うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

57 / 728
まるで魔法使いのような

「まぁ、家の中で使う分には問題ないから。大丈夫大丈夫」

「ほんとかよ……」

 

 

 最近小説とかアニメとかでよく見る、腕を空中で振るだけで展開されるウィンドウを前に、本当に大丈夫なのかとTASさんを訝しげに見つめるCHEATちゃん。

 まぁ、さっきの話にはもっと恐ろしい続きがあるので、そっちに比べれば遥かに被害は低いのだが。

 

 

「……いやちょっと待った、なんか聞き捨てならない話が聞こえたんだけど?」

「私にも聞こえたなぁ。君、一体どういうことだい?」

 

 

 おおっと地獄耳。

 俺の呟きが聞こえたらしいCHEATちゃんとMODさんの二人が、なんとも言い難い笑みを浮かべながら、こちらに迫ってくるではありませんか。俺は悪くないよー、悪いのはTASさんの汎用性の高さだよー。

 

 

「……あー、なんとなくわかってしまいましたわ」

「なに、知っているのかAUTO!?」

「何故突然劇画調に?……ええと、以前CHEATさんと初めて出会った時、TASさんが意味不明の言語を話したことがあったでしょう?」

「え?えーと……」

「──『#♂∧∀∇』語。大体『Δ#%♭*』国の『#♂∧∀∇』地方辺りで使われている言葉」

「あ、ああ……そんなんだったそんなんだった。で、その……『なんとか』語?がどうしたの?」

 

 

 そんな中、こちらに詰め寄って来なかったAUTOさんは、別の問題とやらがどういうものなのか、朧気ながら理解した様子。

 何故か顔の変わったMODさん(やけに濃ゆい顔の男性だった)に問われ、思わず引きつつも彼女が口にしたのは……以前、CHEATちゃんがしりとり勝負をしてきた時に使った謎言語の名前。

 

 そんなんあったな、みたいな顔をするCHEATちゃんに対し、TASさんはそれがどこで使われている言葉なのか、これまた謎の言語で説明してくれたわけだけど……。

 

 

「気付きません?国名・地名共に聞き慣れぬ言葉、ですが彼女の様子を見るに、これらは()()()()ものであるとおぼしい、ということに」

「……え、適当なこと言ってたんじゃないの?」

「失礼な。言語の作成って結構面倒臭いんだから、適当なことなんてしない」

「人工言語ではない、と?」

「そう」

 

 

 この話の一番の問題点、それはその言語が架空のものではない、ということ。……いやまぁ、俺達にはそれがどこにあるのかも、そこにどうやって行くのかもわからないわけだし、実質的には存在しないようなもの、という風にも言えなくはないだろうけども。

 

 

()()()()()()()、というのは本当。これと、さっきの話を組み合わせれば、問題点がなんなのかはすぐにわかる」

「……あー、なるほど。どこにあるのかもわからない、本当に実在しているのかもわからない、そんな国の言葉。それを使い続けることで、この世界にその国が現れてしまう……そんな感じの話というわけだね?」

「またまたぁ。そんなこと、TASが幾ら無茶苦茶でもできるわけ……「そういうこと」できるの!?」

 

 

 CHEATちゃんは反応担当なんだろうか()。

 ともかく、MODさんの言うことは正しい。

 この謎の言語を公共語として使っている国、それは()()この世界に存在しない。

 けれど、この言葉を使い続ければ──これが大多数に通じる言葉として成立すれば、この地球上にかの『Δ#%♭*』国が顕現するのである。……唐突に国が増える、という時点で大概だが、話はそこだけに留まらない。

 

 

「その国、実は魔法が実在している」

「は?」

「だから、もしその国がこっちに来たら、この世界の人も魔法を使えるようになる……かもしれない」

「疑問系なのは?」

「流石に影響が大きすぎるから、その未来は視てないし引き寄せようとも思ってない。……逆に言えば、あとのことを考えなければ、魔法技術をこの世界に導入することもできなくはない」

「私達の存在よりよっぽど問題じゃんそれ!?」

「安心して。今のところそんな予定はない」

「……まぁ、精々私と貴女が使えるだけですものね、『#♂∧∀∇』語」

 

 

 まぁ、この言葉を上手く使えば魔法が使える、となればみんなが挙って覚えようとして、結果として件の国を引っ張ってくる、という事態にも繋がりかねないわけだが。

 ……その場合はMAGICちゃんでも増えるんだろうか?それとも、コンピューター用語じゃないから判定外?

 

 

「言ってる場合かよ!?っていうかこいつ本当に危険人物だな!?」

「なにを言ってるの?これは貴女も気を付けなければいけない話」

「……ひょ?」

「む、ということは私も、ということか」

「貴女は直接向こうの人になる、とかでもしなければ大丈夫のはず」

「となると、私も色々と気を付けなければいけませんわね……」

「」

 

 

 なお。

 さっきからCHEATちゃんが色々と文句を言っているが、予め未来を視て回避することができるTASさんに対し。

 ()()()()()()()()、偶々彼女のチートコードがどこかの法則に引っ掛かった、なんてことになれば……さっきまで述べていた問題全部引き起こせる可能性があるうえに、彼女はデフォルトでは未来視などできないので回避するのも難しい……というような話を聞かされ、思わず真っ白になる彼女の姿が見られたのであった。

 

 ……うん、強大な力には重い責任が伴う、ってことやからね、仕方ないね。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。