「わかりマシタ。そこまで気にするのデシタら、今度何か埋め合わせシテ貰いマース」
「うんそうして?」
うーむ、ようやっと吐き気も収まってきたというか……。
で、そのついでに日本被れさんへの補償?の方も決まったわけで。
とりあえず庇って貰ったことは事実であるため、後日何かしら奢ったりすることになったのであった。
……何を奢らされるか今から戦々恐々である。
まぁ、それに関してはその問題に直面するであろう、その日の自分に任せるとして。
改めて、目の前の問題に注視。……現在俺達はMODさんの仕事を手伝い、それを早急に終わらせることでとっとと日本に戻ろう、という方針でいるわけなのだけれど。
「……具体的に、何をしてイル最中なんデスかこれ?」
「見てわからないかい?
「え?」
「いやえ、じゃなく」
なんとまぁ、現在彼女が行っていたのは潜入任務。
……滅茶苦茶派手にやらかしてたけど、大丈夫なんこれ?
ただでさえ爆発したり臓腑が飛び散ったりしてたけども。
「その辺は大丈夫。うまくごまかしておいた」
「あれを!?」
「うん。身近な音に反応するから。その隙に背後に回り続ければ気を取られて他のことに対処できなくなる」
「ほ、本格的ステルスアクション……!」
杜撰な警備体制じゃねーか!!
……いやまぁ、相手の感知能力が高過ぎると、多少隠れたところですぐ見つかってしまいゲームにならない……ってのはわからんでもないけど。
でも視界にギリギリ映らない程度で見逃したり、はたまた音のした方向しか見なかったりするのは不自然すぎると思うの。
なんて、何処に向けたのかわからないツッコミを投げつつ。
「……まぁうん、それをTASさんがやってるんだからどうにかなったんだろうな、ってのは容易に想像できるけども」
「それで済む辺りある種の信頼感があるよね」
最終的には『TASさんだから』で落ち着く辺り、思考停止してんなぁ……と他人事のように思う俺であった。
「こういうのは形から入るべき」<フンス
「……ってことで着替えたわけなんだけど、なんで全身タイツ……?」
「潜入の場合は周囲の音がほとんどない、ということも多い。そうなると衣擦れの音ですら響く、みたいな可能性もある。そこら辺の心配を減らすのに有効。あと動きやすいというのもある」
「なるほど……?」
潜入作戦、ということで何故かみんなして全身タイツに着替える羽目になったのだけれど。
……うん、なんというかこう、微妙に間抜けな感じがするのはなんでだろうね?
あれかな、俺まで全身タイツだからか?
「女子組だけならセクシー怪盗とかってごまかせたろうになぁ……」
「おや先生、セクハラ発言デスか?」
「……はっ」
「笑った!?鼻で笑いやがりマシタよこの人!?」
「いや、流石にこの状況は笑われても仕方ないんじゃないかな……」
憤慨する日本被れさんを宥めるMODさんの姿は、顔まで隠した覆面状態。
無論、憤慨している日本被れさんも含め、みんな同じである。
……そりゃまぁ、自分で言っといてなんだけどセクシーも何もねぇだろ、という気分にもなるというか?
いや、体型だけなら日本被れさんも大概なのだが、それこそそこに触れるとセクハラ以外の何者でもないので絶対触れない(真顔)、余計な二次被害も出そうなので絶対触れない(超真顔)
(何か変なこと考えてるな……)
「とにかく、この姿になったのが潜入のためである以上、さっさとそれを終える以外に着替える機会はやってこない!なので
「
「思考を読んで頭に噛みつくのヤメテ!?」
なお、こうして騒いでいる間にもTASさんの乱数調整により以下略。
一通り騒いだのち、先導するMODさんの背後を、極力足音を立てないように追い駆ける俺達である。
「そこ、赤外線トラップだ!ブリッジしながらジャンプ!(私は引っ掛からない形に変化して抜けるけど)」
「なんだとっ!?」
「任せて、えいっ」<グキッ
「ぐえー!?」
「先生の体が複雑骨折を!?」
道中、通らせる気のまったくない赤外線トラップを(無理矢理)回避したり。
「ここは数メートルに渡って落とし穴が仕掛けられている!飛行するか壁に張り付くかして抜けるんだ!(私は小鳥になって飛んでくけど)」
「了解、お兄さん投げ」
「俺を投げ飛ばして上に!?」
「原理的に不可能なハズでは?!」
落ちた先には即死級のトラップが仕掛けられている落とし穴を、俺をぶん投げてその上に乗る……という形で回避するTASさん達がいたり。
「ここは天井が迫ってくる!明らかに向こうに着くまでに間に合わないから、どうにかして回避するんだ!(私は紙に変化して敢えて潰されるけど)」
「なるほど、えいっ」<ゴシャッ
「ぐえーっ!?」
「周囲の地面を陥没させるレベルで先生が地面に叩きつけられマシタ?!……え?空いたそこに伏せロ?いや私は平気デ……アッハイ、素直に従いマスデス」
天井に押し潰されるしかない部屋で、俺を地面にめり込ませることで回避する隙間を作り出したり。
まぁそんな感じで、どうにかこうにかスニークミッションを成功させた俺達。
そうして向かった先で待っていたのは──、
「これが今回の目的、『ネウロピテの涙』だ」
「怪盗っぽいと思ってたら本当に怪盗だった!?」
ガラスケースに納められた、一つの宝石なのであった。