はてさて、ネウロピテの涙には対となる彫像が──直接ネウロピテと呼ばれるモノが存在する、ということがわかったわけだけど。
それだけだと、遠く離れた位置にある宝石の子細がわかる、ということの説明が付かない。
となれば、もう少し発想を掘り進める必要があるということになるわけで──、
「もしかすると、宝石の方に何かあると彫像に影響が出る、とか?」
「…………(そんなバカな、と思いつつ今までの流れからするともしかして?と思っている顔)」
「うんその通り。正確には、宝石を持つ人間が悪意を持っていると彫像の目元が濁る、みたいな感じらしいね」
(本当だった、と驚く顔)
……うん、忠告を素直に聞いてくれて嬉しいんだけど、もう少し感情を隠す努力をしない?
なんて呆れを、視界の隅っこで百面相してる日本被れさんに抱いてしまう俺である。
ともあれ、涙になにかあると彫像に異変が起きる……いわゆる呪いの人形的繋がりが存在することが判明したことで、それを根拠に依頼人がMODさんに連絡した、ということがわかったわけだけど。
そうなると微妙に気になるのが『涙』というネーミング。
……まさかとは思うが、実際に彫像の流した涙だったりしないだろうな?
「…………(空気を読んで黙ってる顔)」
「まさかもなにも、その通りだよ君。件の涙はまさに文字通りのもの。感涙の涙が悲嘆の涙に変わるとなれば、そりゃまぁ本体に影響も出るというものさ」
何そのTASさんがすっごい興味持ちそうなアイテム(真顔)。
これはあれだな、話が終わって報告する段になった時、TASさんが一緒に付いていくって聞かないやつだわ。
なんならそっちでもう一騒動起きるやつだわ、なんてこったい。
「まさかとは思うけど……どうにかして彫像を入手できないか、とか考えてないよね?」
「むぅ、MODは私のことをなんだと思ってるの、そんなことはしない」
「そ、そうか。ならいいんだけど……」
「一目見られればそれで十分」<フンス
「ねぇ?それは本当に
いいえ、確実に複製作ろうとしてる顔ですね()
いや寧ろ単なる複製ならまだマシで、場合によってはフラグを弄って件の彫像を二個に増やす、とか考えていてもおかしくないやつですね……。
その辺りはTASさんが件の彫像の何処に価値を置くかにもよるが、ともかく肖像権的なものが侵害されることはもはや避けられないのは間違いあるまい。
そういうの
……さて、ここで一つ話題を変えると。
現在俺達は件の宝石が納められたガラスケースの前で、呑気に世間話に興じているわけだけど。
──
道中トラップが沢山仕掛けられていたことからわかるように、この宝石は厳重に警備されているわけで。
ゆえに普通なら、こうして悠長な真似をしている間に警備の人間がやってきて、最悪蜂の巣にされるのが関の山のはず。
にもかかわらず、俺達は都合十数分程度の間、特になんの被害を受けることもなく会話を続けているわけで。
いやまぁ、道中のトラップのことを思えば、まったく被害を受けていないというのは嘘になるんだけど……それを踏まえたとしても、やはりそれなりに長い間放置・ないし無視されているような今の状況はおかしい、というのも間違いあるまい。
となれば、答えは一つ。
俺達はスルーされているわけではなく、
それだけなら、とっとと宝石を奪還して戻ればいい……みたいな話になりそうなのに、それすらせずにこうして駄弁っている理由。それは、
「……お、やっと鳴ったねぇ、警報」
「音以外なんもかんも解除済みなんだけどねぇ」
「私がやりました」<ドヤッ
コンコン、とこれ見よがしにガラスケースを突っつけば、思い出したかのように鳴り響く警報音。
まぁ、それと連動して機能するはずの周辺に備え付けられた防犯装備は、その全てを予めTASさんによって無効化されているわけなのだが。
その結果、カメラの向こうでこちらを見ているはずの相手は、
「はてさて。多少は歯応えがあるといいんだけどねぇ、護衛とか連れてると最高……みたいな?」
「数千人規模でお願いしたい」<ワクワク
「……イヤ、流石にその人数デスと人多過ぎて動けないナンテことになってシマイそうデスよ?」
宝石と共に、確保対象となっている花婿──。
それが俺達の前にわざわざ姿を現してくれるのを待っている、というのが今の状況の真意なのでありましたとさ。