「ひぃいいいぃぃぃぃっ!?何あれ悪鬼羅刹!?滅茶苦茶怖いんだけどぉ!?」
「縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺!」
「ぎゃーっ!?来たぁー!?」
折角あと少しで外だったのにー!!
そんな私の叫びも虚しく、空を飛んで追いかけてくる向こうの俺である。
……いや、真面目にどうなってんの向こうの俺?
確かに私も空中移動手段は持ってるよ?TASさんに無理矢理覚えさせられたからできるよ?
でもそれって、原理的には『落ちる前に足を前に踏み出せば沈まない』的な大分無理あるタイプの飛行手段よ?
それに比べてどうよ、向こうの俺の飛び方。
……明らかに何にも無いのに飛んでるんだけど!
上からワイヤーで吊るされてるって言われた方が信じられるような、あまりにもスィーッて感じの横移動なんだけど!!
なに、向こうの俺ってばいつの間にか超能力にでも目覚めた感じ?空中浮遊とか覚えた感じなんですかー!?
……なんてツッコミは口から出てこない。
何せ必死で逃げてるからね!だって見てみろよあの形相!
あれ絶対捕まえたらお前を○すとか思ってる顔だよ!安全保障欠片もないやつだよ!!
そりゃ逃げるよね、脇目も振らずに逃げるよね!!結果としてさっき別れたはずのTASさん達とだって再会するよね!!
「!?お姉さんなんでここ(この間0.1秒)わかった撤退!てったーい!!」
「ええ!?」
「了解した!特に私は今会うべきじゃない!!」
「ええーっ!!?」
何を理解したのこの二人!?
再会して数秒も経たない内に、颯爽と踵を返す二人。
呆けている私と日本被れさんの首根っこをひっ掴んだMODさんは、そのまま発光しながら
その姿を小さなヘリコプターに変えると、私達二人を乗せて先んじて外に飛び出したTASさんの後を追い掛け始めたのだった。
……なんだこの怒涛の展開?!
「も、MODの変形は凄いデース……」
「はっはっはっ。普段ならもっと褒め称えてくれ、とでもいうパターンなんだけど……今回はそうも言ってられないな。再度変形するから振り落とされないようにしっかり捕まっててくれたまえ」
「はい?再度変形って何をぬおわ!?」
「戦闘機に変形しマシター!?」
何が何やら、と困惑する間に空へと飛び出した私達。
されどこれで逃げきった、なんて話があるわけもなく、そのままMODさんがさらに変形。
今度は二人乗れるスペースがある戦闘機になり、先程とは比べ物にならないような速度で移動を開始したのだけれど……。
「この速度についてくるか!向こうの君、どういう修行をしてたんだろうね!?」
「そんなこと私に言われても知りませんがー!?」
なんとまぁ、機内にあるバックミラーを覗いたところ、真後ろに張り付くようにして追走する向こうの俺の姿が。
……いや、戦闘機ってモノによってはマッハとか出るんですけど?
それについてくるとか少なくとも普通の人間じゃないな向こうの俺???
いやまぁ、TASさんから真面目に鍛えて貰えば、それくらいの実力になるのは不可能じゃないのかもしれないけども。
でもあれだ、我がことながらちょっとキモいぞそれ!
「縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺!!!」
「ひぃーっ!?キモいって言われてキレたぁ!?」
「かもねぇ?!……とはいえ、仮にTAS君が連れていったんじゃなく、自力で並走して来たのなら突き放すのは無理か……仕方ない、攻撃する!」
「へっ?」
「照準とか射撃タイミングとかは君に任せた!とにかくぶち当てて、向こうを撃墜してくれたまえ!」
「何言ってるのこの人!?」
え、私に俺を叩き落とせと仰っておられる?
この戦闘機の内蔵火器を使って?いやいやご冗談を。
確かにぬるりと空を飛ぶその姿はちょっとキモいし顔は怖いが、だからって撃ち落とされるほど悪い相手じゃ……いやモテ野郎だっけ
「ならば容赦せん!!くたばれ向こうの俺ー!!」
「ワァ一切の躊躇がないデース」
横から呆れたような棒読みのような日本被れさんの言葉が聞こえてくる?知らんな今は緊急事態だ!
ってなわけで、どういう原理かは知らんが背後に照準の合わせられる機銃やミサイルを、遠慮なしに向こうの俺に叩き込む私である。
お前みたいなモテ野郎はなー!!ヤンデレにでも遭遇して叩き落とされりゃいいんだよー!!
「(わざとやってるのかなこの人……)ぶつぶつ呟いてなくていいから、さっさと撃ち落として貰えるかな?燃料も弾薬も無限じゃないんだよ?」
「そうなの!?てっきりそういうのは制限無いのかと……」
「私をなんだと思ってるんだ。CHEAT君が同乗してるならともかく、私一人なら私一人のリソースしかないよ」
そうしてトリガーハッピーしていた私に、冷や水のように浴びせられるのはMODさんの「ちゃんとやれ」の言葉。
いやまぁ、向こうが叫びながらも意外としっかり避けるからさぁ……とは言えない雰囲気に、仕方がなしにもう少し集中することにした私である。
「ええい、ままよ!!」
「お、大命中デース!」
結果、動きを読んで撃ったミサイルは向こうの俺にクリーンヒット。
爆炎に包まれた彼は、そのままひゅるるると地面に向かって落ちていったのだった……。
……って、
「あれそのままだと俺死なねぇ!?」
「イヤ、ミサイル直撃の時点で即死デハ?」
「でも五体満足だったよ?!」
(じゃあ落ちても死なないんじゃないかなー)
普通に撃ち落としたけど、今の私達がいるのは雲の上。
……流石にここから落ちたら、向こうの俺の命は無いのでは?
死にそうな目に遭ったからといって、そのお返しに相手の命を奪いたいわけでもない私は、MODさんに言って半ば慌てながら落ちていく俺を追い掛け始めたのであった……。