「まぁ、家の中で使う分には問題ないから。大丈夫大丈夫」
「ほんとかよ……」
最近小説とかアニメとかでよく見る、腕を空中で振るだけで展開されるウィンドウを前に、本当に大丈夫なのかとTASさんを訝しげに見つめるCHEATちゃん。
まぁ、さっきの話にはもっと恐ろしい続きがあるので、そっちに比べれば遥かに被害は低いのだが。
「……いやちょっと待った、なんか聞き捨てならない話が聞こえたんだけど?」
「私にも聞こえたなぁ。君、一体どういうことだい?」
おおっと地獄耳。
俺の呟きが聞こえたらしいCHEATちゃんとMODさんの二人が、なんとも言い難い笑みを浮かべながら、こちらに迫ってくるではありませんか。俺は悪くないよー、悪いのはTASさんの汎用性の高さだよー。
「……あー、なんとなくわかってしまいましたわ」
「なに、知っているのかAUTO!?」
「何故突然劇画調に?……ええと、以前CHEATさんと初めて出会った時、TASさんが意味不明の言語を話したことがあったでしょう?」
「え?えーと……」
「──『#♂∧∀∇』語。大体『Δ#%♭*』国の『#♂∧∀∇』地方辺りで使われている言葉」
「あ、ああ……そんなんだったそんなんだった。で、その……『なんとか』語?がどうしたの?」
そんな中、こちらに詰め寄って来なかったAUTOさんは、別の問題とやらがどういうものなのか、朧気ながら理解した様子。
何故か顔の変わったMODさん(やけに濃ゆい顔の男性だった)に問われ、思わず引きつつも彼女が口にしたのは……以前、CHEATちゃんがしりとり勝負をしてきた時に使った謎言語の名前。
そんなんあったな、みたいな顔をするCHEATちゃんに対し、TASさんはそれがどこで使われている言葉なのか、これまた謎の言語で説明してくれたわけだけど……。
「気付きません?国名・地名共に聞き慣れぬ言葉、ですが彼女の様子を見るに、これらは
「……え、適当なこと言ってたんじゃないの?」
「失礼な。言語の作成って結構面倒臭いんだから、適当なことなんてしない」
「人工言語ではない、と?」
「そう」
この話の一番の問題点、それはその言語が架空のものではない、ということ。……いやまぁ、俺達にはそれがどこにあるのかも、そこにどうやって行くのかもわからないわけだし、実質的には存在しないようなもの、という風にも言えなくはないだろうけども。
「
「……あー、なるほど。どこにあるのかもわからない、本当に実在しているのかもわからない、そんな国の言葉。それを使い続けることで、この世界にその国が現れてしまう……そんな感じの話というわけだね?」
「またまたぁ。そんなこと、TASが幾ら無茶苦茶でもできるわけ……「そういうこと」できるの!?」
CHEATちゃんは反応担当なんだろうか()。
ともかく、MODさんの言うことは正しい。
この謎の言語を公共語として使っている国、それは
けれど、この言葉を使い続ければ──これが大多数に通じる言葉として成立すれば、この地球上にかの『Δ#%♭*』国が顕現するのである。……唐突に国が増える、という時点で大概だが、話はそこだけに留まらない。
「その国、実は魔法が実在している」
「は?」
「だから、もしその国がこっちに来たら、この世界の人も魔法を使えるようになる……かもしれない」
「疑問系なのは?」
「流石に影響が大きすぎるから、その未来は視てないし引き寄せようとも思ってない。……逆に言えば、あとのことを考えなければ、魔法技術をこの世界に導入することもできなくはない」
「私達の存在よりよっぽど問題じゃんそれ!?」
「安心して。今のところそんな予定はない」
「……まぁ、精々私と貴女が使えるだけですものね、『#♂∧∀∇』語」
まぁ、この言葉を上手く使えば魔法が使える、となればみんなが挙って覚えようとして、結果として件の国を引っ張ってくる、という事態にも繋がりかねないわけだが。
……その場合はMAGICちゃんでも増えるんだろうか?それとも、コンピューター用語じゃないから判定外?
「言ってる場合かよ!?っていうかこいつ本当に危険人物だな!?」
「なにを言ってるの?これは貴女も気を付けなければいけない話」
「……ひょ?」
「む、ということは私も、ということか」
「貴女は直接向こうの人になる、とかでもしなければ大丈夫のはず」
「となると、私も色々と気を付けなければいけませんわね……」
「」
なお。
さっきからCHEATちゃんが色々と文句を言っているが、予め未来を視て回避することができるTASさんに対し。
……うん、強大な力には重い責任が伴う、ってことやからね、仕方ないね。