うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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男主人公って大抵の場合理想の女性(?)

 はてさて、生意気な口を利くTASさんを黙らせるため、包丁を握ることになった私。

 見てろよお前ー、私の包丁捌きで度肝を抜いてやるからなー?

 

 

(……いつの間に料理勝負になったんですの?)

(そもそも勝負を買った覚えもない。多分無効試合)

「ごちゃごちゃうるせー!!とっととかかってこんかー!!」

「むぅ、ちゃっかり自分が得意なことで挑んで来てる辺りがこざかしい……」

「……もしカシテ、料理が苦手だったりするンデス?」

「得意ではない。そもそも基本的にお姉さんが率先してやってるし」

 

 

 なお、TASさんが滅茶苦茶渋ってるのは基本的に彼女の料理が独創的すぎるから、というところが大きい。

 いやまぁ、出来上がったものは普通に食べられるどころか、滅茶苦茶美味しかったりするんだけどね?

 問題があるとすれば、その作り方にあるというか……。

 

 

「ああ……確かに。料理というものはその調理過程も評価に含むもの。彼女の作り方があの時と変わらないのであれば、確かに得意ではないという言い方になるのも頷けますわね……」

「ん、なんだ君達は彼女の調理を見たことがあるのかい?」

「ええまぁ……鍋に何もかも放り込んで終わり、ですわ」

「……ん?」

「錬金鍋に何もかも放り込んで終わり、ですわ」

いやしれっと内容をバージョンアップするんじゃないよ!?

 

 

 TASさんが料理をする姿を見たことがある人物なんて、それこそ初期メンバーくらいのものだろう。

 基本的に料理は私の仕事として受け持っていたこともあり、次第にTASさんは料理をすることから離れていったのである。

 まぁ、やり方を一つしか知らない・覚える気がなかったからというのも大きな理由だろうが。

 

 そのやり方というのが、鍋という名の非公開領域に材料をぶち込むことによる錬金。

 おおよそ料理とは認めたくないような、そんな暴挙こそ彼女の調理方法なのだ。

 あと、一瞬『錬金』と聞いて成金君の耳がピクリと動いた気がしたが、それが料理だと聞いて興味を失ったみたいだ。

 ……よくよく考えたのちに『いやそれはおかしいぞ?』みたいな感じで別方向の興味を引いたみたいだけど。

 

 話を戻して。

 料理対決をするとなると、出来上がった料理だけでなくそれを調理する過程も含めて評価される、というのが普通だろう。

 そのため、彼女の調理法はとかく評判が悪いのである。

 何せ、食べ物じゃないようなモノまで放り込んだうえ、煮込んでいるはずなのに焼き料理が出てきたりするのだ。

 そんな得体の知れないもの食べられるか、という反応の方が普通というか?

 

 ……いやまぁ、何度も言うように美味しいんだけどね?

 当時彼女がよく作ってたモノだと、そこらの野草を纏めて放り込んだ結果出てくる『豚肉のソテー』とか、何がどうなればそうなるのかって部分に目を瞑れば店で出てくるようなクオリティだったし。

 

 

「野草から……」

「豚肉……?」

「名前と香り、それから属性辺りが重要」

「すごい、なにをいってるのかまったくりかいできない」

「ギャル子さんが驚愕のあまり語彙力が!?」

 

 

 ……うん、具体例一つあげるだけでこれなのだ。

 実際に目の前で調理をやられた日には、幾ら美味しいものを出そうともマイナス補正必至というか。

 

 つまりはそう、この勝負私の勝ちだということさ!あーはっはっはっ!!

 

 

 

´・A・

 

 

 

「なんで……どうして……」

「いつまでも 同じと思うな TASの技」<ドヤッ

「料理人もかくや、とばかりの手際と技でしたね……」

 

 

 勝利を確信したモノほど弱いものもない……(白目)

 

 はい、そんなわけでボロ負けしました。

 満場一致でTASさんの勝ち、完敗も完敗ぐうの音も出ない有り様でした。クソァッ!!

 

 

「いやおかしくねー!?幾らなんでもおかしくねー!?」

「気持ちはわからないでもないですわね……まるで誰かを模倣しているかの如き手際のよさでしたもの」

「今回はズルしてない。徹頭徹尾私の実力」<ドヤッ

「これが本当ってのが一番信じられないんだよなぁ……」

 

 

 しかもそれ、ぐうの音も出ない≒反論のしようがない、と述べたことからわかるように、なんと今回TASさんはTASしてないのである。

 ……何言ってるのかわかり辛いと思うので言い直すと、彼女の能力である未来視・そこに付随する『自身が視た未来に沿うように体を動かせる』補助機能を一切使ってなかったのだ。

 CHEATちゃんのお墨付きなので間違いない。……まぁ、確認した本人も『これ壊れてないよね?』みたいな感じで、計測器を確認してたのだけれど。

 

 ともかく、変な器具も奇抜な材料も使わず、与えられた食材や器具のみを使って行われた彼女の調理は、こっちが見ているだけでも洗練されたモノである、ということが理解できるようなレベルのもの。

 ゆえに、こちらとしても無様に呻くくらいしかできずにいたのであった。

 

 

「勝ったからお姉さんは部活頑張ってね」

「へーい……ところで手伝ってくれたりは」

「私は食べるの専門。今回みたいなのは特別」

「あっはい」

 

 

 なお、そこまで料理できるなら部活手伝って?

 ……というお願いは綺麗にスルーされた。やりたくないなら仕方ないね()

 

 

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