「お兄さん、ペラ過ぎ」
「面目ねぇ」
「自傷ダメージの被害が大きすぎるっすよ……」
まさか力加減を間違えて床を踏み外すとはな……。
ってなわけで、名誉の負傷()した俺は戦線離脱。これからは同人ちゃんが一人で頑張ってくれることでしょう、多分。
「えっ」
「いやまだ二つ目だし。なんならこの行く宛のない動物達を保護しにくる政府の人を待ってなきゃだし」
「えっ」
この世の終わりみたいな顔をしている同人ちゃんだが、これに関してはどうしようもない。
一応TASさんがそっちに同行してくれるはずだから、壊滅作業が滞るということはないと思うのだけれど。
……などと言葉を添えれば、彼女の絶望の色はさらに濃くなったのであった。いやなんでや?
「いやその、この場合は後日に回すのが普通なんじゃないかなって思うと言うっすか、先生一人残してこっちについてくるのは薄情なんじゃないかなー、って思うと言うっすか……」
「一人?何言ってるのさTASさんは一人に一人だよ?」
「はい?……ってギャア!?増えたぁ!?」
「「いえーい、ぶいぶい」」
なるほど、負傷者が出たのなら延期ないし中止にするべきだと思っていたと。
生憎コンディションが悪い時ほど燃えるのがTASさんなので、この状況下で中止なんて選択が出てくるわけがないというか?
それに俺一人でここで待つのは云々言ってたけど、そんなのTASさんが分身すればそれで済む話だし。
前々から似たようなことやってるから慣れっこだしね!()
「そういうわけで、行くよ同人。明日の朝刊は私たちのものだ」<キリッ
「一体何をするつもりなんっすか!?いやそもそも報道されるような動きは止めましょうっす!?」
「?目立てば目立つだけ向こうからやって来る鴨が増える。やらない理由ある?」
「うわぁ勝つこと前提の明日を省みないやり方!!」
そんな感じでやいやい騒ぐ同人ちゃんだが、一瞬の隙を突かれた結果TASさんの小脇に抱えられることとなり、『いーやーでーすー!!』という声をドップラー効果と共に置いていきながら、彼女は遠い空に消えていったのであった。
……さらば同人ちゃん、フォーエバー。
『はい、これで手続きは終わりました、もう大丈夫ですよ。それと、高名なTAS氏のお仲間にも出会えて光栄でした』
『ん。次があればその時はよろしく。』
「ほら、お兄さんも」
「あ、へいへい。どうもどうも。サンキューサンキュー」
……うん、英語だかドイツ語だか知らんが、聞いてもわからんのでどうしようもねぇや()
まぁ、こっちにもTASさんが残ってくれてるので、彼女に任せておけばなんとかなるのが不幸中の幸いだったが。
『……ところで、なんで彼はあんなことに?』
『彼は人畜無害で有名な存在、ゆえに動物達も基本的に警戒心を抱かない。それだけだと襲われる可能性もあるけど……色んな意味で襲う価値がないから襲わない』
『……ああ、貴方と敵対する可能性を彼らも感じ取っていると?』
『それもあるけど、大きいのは
『なる……ほど?』
(うーん、何話してるのかまったくわからん)
そうして基本的にTASさんと職員さんの間で話が進むものだから、俺の方は暇で暇で仕方ない。
ただでさえ足を挫いて動くに動けないものだから、できることといえば保護した動物達と戯れることくらいしかないのだ。
……まぁ、彼らがこっちを無視せずに反応してくれるから、みたいな部分もあるんだけど。
別に動物に好かれるような質ではないから、向こうが無視するなら下手に触りにも行けないし。
ってなわけで、相手をしてくれているライオンの雄と手遊びしつつ、TASさん達の話が終わるのを待つ俺なのであった。
……そういえば、うちの猪君元気してるかなぁ?CHEATちゃんに世話を任せて出てきたけど。
『がう?』
「ああうん、別に心配になるほど時間が経過してる訳じゃないんだけど。こう、うちの猪君って結構マイペースだから、CHEATちゃんが振り回されてそうというか……」
『ががう』
「いや、違う違う。散歩に行かせてやって欲しい、って話をしてたんだよ。だからほら、リードとか付けないといけないし」
『がうぅ……』
「猪にリードはおかしい?……言われてみればおかしい、かも?」
『……何か話してませんか、彼』
『明確に話せてるわけではない。何となくそんな気がする、という感じに言葉を投げ掛けてるだけ。本人的にはほとんど一人言と同じハズ』
『それはそれで危ない人なのでは?』
『
『……逸らした視線がぶつかった結果、こっちに手を振ってきていますね』
何やら突然見つめられたため、思わず手を振ってしまったのだが……なんだろう、見てくるだけで特に何もない感じ?
よくわからないTASさん達のやり取りを横に見つつ、俺はライオン以外に寄ってきた動物達とも触れあうために手を伸ばしたのであった。
……滅茶苦茶甘がみされてるんだけどどうすりゃいいんだろうねこれ?(噴き出す血を見ながら)