「それじゃあ、私達はここまで!また今度、今回の話がうまく行ったのか聞かせて頂戴ね!」
「無責任に放り出すような形になって済まないな。埋め合わせはまたいずれ」
「二人ともー!どうもありがとー!!」
うちのスタンドさんみたいに、半透明になった二人が離れていくのに手を振り返しつつ。
改めて、自分達が突き進む場所を見る私達。
そこは、恐らく次元の狭間とでも言う場所。
……なのだろうが、目の前に広がる光景は遠い宇宙と言った方が頷けるようなもの。
遠くに瞬く光は、果たして星なのか別の何かなのか。
「ん。あれはまた別の世界。ここは世界の狭間、ゆえに他の世界だって容易く見ることができる」
「あれが……ところで、この景色を目に焼き付けること自体は問題ないのかい?」
「ん。手段の方が余程重要。その辺りを考えて、二人もこういう方式にしたのだろうし」
……さて、この見た目には宇宙空間みたいなこの場所。
明確に宇宙とは違う部分が幾つかある。そのうちの一つが『引力の有無』。
遠くに輝くモノは宇宙ならそのまま星だろう。
そして星であるがゆえに、近くを通ればその星の持つ引力によって引き寄せられるのが道理。
対してこの空間、遠くに見える光は他の世界だが、それが周囲を通るものを引き寄せることはほぼない。
その世界に干渉する手段がない、というべきだろうか?
ともかく、普通の手段では自分の世界以外に入ることは愚か、触れることすらできないのは間違いないようだ。
「まぁ、座標的に重なることはできるから、そこからごにょごにょすれば中に侵入することもできるんだけど」
「うーん、そこはかとないバグ技感……」
なお、TASさんによれば座標データ的に入り口に重なることはできるため、そこであれこれやって『中に入るイベント』を発生させられれば侵入することはできるらしいが。
……そこはかとなくバグ技、ならぬTASの香りを感じないでもない。
ついでにいうと、一般的なサンタ達はその辺をスルーする能力を持っているのだそうな。
サンタのラーニングが危険な理由の一つである。
「……サンタとは一体……???」
「そういうものだ、と納得しておく方がいいと思うよ」
それを聞いた日本被れさんが急性サンタリアリティショックを起こしてる?
知らんな、慣れろとしか言えぬ()
……話を戻して。
関係のある世界でなければそもそも入れないので、私達はこうして自分達の元いた世界目掛け、真っ直ぐ発射されたわけである。
「その辺は実際の宇宙と変わらないんだね、外から影響が与えられなければずっと同じ動きを続ける、っていう」
「この無明の闇は、いわゆるダークマター。『何もない』ことの具現だから、その間を通っても何の影響もない」
等速直線運動、だったか。
さっきの世界を出て暫く、霊体の部長さん達によって加速させられた私達は、彼女達から離れてもずっと同じ速度で動き続けている。
なんでも、元の世界とさっきまでいた世界が結構な距離離れているとかで、結果その長距離を踏破するためにかなりのスピードを出す羽目になっている。
具体的には、
「そんだけ離れてたら入れ換わりの際に気付いてるだろ絶対……」
「第五宇宙速度で五分でも、第六宇宙速度──光速でなら一秒も掛からない」<ドヤッ
「いやなんで今ドヤッた?もしかしてあれか?向こうのTASさんは私達を光速で移動させたとでも?」
「そうだけど?」
「マジかよ光の速度越えてるのかよ……いや驚くことじゃなかったわ、よく考えたらこの子太陽の光を避けることで反射されてない部分が黒くなる、とかいう意味のわからんことやってたわ」
「そう」<ドヤドヤッ
向こうから帰る際に他の世界と入れ換えられた、というのが今回の騒動の発端だが、こんだけ離れた世界を違和感なく移動させるのは至難の技では?
……とか思ったのだが、
逆に部長さん達が戦力外、と自分達で言ってたのも宜なるかな、とも。
速度のみとはいえ、単純計算で三百倍違う相手とか、そりゃ挑む気もなくなるわなーというか。
……え?色々条件があるとはいえ、第五宇宙速度出せてる時点でおかしい?それはほら、普通の物理法則とは違うっぽいし、この空間のあれこれ。
「さて、そんな流れ星気分──楽しいお喋りの時間はそろそろ終わりのようだ。見えてきたぞ、私達の世界だ」
「うっわわかりやすっ」
「見たダケでわかるハズ、と言われた時ニハどういうコト?……と思いマシタが……」
「ああうん、これはわからないわけがないわ」
そうこうしているうちに五分経過したようで、目的地である私達の世界が見えてきた、ということをMODさんが告げる。
いやまぁ、動体視力保護が入ってるから見えるだけで、実際はこんな速度で突っ込んでる状態で目的地の判別なんかできるわきゃないんですけどね?
ともかく、視線を向けた先──真っ正面に見えてきた光。
それは、明らかに他の世界と違う輝きを──具体的には虹色に輝いていたのであった。
……滅茶苦茶歓迎されてる!