はてさて、向こうの俺達による謎の襲撃からはや数日。
すっかり女性の体でいることに慣れきってしまった私だが、それに合わせるかのように周囲から向けられる視線もいつものそれに戻っていたのであった。
つまり私の姿が日常の一部になった、ということだな!
「そもそもの話、どんな姿でもお姉さんは残念だから……」
「おいこらそこ、暗に私がドジだとか言うのは止めないか?」
「それは単なる被害妄想。幾ら私でも直接的にドジだとまでは言ってない」
「その口ぶりだともはや明言しているようなモノだがー!?」
……うん、実際にはご覧の有り様である()
でもほら、よく言うじゃん転生とか
私の場合もまさにそれ、ゆえに転けたりするのは別に私がドン臭いからではなく、あくまでも身体機能の急激な変化についていけてないからで……。
え?そもそもお前の場合、こうしてTSすんのも都合四回目とかその辺りだろうって?
なのに相も変わらずドン臭いのは、単にお前が最初からドン臭いってだけの話だろうって?
「…………」
「お姉さんが拗ねてしまった。仕方がないから今日はお休み」
部屋の隅っこでいじけて体育座りをしているのは誰でしょう?はい、私です()
……いいもんいいもん。
別にドジとかドン臭くても構わないもーん。
こっちの姿だと成金君とかを代表に大抵の人がほんのり優しくなるから、生活するには困らないもーん。
……誰だ今『危なっかしい小動物を見ているようで放っておけないだけだろう』とか言った奴。
あのだなぁ、言っていいことと悪いことがあるってわかれよ!正論は人を傷付けるだけなんだぞ!?
「お姉さん、それは間違い」
「はぁ?!」
「正論は人を傷付ける。確かにそれは間違いないかもしれない。けれど人は傷付かなければ間違いに気付けない生き物。優しく諭されるだけでは、真にそれがダメな理由にはたどり着かない。その事を悟るには正論は必要。それはすなわち、自分ではなく他人のためのモノなの」
「滅茶苦茶まともに諭されたんだけどどうすれば!、」
「とりあえず笑っておけばいいんじゃありませんの(投げ槍)」
「うわぁ!?AUTOさんからの扱いが雑い!?」
なんでそんなに雑に扱われなければならないの!?
……え?似たようなやり取りをこの数日間、何度やったか数えてからモノを言ってくださいまし?
それはその……はい、すみませんでした……。
「……うん、姉ちゃんだろうが兄ちゃんだろうが、残念な人なのは変わらないよなー」
「その点で言えば、確かに女である時の方が見苦しさは減る、ってのは確かな話だな」
「……敢えて助言をするとすれば、そんな感じに見目のよさで大目に見て貰える、という経験に胡座をかいていると後々酷いことになりますよ」
「何?!新聞部君がなんか闇深そうなこと言い出したんだけどぉ!?止めてよ怖いんだけど!?」
「…………」<ニッコリ
「何その意味深な笑みは!?」
まぁそんなわけで、私の姿が変わろうが特に変化のない毎日()を過ごしていたわけなのです。
ところで話は変わって、視点を先程のTASさんが述べた台詞に合わせよう。
え?何処のことかわからない?そりゃあれだよあれあれ。
「今日は休み、などと勝手に決められても困る……と申しておけばいいでしょうか?」
「そうは言うけど、お姉さんを欠いた状態でこの人数を相手するのは無謀だと思う」
「それはまぁ、そうですが……」
うちの寮の食堂が調理部の部室としても利用されている、という話をしたことがあるのを覚えているだろうか?
普通ならある程度校舎から距離のあるこの場所をそんな風に利用しよう、なんて話にはならないのだが。
ここが寮であること・それゆえにこの寮の敷地は一応校舎の一部に含まれる……みたいなかなり強引な理論でその話は成立させられており、その延長線上で私が調理部の顧問を兼任することになっているのである。
結果、たまに放課後この食堂に調理部の子達が集まる形になっているのだけど……先程述べた通り私は拗ねてる最中。
そうなれば顧問が欠ける形となり、部長であるDMさんの一存だけでは部活を進められない……みたいな話になっているのである。
とはいえ、私はさっきから言っている通り
部活とか知ったこっちゃねぇ、って感じなのだけれど……。
「お兄さんとお姉さんを比較すると、お姉さんの方が若干童顔。多分そのせいで精神が幼くなってる」
「はぁー!?大人の女性ですがー!?大人の魅力?でみんなを悩殺できるんですがぁー!?」
(思いっきり思考が引っ張られていますわね……)
TASさんの売り言葉に、聞き捨てならねぇとばかりに立ち上がることとなったのでした。
……え?うまいこと転がされてないかって?
この判断は大人の女性たる私の自意識が最適だと判断して導きだした私主導の行動ですがー!?