「くそー、まさかTASさんが料理できるようになっているとは……」
「いえまぁ、冷静に考えれば当たり前の話だと思いますけどね」
「なんと?」
ずる休みはできないかー、ということで改めて部活を始めた私達。
とはいえテンションがすぐに戻るかと言われるとそれはノー、ってなわけでぐちぐち文句を呟きながら材料を切っていたのだけれど……。
そんな私の愚痴に反応したDMさんが告げたのは、私が負けるのはある種当たり前である……みたいな台詞なのであった。
「彼女の
「え?ああうん、原理的にはそんな感じと聞いたけど」
「それはつまり、最適な動きだけを常に反復練習しているのと同じ。さすれば長く続ければ続けるだけ、動きはその身に染み付いているはずですよ?」
「……あ、あー、なるほど?」
なるほど、スポーツとかで理想的な動きをずっと反復練習しているのと同じ、だと。
例えそれが能力に動かされているだけ、というようなものであれ、長く続ければ動きは体に染み付くもの。
ゆえに、TASさんがいつの間にか能力抜きにしてもハイスペックになっていてもおかしくない、とDMさんは述べているのだった。
確かに、原理的にはおかしなところはない。
最善最適の動きを常に強要されていれば、必然それが身に染み付くことだろう。ただ……。
「……その場合、TASさんが密かに料理の練習をしてた、ってことになりません?」
「そうですね。幾ら長く続けていれば能力抜きにしても染み付く、と言ってもやったことのないモノは話が別でしょうし」
「ですよねー」
ふぅむ、なるほどあの『料理は食べる専門』って言ってたTASさんがねぇ。
……どういう風の吹き回しなのだろうか?
もしかして、自分で作った料理を食べさせたい相手がいるとか?……とかなんとか、DMさんと予想を出し合う私なのでありました。
(とかなんとか言われていますけど、実際のところどうなのですか?)
(お姉さんは大事なことを忘れてる)
(はい?)
(私の未来視は確定するまで外に影響のないもの。──つまり、練習期間がたったの一秒でも身に染み付けさせようと思えば幾らでもやれる)<ドヤッ
(……色々とツッコミたいところはございますが、一先ずは一つだけ。……それ、そこまでドヤることですの……?)
はてさて、そんなことがあった次の日。
今日も今日とてTASさんは元気にTAS中、私の方もいい加減この姿での作業等に慣れた頃合い……なのだけど。
「つらい」
「うぉっ!?どうなされた貴君!?」
現在私は教卓に突っ伏してる最中。
たまたま通り掛かった二人──成金君と新聞部君──の内、成金君の方が思わずとばかりに叫び声をあげたのだけれど……その理由は私の姿にこそあった。
だって、ねぇ?自分でもわかるくらいに体調不良なのだから、そりゃ顔にだって出てるでしょうというか?
多分可哀想なくらい青い顔してるんじゃないかな、今の私。
なお、心配して声を掛けてきてくれた成金君に対し、「止めときましょうよ」とか薄情なことを言ってるのは新聞部君の方。
彼は成金君の肩を叩きながら、今の私には関わるべきではない……的なことを繰り返し述べている。
けっ、知り合い甲斐ないやつだな!
「そうだぞ。確かに彼女は色々と残念だが、こうして青い顔をしているのは見過ごすべきではあるまい?」
「……あれ?おかしいな私心配されてるはずでは?」
……よくよく聞いたら成金君の方も心配の仕方があれだな?
そんな感じで思わずムッとした私だが、そんなこっちの状態には触れもせず、新聞部君は成金君を引っ張って少し遠い位置に避難。
そのまま、何事かを彼に忠告し始めたのであった。
(いいですか君。僕から言えることは一つです、『面倒なことになりたくなければここで引け』。どぅーゆーあんだすたーん?)
(なんだその似非英語は……よくわからんが、あれを放っておくのは人としてダメではないか?)
(それはそうですが、同時に餅は餅屋に任せるべきでもあるんですよ)
(……む?餅は餅屋?何の話だ?)
(そこからですか、いいですかあれはですね)
「あ、ちょうどいいところにAUTOさん」
「はい?なんでしょう貴方様……って、お顔が青いですけど」
「それに関してはどうでもいいから、あそこの二人を女体化して貰える?」
「はい?」
「「!?」」
「いや、成金君は心配してくれたけど、あっちは心配処か面倒臭いみたいな顔をして来たからさぁ」
「なるほど……なるほど」
(……あれはそういう行動をした理由はわかりますが、迂闊なのも事実なので仕方ありませんという顔ですね……(白目))
(イヤ待て勝手に納得するな!?どうして我らまで巻き込まれる流れに!?)
その態度がまんま『面倒臭い彼女への対応に苦慮する彼氏』的なものだったことがイラッとしたので、通り掛かったAUTOさんにあの二人も女の子にして貰うように頼む私なのであった。
お前らもこの地獄を味わえー!!