うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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やられたらやり返す、それこそが流儀

 話が盛大にずれたが、改めて。

 

 

「今回の目的はこの宝石、って話だったけど……持って帰るの?これ」

「正確には元の持ち主の元に返す、という任務だね。実のところこのネウロピテの涙、この屋敷の持ち主のモノではないんだ」

「なぬっ」

 

 

 ……まさかの盗品とな?

 いやというか、ルーツ不明とか言ってなかったっけこれ?

 そんな俺の疑問を察したのか、追加でMODさんが説明を投げてくる。

 

 

「あくまで『どこで掘り出されたのか』『どこで今の形に加工されたのか』が不明なだけで、一応の持ち主と言うべき相手は判明してるんだよ。今回の依頼はその人からってわけさ」

「……なるほど?」

 

 

 詳しく聞くところによれば、現在この宝石を実質的に所有している人物──この屋敷の持ち主というのは、この宝石を非合法な手段で手に入れた存在、ということになるらしい。

 で、今回依頼を出してきた人物というのは、その前の持ち主……ではなく。

 

 

「嫁入り道具的に受け継がれて来たものだったとはねぇ……」

「それを今更にナッテ回収、というわけデスか?」

「遠縁の親戚が家宝をぶん盗られた、という形だからね」

 

 

 ()()()()()()()()、ということになるらしい。

 

 ……この時点で大分ややこしいが、どうにもこのネウロピテの涙、現状から一つ前の持ち主・及びそこから遡れる大半の持ち主というのが、嫁入り道具として先祖代々受け継いできた人物になるのだそう。

 で、都合一代前の持ち主も先祖達と同じ様にその宝石を受け継いだのだが、現在はこうして奪われたような形になっている……と。

 

 

「その、前の持ち主っていうのは?」

「今は病院のベッドの上、だね。……有り体に言えば結婚詐欺ということになるのかな?」

「おおう……」

 

 

 そもそもネウロピテの涙が由来等全て不明なのは、家宝として受け継いできた家系がその存在を外に漏らさなかったため。

 それを何処からか嗅ぎ付けてきた現在の所有者が、元々の持ち主である女性を騙して意識不明の重症にし、横から掠め取った……ということになるらしい。

 

 話はそれだけに収まらない。

 なんでも、現所有者である男性は相当に外面のよい人物で、彼が宝石目的に近付いてきたなどということに誰も気付いていないとのこと。

 先代の持ち主である女性の両親も既に他界しているため、そもそもネウロピテの涙というものの存在すら知られていないとかなんとか。

 

 

「……いや待った、依頼主はどうやってそれを?」

「遠縁になっても相手の無事を祈るくらいはできる、ということかな」

「はい?」

 

 

 ここで問題になってくるのは、じゃあどうやって依頼主はネウロピテの涙が奪われたのだと知ったのか、という部分。

 

 遠縁ということは連絡もろくにしていないだろうし、仮に連絡していたとしても男性側は欠片もボロを出していない。

 ともすれば単なる狂言としか判断できない状況で、それでもMODさんが依頼を受けているということは、依頼主の持つ情報に一定以上の信頼性があった、とうことに他ならないわけで……。

 

 そこまで考えたところで、MODさんから返ってきたのは意味深な笑みなのであった。

 

 

「ヒントは幾つか出ているよ。答えを出すことは不可能じゃないかもね?……無論、TASさんを使わないでも、と予め宣言しておくよ」

「むぅ、そうやってしれっと解答権を取り上げるの良くないと思う」

「君を有りにするとヒントとかそもそも必要ないじゃないか」

「何を言う、ヒントは必要。その時のウインドウのアドレスからプログラムを」

そういうことするからダメなんだよ!

「むぅ……」

 

 

 どうやら、現状出揃っている情報からでも察せられるような、わりと簡単な答えらしい。

 ……TASさんの利用を禁止する辺り本当か?感が凄いが……ふむ。

 

 

「少し突拍子もない考え方をする必要性がある、ってことかな?」

「ハイ?何言ってるんデス先生?」

「おっと流石は君。そういう(TAS君が関わる)時の勘は冴え渡るものがあるねぇ」

あってるんデスかソレ!?

 

 

 わざわざ禁じてきた辺り、真っ当な考え方だと答えにたどり着かない……みたいな話だろうか?

 ほら、クイズ番組とかで『頭を柔らかくして』とか『発想を転換して』とか言われる類いのやつ、というか。

 

 どうやらそれは正解だったようで、訝しむ日本被れさんに対し、MODさんは流石とばかりに拍手を贈ってくれる。

 でもその褒め方本当に褒めてる?

 

 まぁともかく、ここで必要なのは閃き……ということは理解できた。

 そして、現状与えられている情報の中で、そういった閃きにより答えが導き出せそうなモノと言うと──、

 

 

「……()、ってことは()()()()()()()()が存在する?」

「い、イヤイヤ先生。宝石で涙と言うト、基本的にハ形が似てるってダケなのが普通……」

「おお、正解だよ君。この宝石には対となる彫像が存在するんだ」

ナンなんデスか一体ぃっ!?

 

 

 ()()()()()、と呼ばれるモノが別に存在するのではないだろうか?それが流した涙だから、ネウロピテの涙。

 その考え方は間違っていなかったようで、感心したように声をあげるMODさんと、ぱちぱちと手を叩くTASさんによって軽く祝福されることになった俺なのであった。

 

 ……どうでもいいけど日本被れさん、TASさんを前に『あり得ない』とかそういう類いのこと考えるの、普通に負けフラグやで。

 

 

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