影に隠れて(自分に対抗できるような)RTAさんの育成を進めたい、みたいな思惑もあったはずなわけで。
で、そのことを知っている状態でさっきまでの同人ちゃんの動きを分析してみると、だ。
「物の見事・順調なまでにRTAとしての道をひた走っているように見えてこないか?」
「違っ、私にそんなつもりは……って、その生暖かな笑みをこっちに向けるのは止めろっすよ!!?」
うん、
そんなわけなので、今のTASさんは微妙にウザい感じのニヤニヤ笑いを同人ちゃんに向けているのでした。無論当社比。
そりゃまぁ、同人ちゃんも必死になって否定するというもの。
だがこのパターンの場合、そうやって必死になって否定すればするほど『またまたー、そんなこと言っちゃって。私はわかってるんだからねー?』というTASさんの考えを後押しする結果になるわけで。
──まさに悪循環、まさに堂々巡り。
ゆえに、これから起こることもなんとなく予想できてしまうわけで。
「よし、じゃあその調子で次も行ってみよー」
「え゛っ」
俺が思わず『あーあ』、という気持ちになってしまうのも無理のない話なのであったとさ。
「よし、やれ、そこだ同人ー」
「ぬぉぉぉぉぉあああああっ!?」
「こりゃひどい」
嫌がる同人ちゃんを小脇に抱え、飛んだTASさんが向かった次なる場所。
その組織はいわゆる動物愛護が極まったタイプのモノであり、その主張をわかりやすく言うと『地上を汚す現人類は残さず消えるべし』みたいなものになる。
なので、末端になると自分の命すら顧みず突撃して来たりするものも多いのだが……そんなバーサーカー達に追っ掛け回されてる同人ちゃんを他所に、俺は俺で別の課題を出されていたのだった。
「立派な御題目を唱える組織ってのはなんでこう、中心に向かうほど腐るんだろうね?」
「自浄作用が働かなくなるから、『これくらいなら』『ちょっとくらいなら』が積み重なって感覚がおかしくなる。結果、外から見ればあからさまにおかしいのに、組織の理念的にはなんにも間違ってないみたいなことになる」
「うーん政治腐敗……」
天狗になると失墜するまで有頂天になる、みたいな話なのかもしれない。
ともあれ、下っぱ達が『動物に怪我なんてさせられない』みたいな感じで自ら突っ込んでくるのに対し、幹部層になると『動物様のやりたいように』みたいな詭弁で猛獣達をけしかけてくる姿に、思わず嘆息する俺である。
何があれって、単なる猛獣くらいならもう怖がる余地もないってのがね。
何が猛獣じゃこちとら恐竜と戦ったんやぞ(白目)
「流石はお兄さん、その意気その意気」
「わーTASさんのおうえんだーうれしいなー」
「ふざけているのかね!?」
ひらりひらり、と襲い掛かってくる大型犬達を回避しつつ、幹部達が居る場所へとひた走る俺。
その横ではTASさんがメガホン片手に並走しており、なるほどこの場面だけ切り取れば日常の範囲、すなわちふざけていると評してもいいのかもしれない。
無論、そのおふざけで壊滅させられるこの組織はもっとふざけてるのだが。
「き、貴様ぁっ!!」
「怒った?でも俺は謝らない。何故ならTASさんに狙われた時点で、この組織の正当性は欠片も信用がないからね!」
「動物達に危害を加えてないだけこっちのがマシ」<ドヤッ
俺は流石に興奮している動物を落ち着かせるような術を持たないので、その方面はTASさん任せだが……それ以外は俺のお仕事。
ってなわけで、罠やら動物やらを軽快に回避しながら幹部さんの顔面に
……いつの間にやら俺も、随分変態機動するようになったもんだなぁ……ってあ(足を挫く音)