「動物との触れ合いにはセラピー効果があると聞く。日々の勉強疲れに最適」<フンス
「は、はぁ。そうです、わね……?」
はてさて、新たに仲間に加わった動物達。
先輩に当たる猪君とは上手いこと行ってるみたいだけど、他の面々……具体的には生徒達とはどうだろう?
ってなわけでみんなの様子を確認してたんだけど……まぁうん、まぁまぁ……かなぁ?
お犬様はもう見た目が柴犬なので特に問題はなさげ。
……とはいえあんまり気安く触れすぎると怒るタイプの方なので、そこら辺のさじ加減が難しいかなーと言ったところ。
実際調子に乗ったダミ子さんは、その背を滅茶苦茶追いかけ回されてたし。
「いやおかしくないですかぁ!?ちょっと撫でようとしただけですよねぇ!?」
「慣れてない動物の頭を触りに行くとか自殺行為では?」
「直前まで良い子だったじゃないですかぁ!!?」
「そこまでは許してねぇ、ってことなんじゃねぇ?」
そんなー!!
……と叫びながら追いかけ回されるダミ子さんである。
とはいえ、これくらいならよくある話でしかないだろう、問題はもう一匹のほう……すなわち巨大猫のことである。
一応、巨大といっても家ほど大きいとかではない。
せいぜい
……あるのだが、それでも目立つしビックリされるわけで。
「……………(これはどういう生き物なんですの、という顔)」
「……………(巨大な猫ですよ、の顔)」
「……………はぁ(またTASさん案件ですのね、の顔)」
「(失礼な、今回ばかりは私だけのせいじゃないよ、の顔)」
「!?」
言葉には出さず、顔色だけで会話する俺達であった。
大声を出して猫をビックリさせないように、という配慮も含んだその行為は流石AUTOさんの気遣い力、と感心するものの、それゆえにこちらを責める意図も見えるのでなんとも。
……まぁうん、この巨大猫にしろお犬様にしろ、本当に単なる()巨大猫やらお犬様ってわけではない。
その正体は、あの時俺から離れようとしなかった二匹──ライオンと狼がTASさんパワーによって姿を偽装した状態である。
原理としては、MODさんの見た目変更機能を参考にした隠蔽システムのちょっとした応用……とのことだが、触れている感触やらまでごまかせる辺りは流石というか。
まぁ、中身が外見に見合わぬ行動をやりすぎると偽装が剥がれるらしいので、二匹の賢さをある程度前提としたごまかしであることも確かなようだが。
……ともあれ、中身がなんなのかがわかったところで、何故こうまでして連れてきたのか、という話。
わかりやすく言うと、離れる気配がまったく無かったから、というのが理由としては一番大きい。
「…………(条約やら何やらに引っ掛かると思うのですが?という顔)」
「…………(その辺は全部TASさんがやってくれたよ(遠い目)という顔)」
「(頑張った、というどや顔)」
再びの顔面会話、結果として頭を抱えるAUTOさん。
まぁ、言いたいことはわかる。単に離れる気配がなかったというだけの話なら、TASさんが引き剥がせばそれで済むのではないか?……と言いたいのだろう。
どっこい、そうはいかない理由があった。
なんでもこの二匹、普通の動物ではないのだとか。
「なんですって…………!?」
「具体的には猪君と同じ枠というか」
「……いやそもそも、あの猪がなんなのかを把握していないのですけれど?」
流石に衝撃的だったのか、思わず声を出してしまったAUTOさん。
それに合わせてこちらも普通に会話することにしたわけなのだが……ふむ、確かにあの猪がどういう存在なのか、というのを明確に理解している人はいなかったな?
なので、恐らくは唯一その辺りを認知しているだろう存在──TASさんに視線を向ける俺である。
その視線を受けたTASさんはというと、小さく咳払いをしつつ、こう告げたのだった。
「わからん」<ドヤッ
「そうですかわからない……なんですって!?」
「あれー?」
……想定外の台詞が飛んできたんだがこれ如何に。
いや、この二匹を連れていこうって最後に判断したのTASさんじゃん。
その時相手の政府関係者に『大丈夫、こういうのの相手には慣れてる』みたいなこと言ってたじゃん。
……え?それはそういう風に聞こえるように言っただけで、実際は別のこと言ってた?
いや、なんであのタイミングで乱数調整してるのさ……っては!?乱数調整……?!
図らずもあの時のTASさんの発言の真意が明かされてしまったわけだが、それゆえライオン君達の謎は暗礁に乗り上げた形となってしまった。
……いや、この空気どうすんの?
思わず困惑する俺に、TASさんは「さぁ?」とそっけのない返事を投げてくるのだった──。
「ここまで
「そんな予定調和はいらねえ!!」