「まぁ、お陰さまで余計な勘違いを解くことができたのは間違いありませんけど」
「あ、あははは……」
「だからといってあの
「あ、あははは……」
部屋に帰って寝たい(切実)
……いや、当初の懸念通りじゃないですか。これだとバレるの時間の問題じゃないですか。
もう何もかも擲って部屋で寝てたーい()
……そんな弱音が通るんならここまで苦労してない?そりゃごもっとも。
ってなわけで、引き続き妹の行脚に同行させられている私である。
現在位置は食堂、本来なら締め切っておくはずだったそれはご覧の通りそうする前に侵入されたため解放状態。
ともすれば地下の存在にすら気付かれかねず、内心ハラハラ状態の私です()
……いやまぁ、一応中から鍵を掛けられるようにしているのと、床下収納的なものと言いつつ上からだと一目じゃ入り口がわからないお陰で、早々バレないとは思うのだが。
隣で「フラグ……」とか呟いているCHEATちゃんは無視だ無視。
「なるほど、寮ですものね。こうして自分達で食事を作るスペースもあると。……料理は主に誰が?」
「基本的には私が。それと寮長様もお手伝い頂くことがありますね」
「ふむ……まぁ、兄の数少ない褒められる点ですからね、料理の腕は」
妹は一緒に移動してきたDMさんに、設備の説明を受けている。
この寮を作ったのが(実質)TASさんであることからわかるように、そこに設置されている道具は基本的に一流品。
そのため、一目見ただけだと『何に使うものなのかわからない』、みたいなことが意外と起きるのである。
何せ
「……え゛、そんなことになってるのここ?」
「CHEATちゃんは料理しないからわかんないだろうけど……決して暴発しない圧力鍋とか、結構意味不明なものが溢れてるからね」
わかりやすいのは今言った『暴発しない圧力鍋』。
本来圧力鍋というのは内部の蒸気圧を高め高温で調理するためのもの。
それゆえに食材に素早く火が通ったり、はたまた味が染み込みやすくなったり無水調理ができたりなど、とても便利な道具だといえる。
……言えるのだが、同時に高い圧力を扱う関係上、使い方を間違えると下手すると爆発する恐れなんかがあったりする、わりと危険な調理器具でもあったりする。
「しかしてこのTAS印の圧力鍋、特殊な方式により圧力の掛け方と逃がし方を工夫しているため、あっという間に高圧になる上にその圧力を安全かつ迅速に逃がすことも可能。時間の掛かる煮込み料理もあっという間にできあがるというほどの便利&安全な調理器具となっております」
「ほうほう、なるほどなるほど。……でもお高いんでしょう?」
「それがなんと、TASさんお手製のため価格は……こちら!」
「ナント、とってもお安いデース!」
「はっはっはっ。そうでしょうそうでしょう…………
「?」(状況が掴めていない顔)
まぁ、作ってるのがTASさんである以上、価格なんてあってないようなものなのだが。
……というようなことを解説していたら、いつの間にかギャラリーが一人増えてた件について。
その当人、日本被れさんは不思議そうな顔でこっちを見ていたのだけれど……。
「──初めまして、ですね。兄がいつもお世話になっています」
「?……あー、先生の妹さんデスねー。コチラこそお世話に……あ゛っ」
「はい?」
見知らぬ人がいる、と挨拶をしてきた妹に反応を返したところで、ようやく現状を理解した様子。
ぎぎぎ、と音がしてきそうなくらいにぎこちない動きで
「……そ、それデハお邪魔しまし「なるほど、下にも部屋?があるのですね」ミギャーッ!!?デスッ!?」
スーっ、と退散しようとしたのだけれど、そうは問屋が……もとい妹が
半開きになっていた地下への扉を力強く掴むことで日本被れさんの退避を阻止した妹は、そのまま彼女の横から自身の体を捩じ込むようにして内部を確認。
そこに広がる広大な地下空間を目の当たりにして、小さく頷いていたのであった。
「……おっと、日本被れさんもうお戻りです
「おやもう一人。初めまして、ここの寮長の妹ですが……ちょっとお話、お聞かせ願えますか?」
「 」
……ついでに、中に居たダミ子さんもあっさり見付かった。
さらには、こうして彼女が隠れていたのを見たことで、何やら変な勘違いをしているっぽいことも判明した()
あれだな、ぜっっったい私が兄だとバレちゃダメなヤツだな、最悪死ぬわ私()
目の前が真っ白になる感覚を味わいながら、下へと降りていく妹を見送るしかない私なのでありましたとさ……。