うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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すれ違いはどこまでも

「な、なんだよ……」

「いえ、今までの兄の交遊関係からすると、避けられそうな方がいらっしゃいましたので少し珍しく……失礼、見せ物のようなことを言ってしまいましたね、謝罪させていただきます」

「お、おう……」

 

 

 やだ、ROUTEさんがたじたじしてる……。

 でもまぁうん、敬語系キャラとしてはAUTOさんともDMさんとも違う空気感なので、それも仕方のない話なのかもしれない。

 その辺は妹側も似たような感じみたいだけど、とさっきの彼女の台詞から考察する私である。

 

 ……うん、確かに兄ちゃんヤンキーみたいな人と絡んでた覚えはねーなー。

 だからって『なるほど……心境の変化、ということなのでしょうか?』とか冷静に考察するのは止めて欲しいけど(吐血)

 

 

「……やはり何か問題が?先程から辛そうですが」

「いえいえ、そんなことはありませんよ?元気元気です」

「は、はぁ……」

(何言ってるのこの人、みたいな顔してるなぁ妹さん)

 

 

 ……はい、そんなわけでなし崩し的に妹を案内する羽目になった私です()

 寮長が居ないのだから副寮長が案内すべき、という至極当たり前の理論が適用された結果、というやつなのだが……あれかな、『私絶殺ゾーン』か何かかな?

 そんな世迷い言が脳裏を過るくらい、追い詰められつつある私です。

 

 いやだって、ねぇ?

 行く先々で『なるほど……』とか呟きつつ、皮肉めいた笑みを浮かべてるんですもの。

 一体君の中での兄はどれほどの俗物として扱われてるんです?……って不安で胸焼けしてきたわ。

 

 隣のCHEATちゃんには『考えすぎじゃない?』とかツッコまれたけど、あの笑みからして滅茶苦茶見下げ果ててるのは確定としか思えんのだよね。

 

 

……まぁ確かに、ダメな兄だなぁとか思ってそうな気はするけど

でしょー!?こりゃ絶対バレるわけにはいかんぞ……!

(……確かにあの表情はそうとしか見えないんだけど、なーんか引っ掛かるんだよねぇ)

 

 

 唸るCHEATちゃんを横目に、現在読書家ちゃんに話を聞いている妹にそっと視線を戻す私。

 ……当の妹はというと、髪の色が反転しただけのTASさんにしか見えない相手に、目を白黒させていた。

 言動もほぼTASさんなので、余計に困惑しているらしい。

 

 

「ええと……生き別れの妹、みたいな話ではないのですか?」

「そういうのじゃない。どっちかというとドッペルゲンガーの方」

「……はい?」

「世の中には自分に良く似た人間が三人はいる、という話」

「あ、ああ。なるほど、そういう……」

 

……そういえば気になってたんだけど

何?CHEATちゃん

妹さん、TASのこと知ってるみたいだけど……付き合いとかあったの?

あったというか、寧ろ失礼なことをしたとちょっと苦手にしてるというか……

失礼って……TAS相手に、ってこと?

そういうことー

 

 

 そうして話しているのを見て、CHEATちゃんが気になったことがあったのかこっちに耳打ちをしてくる。

 内容は、何やら妹が『TAS』と口に出す度、どことなく遠慮のようなものが見え隠れする……という点について。

 

 よく見ているなーと感心しつつ、その問いに答えた私。

 それは、『実際に遠慮……もとい配慮のようなモノがある』というもの。

 ……とはいってもそう大袈裟なことではない。人は見た目によらない、ということを身を以て知ったというだけの話である。

 

 

「……はい?身を以て?」

「そう。言葉にすれば単純なんだけど……初めて会った時に()()()()()()と勘違いしたんだよね、あの子」

「……ああ、なるほど」

 

 

 それがなんなのかと言えば、答えは彼女の見た目にこそある。

 ……うちの妹は本来のCHEATちゃんの学年と同じ、中学生に当たるのだが、当時小学校六年生だった妹は、初めて会ったTASさんのことを「同じ学年だ」と勘違いしたのである。

 

 当時……って言っても一年前の話なので、その時のTASさんは高校一年生だったわけだが……。

 うん、そりゃまぁ小学生・もしくはギリギリ中学生判定?くらいの相手に同い年扱いされれば、流石のTASさんも微妙な顔をすると言うもの。

 

 

「結果、こうしてあからさまに同い年なCHEATちゃんにも年齢を聞いてこない、と」

「ええ、そうですね。──ところで、そちらのお話。誰から窺ったのか確認しても?

「  」

(墓穴……とは、まだ言い辛いかなー)

 

 

 なのでTASさん本人については言うに及ばず、実際同い年くらいであるはずのCHEATちゃんに対しても、その時のことが脳裏を過るのか微妙に遠巻きにしてる雰囲気が出てしまっている……ということになるのでありましたとさ。

 

 なおこの話、妹本人がこれほど気にしていることからわかるように、他人には知らせないように……と強く厳命されていたりするのです()

 

 ……ええ、私と兄がイコールで無い内は、それが意味するところが『兄がぺらぺら喋った』にしかならないわけでですね?

 ますますバレるわけには行かなくなった、と思わず白目になる私と呆れたようにため息を吐くCHEATちゃんなのでしたとさ……。

 

 

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