「ぬぉわー!?」
「きゃーっ!?」
「おおぅっ?!」
「わー」
はてさて、露骨な虹色に最早感動してしまった私達。
そのせいで体勢を整えるのが遅れたため、その速度のまま輝きに突入。
予め聞いてた通り、
「ハイ、実際先生がクッションになってクレなけレバ死んでマシタよ?」
「マジでか」
「マジです。そういうの私の役目だと思うんデスけどネー」
「仮にも生徒に相手にそういうことはさせられないかなー」
「ムゥ。強情デスねぇ」
なお、どうやら無事だったのは私が真っ先に壁にぶつかったから、というのも大きいらしい。
まぁ確かに、減衰されたとはいえ結構な速度だったからなー。
そんなことを話しつつ、改めて自分達が何処に到達したのかを確認。
すると、そこはこっちの私の部屋であることがわかっ荷物が無茶苦茶だ!?
「あ?……あーなるほど、君の部屋に出たのか……物がそう多くなくて良かった、と言っておくべきなのかな?」
「んなわけあるかぁ!?私の荷物がぁ!?」
「ん。本棚に突っ込んだから色々とべこべこ」
「あああああああああああ」
ぎゃー!?私の趣味の品がぁー!?
え、内容?それについては内緒。とりあえずここにいる人達に見せられないようなモノではないよ。
「そうそう、お姉さんの見せられないようなモノは全てスマもがが」
「はいはいTASさーん、人の隠しておきたいことを赤裸々に暴こうとするのは止めようねー」
(め、珍しく顔が笑ってない……!?)
ははは。基本的に人権皆無な私だが、その辺りに触れるのなら流石に実力行使も辞さないぞー☆
周囲の二人がドン引きしているのを感じつつ、それでもそこは譲れないのでTASさんにしっかり言い含めておく私である。
そんなこんなでようやく落ち着いた私達。
これからこっちの世界にやってきた向こうのTASさん達を探す必要があるんだけど……。
「当初の予定通り、お姉さんはここから離れること。……自分の荷物が気になるというなら、ここらのモノは全部アイテムボックスにしまっておくから」
「うーむ致せり尽くせり……ではお言葉に甘えて、さっさと逃げさせて貰いますぜー」
そっちに私は参加しない、というのも事前の取り決め通り。
ここはすぐにでも戦場になるとのことなので、さっさと退散するに限る。
まぁ、普段は参加してるのに今回はしないのか、みたいな感じに後ろ髪を引かれないでもないけど……相手がTASさんだからなぁ、みたいな?
そんなわけで、早急に寮を出るため、裏口に向かう私である。
え、なんで裏口なのかって?なんでも表方面から向こうのTASさんが攻めてくる可能性が高いとかなんとか。
ともかく、最低限の荷物を持って、慎重に裏口を目指す私。
下手に音を立てると気付かれるかも、とのことなので物陰に隠れながらの行動だったのだけれど……。
「……しまった、ここから裏口まで遮蔽物が何もない……」
あともう少し、という地点で困ったことになってしまった。
寮内から外に出て裏口に向かうまでの区画は、基本的に物置としても利用されているため物が多く、結果的に人が隠れるのに適したスペースが幾つか広がっている。
相手の視線が何処から向いているのかわからないこともあり、慎重に慎重を極めて動いていたけれど……それでも余裕があるくらいに隠れ場所が多かった、といえばなんとなくこれから私が言いたいことも理解できるだろうか?
……うん、前半の難易度の低さと比して、後半──実際に裏口から外へ出るまでの部分が、異様なまでに見付かりやすいのである。
とはいえそれも当たり前の話。裏口の方は資材搬入口……言い方を変えると食材や筆記具などを運び込むためのもの。
大半が物置みたいになっているとはいえ、最低限の通り道は確保されているのである。
そうするとどうなるのかというと、大きな荷物を運ぶため裏口付近には極力モノを置かない……という、ある種当たり前のルールが
結果、他は外からの視線を極力隠すのに、裏門付近は誰からも見えるという状態になる……と。
いやまぁ、わざわざわかりにくく説明しただけで、単に裏口は空いてますよーってだけの話なんだけども。
こと、今みたいなスニーキングミッション……特に何処から見られているのかわからないような状態で、ほぼ全周丸見えみたいな入り口を使いたいか……みたいな感じになるというか?
とはいえここ以外を使うのはそれはそれで目立つだろう。
塀を乗り越えるにしても、そうして塀に登った段階で目に付くはずだし。
……となれば、ここで取れる手段は一つ。
「てってれー、段ボールー」
自分から遮蔽物を作り、それによって外に出る他あるまい。
幸い、今の時刻はお昼過ぎ。そろそろ必需品などの荷物を乗せたトラックがやってくる時間帯。
となれば、裏口付近にまで近付いたのち、段ボールを被って荷物に偽装。
タイミングを見計らい荷台に忍び込めば、あとは帰っていくトラックに合わせて脱出成功……。
「これだ、これしかない!」
そう確信した私は、いそいそと段ボールを被り──被り?
「…………」
「……えーと、なんで空を飛んでいらっしゃるんです……?」
「縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺!!!」
「ぎゃー!?」
ふと差した影。
つられて上を見上げれば、そこにいたのは何故か空中に浮いている一人の男性──もう一人の俺の姿。
彼は呆けたようにこちらを見ていたが、次の瞬間その表情を一変。
まるで憤怒の叫びのような凄まじい顔となり、こちらに飛び掛かって来たのであった。
いやなんで私に襲い掛かってくるのこの人ー!?