うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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こういう時の新キャラは限られている

 はてさて、ストーカー?らしき気配を感じた日から早一週間。

 今日も今日とて女性のままの私だが、なんなら他二人も相変わらずその姿のままなのであった。なんでかって?

 

 

「一体どこ行ったんだろうね、あの二人」

「書き置きに『暫く空ける。心配しないで』って書いてあったから心配はしてないけど、ねぇ」

 

 

 隣でコントローラーを握るCHEATちゃんがぽつりと呟いた言葉に、私はその日のことを思い出しながらそう答える。

 ……そう、次の日に元の姿に戻るはずだった私達は、戻してくれる存在である二人が揃ってどこかへ行ってしまったため、なし崩し的にその姿のままで過ごすことを強いられていたのであった。

 

 え?そこら辺CHEATちゃんならなんとかできるんじゃないかって?

 

 

「私が戻すのはちょっと……盛大にバグり散らかしても知らないよ?」

「……参考までに聞きたいんだけど、仮にバグるとしてどんな感じにバグるんで?」

「一番あり得るのは『性別:なし』になるパターン?私があの二人と同じようなことをするってなるとチートを使うことになるわけだけど、コードの位置とかわかんないのに一発勝負しなきゃいけないから、正直何が起きるかなんて予想も付かないよ」

 

 

 それこそ、なしじゃなくて()()()()なんてパターンもあるかもだし……と、中々恐ろしいことを言ってくるCHEATちゃんである。

 ……うん、あの二人以外にやり方を覚えていない・知らないというのがここまで響いてくるとは。

 そんなわけで、CHEATちゃんに頼んで戻ろう……というのはリスクが強すぎるため、結果として無しになったのでしたとさ。

 

 で、こうして数日間こっちの姿のまま過ごしているわけだけど。

 その辺、私の方はわりと慣れたというか……特に違和感も無くなってきたというか。

 なので、こうして普通に日常を──今日は休みなのでゲームをして遊ぶなどの行動を普通に取っているわけである。

 

 それに対して、他二人の方だけど……。

 

 

「……落ち着かぬ!!」

「落ち着いて成金さん。怒鳴っても何も好転しないよ」

「そうはいうがだな、こう……とにかく落ち着かぬ!!」

「そっかぁ……」

 

 

 新聞部ちゃんの方は、意外と平気そうである。

 実家で女装させられてたとかなんとか言ってたけど、あの様子だとその時態度とかも姿に合ったものに改めるように、とか指摘されてたんじゃないかなー。

 そんなわけなので、細かい所作にも特に違和感はない。

 普通に巫女服()の美少女が一人居るだけである。

 

 対して、成金さんの方だけど。

 思わずファビュラス……などと形容したことからわかる通り、彼女の今の姿はまさに()()()と形容するのが相応しい見た目となっている。

 

 金髪というだけだとAUTOさんや日本被れさんと被っているが、見た目から受けるイメージはその二者とは別のもの。

 ……雰囲気だけならツンデレ感あるAUTOさん、片言日本語が似合うタイプの溌剌さを持つ日本被れさん。

 その二者に対し、現在の彼女はその二者のどちらとも被らないクール系の容姿。

 まさに人々の理想が形を持ったような姿だが、それゆえなのかどうにも(色んな意味で)()()()()ようで。

 

 

「…………」

「虫の居所が悪そうだな」

「こればっかりはなんとも、というところですねぇ」

 

 

 結果、四六時中しかめっ面をしているという状態になってしまっているのであった。

 ゆえに、現状二人の帰還を待ち望んでいるのは成金さん、ということになるわけだけど。

 

 

「二人揃って居なくなるってパターンが初めてだから、いつ頃戻ってくるかとか予想ができないんだよなぁ」

「確かに……というか、そもそもAUTOがどっか行く、ってのが珍しいんじゃないかな?」

 

 

 画面内の自キャラの動きを目で追いつつ、どうしたものかとため息を吐く私とCHEATちゃんである。

 

 TASさんが何処かへ行ってしまって姿が見えない……というのは頻繁に起こることなのでそう珍しくもないのだけれど。

 反対に、AUTOさんが地元を離れ何処かに行く……という事態はそう多くはない。

 仮に移動するにしても、うちの面々と一緒に出掛けるというのがほとんど。

 ゆえに、彼女だけが居ないパターンというのが滅多にないのである。

 ……いやまぁ、今回はTASさんと一緒にどっか行ってるっぽいわけだけど。

 

 ともかく、珍しいことであることは間違いなく、ゆえに前例がないので予想もできないのは確かな話。

 最悪数週間、ともすれば数ヶ月単位で居ない可能性もあるのかなぁ……なんて風に二人で話し合っていると。

 

 

「……ん?呼び鈴?」

「誰か来たってこと?」

「特に来客の予定は無かったと思うけどなぁ」

 

 

 寮の敷地に入るための門に設置された呼び鈴の鳴る音が、微かに耳に届いたことに気付いた私。

 CHEATちゃんは来客?と問い掛けてくるけど、仮にその予定があるのなら相手が来たことに気付き辛いこの部屋で遊んだりしてないよ、と返す。

 

 そうして首を捻りつつ、宿直室?的な部屋に向かい、そこに備え付けられたモニターを確認。

 そこに写っていた、門の前で待っているとおぼしき小さなシルエットに、思わず声をあげたのであった。

 

 

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