「だから止めておけと言ったんですよ……女性は一月に大体一度、暴君を越えた暴君になる可能性があるんですから……」
「何のことやらさっぱりだが、妾がやらかしたことは理解した」
「……oh、ファビュラス……」
はてさて、我が怒り(?)を思いしるがいい、とばかりにAUTOさんに頼んで二人を性転換させて貰った私なのですが。
……あかん、これは色々と早まったかもしれない、と思わず戦慄してしまったのです。
なんでかって?予想以上に美少女になっちゃったからだよ!
ともすればこの一瞬に人々の目を奪い、二度と男の姿に戻ってくれるなと大合唱が始まりそうなレベルなんだよ!
「えなにそれこわい」
「……わかります」
「わかるのか!?」
「ええまぁ……実家に居た時ふざけて巫女服着たら、家に居る間はずっと巫女服着る羽目になったことがありますので……」
「うわぁ」
やだ、新聞部ちゃんが燃え尽きてる……。
元々中性的……というより女顔である彼のことだ、その時はそれはもう酷いことになったのだろう……。
家を離れこっちの寮に入ったのも、もしかしたらそんな空気から逃げるためだったのかもしれない……()。
そんなわけなので、新聞部君がちゃんになった時似合うだろう、というのは事前予想できていた。
「となるとゃっぱり問題なのは成金君の方だょねぇー、クール系美人って意外と居なぃもんね」
「えっ」
「えっ」
「……ぇっ?」
それに対して成金君、もといさんの方。
こちらはこう、もっとなんか金髪ドリルとかそんな感じの見た目になるんじゃないかなー、と思っていたのだが。
お出しされたのはこれ、切れ長の瞳が見る人の動悸を早める、見てるだけで命が縮みそうな美人だったのだ。
……っていうか、なんで男性時より背が伸びてるの君?
「そのようなことは妾は預かり知らぬ。敢えて言うなら、そちらがそれを求めたのではないか、というところか」
「なんか話し方も微妙に違う……?!」
「話を聞かぬかたわけ」
新聞部ちゃんがかわいい系なら、こっちはカッコいい系。
そんな感想が思い浮かぶほど、彼女の見た目は完成しきっていたのであった。
なお、途中自称?クール系の人間が数名『私は?』みたいな顔をしていたが、正直成金さんと比べるのは失礼に当たる、と言われて虚無顔を晒していたのであった。
……うちの大半クールっぽく見せてポンコツのパターンばっかりだからね、仕方ないね。
「まだまだ辛いけど気は晴れたし、いい加減お仕事に戻るのだわ。そういうわけだから二人は手伝ってね」
「変身させただけに飽きたらずこき使うつもりですか?」
「その通りですけど?」
「……やぶ蛇だったかな」
しばらく二人の姿を堪能した後、彼女達を連れてお仕事をこなすことにした私。
具体的には書類の仕分けであり、生徒の身空である彼女達でも軽々こなせるようなかるーい()お仕事である。
「どう見ても『かるーい』などという言葉が正しいとは思えぬ量なのだが?」
「何を仰る成金さん。貴方なら金を操って手数を増やす、とかできるでなんですその阿呆なモノを見るような視線は」
「阿呆なモノを見ているからだが?」
「思ったより辛辣!?」
……実際のところ、作業の難しさに関しては間違っていない。
誰でもできる単純なモノであり、相手に求めることは基本労働力の確保くらいのもの。
一つ問題があるとすれば、それはその量が無茶苦茶多いということ。
私達がやって来たのはとある個室だが、そこに置いてある机という机のほぼ全てに書類が乗っている、と言われればその量についてもなんとなく実感が湧くのではないだろうか?
なお、それぞれの山の高さは
机の分底上げされているとはいえ、結構高いなこれ?
確か今度の会議だかなんだかで使うものだったはずだが、それを考えるとかなり分厚い冊子になりそうな予感である。
で、その量を三人で終わらせるのは、不可能ではないにしろ結構時間の掛かるものになることだろう。
ゆえに、金を操るという形で手数の増やせる成金さんなら余裕では、なんて思っていたのだけれど……。
「妾は昔の貴人でもなんでもないからな。八方を見て八方に的確な助言や行動を促すことなどできぬ。ゆえに、どれほど手が増えようと妾が処理できる書類の量は変わらぬ」
「ええ……普通そういう能力持ちって、大抵スパコン並みの頭脳を持っているモノじゃないんです?」
「それは誰しもそうであろう?特に記憶容量ならば並大抵のスパコンでは足りぬレベルが普通ぞ?」
「……遠回しに不可能って言うの止めません?」
いやまぁ、AIに任せられるのは単純作業・及びその組み合わせによってこなせるもののみ、みたいな話はあるけどさぁ?
だからって『大抵の人間はパソコンよりヤバいのがデフォだから、創作のヤバい奴らはさらにヤバい(ので真似などできない)』みたいなことを言うのはどうなのよ……。
思わず途方に暮れてしまった私だが、そのままボケッとしてても事態は好転しないので、仕方なく普通に書類を纏めることにしたのであった……。