「……もう朝か」
──頭を何かが啄んでくる感覚に、思わず意識を浮上させる。
周囲はまだ薄暗いが、近くの時計を見ればもうすぐみんなが起き出してくる時間であったため、そのまま布団から上半身を起こした。
するとそれと同時、頭に掛かる適度な重さ。
……最近朝の風物詩となってしまった、鶏さんの金の卵産卵タイムである。
なんでわざわざ俺の頭の上に乗って産卵するんですかねこの子?
なお、一度に六個以上の数の卵を普通に産むため、有り難く朝食に使わせて貰っていたり。
まぁ以前述べた通り、食べた人のスペックが上がってる感がスッゴいするため、あんまり多用すべきじゃないのでは?……とか思わなくもないのだけど。
『こけーっ!!こけーっ!!!』
「へいへい、折角産んだのに無駄にするのは宜しくないんですねーはいはい」
……このように、使用を控えようとすると滅茶苦茶キレられるため、勿体ない精神も合わさって使わないという選択肢は早々に消えてしまったのだった。
「そこで甘やかす?から、相手方に付け上がられているだけのような気もしますが……あいたたっ」<コケーッ!
「へいお早うございますDMさん。……そういうそっちは、そんな感じで地味に喧嘩売るの止められないんです?」
「ほら、この子達瑞獣の類いでしょう?寧ろ死ぬまで殴り合い、とかにならないだけ大分譲歩してますよ私」
「そういえばこの人邪神だった」
何の因果かこうしてロボボディに収まってるけど、そういえばそもそもこの人世界滅ぼせる系の邪神だったわ。
……それにしては同位体のはずのスタンドさんが、件の動物達と喧嘩になってないってのが不思議だけど。
『
「ええ……舐められてるようなもんじゃないんですそれ?」
『舐めるも何も事実だからの、そもそも
「……それは確かに」
悪いことすると正当性という武器を持ったTASさんが襲ってくる、というのが今のこの世界なのだから、そりゃそういう方面の話は年々少なくなりますわ。
TASさん本人的には、挑む相手が減るので嬉しくないだろうけど。
「その通り。とりあえずお早うお兄さん」
「……最近の君は早起きだね」
「それはもう。
「おはガチャとな?」
で、噂をすれば影……ということで、隅の方からにょきっと生えてくるTASさんである。
なんで彼女が早起きして来ているのかと言うと、金の卵の効果にその秘密があった。
まぁ、一つ丸々食べた時に上昇するステータス量が、調理をするとその料理一食分に含まれる金の卵の相当量に比例したものへと減算されるから……というだけのごくごく単純な話なのだが。
「それだけとは言うけど、とても重要。少なくとも卵プラス
「確かに。日本被れさん辺りには『流石にずっこいデース!』とか言われそう」
彼女だけじゃなく、CHEATちゃん辺りにも言われそう。
……今の会話でなんとなくわかると思うが、実は朝早起きしてきたTASさんには金の卵の茹で玉子を一つ、景品代わりに進呈しているのである。
今日は七個卵があったため、TASさんに渡した分を除くと残りの六個で朝食のメニューを作ることになる、というか。
この話のミソは、他の面々がTASさんのおまけについてまったく知らないという点。
仮にそれを知った場合、他の面々も早起きをし始めてしっちゃかめっちゃかになることうけあいというか。
まぁ、今のところは『一番に起きることで乱数を固定し望むステータス補正を引き出している』というTASさんの主張を鵜呑みにしている形なので問題はないが。
『鵜呑みも何も、そもそも他の人間に検証可能なのかのぅそれは』
「……ROUTEさんなら、あるいは?」
『ほぼ全員不可能と言うておるようなものではないか』
あとは辛うじてCHEATちゃんくらい?
あ、AUTOさんは本人が検証するのには向かないけど、サンプルとしてデータを取るのには向いてるかも。
何せ基本的にランダム要素のものを持ち出されると、最大値固定になるタイプの人だから。
まぁ、正確には最善値を出す仕様であるため、最大数が最善じゃない時とかはサンプルとして向かなくなるのだけれど。
具体的にはドーピングで上げられる上限に達した時とか。
『この金の卵、上限ありなのか?』
「さぁ……?少なくともTASさんがバリバリ食べてる辺り、仮に上限があっても大分高いんじゃないかと思うけど」
なお、金の卵の効果についてはなんとなくしか把握してないため、仮に上限があるのだとしても俺にはわからない……という至極当たり前の答えを返したところ、スタンドさんから可哀想なものを見る目が飛んできたのでしたとさ。
……うん、そんな視線を向けられる謂れがなくね?今回は特に。