うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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慌てさせられたサンタクロース

「夏といえばサンタ」

「それは南半球での話じゃね?」

 

 

 いやまぁ、あくまで北と南では季節が反転する、という話なだけで、サンタがやってくるのは十二月、という原則は変わらないわけなのだが。

 なので、八月も半ば・蝉もよく鳴くこの炎天下、あんなくそ暑い格好の赤い人が目の前に現れる可能性というのは、少なくとも日本に居る間は全くないはずなのである。……はずだったのだが……。

 

 

「なんということでしょう。季節も時間も外しに外したサンタさんが、迷い込んでしまった一般家庭で困惑しきっているではありませんか」

「な、なんですか?ここはどこ?!」

「一応謝っておく。……弄る乱数間違えた」

「ねぇ?それ本当に間違い??実は『面白そう』みたいなゆるーい理由でわざとやってない???」

「…………」

「おいこら目を逸らすなぁ!!」

 

 

 はい。……はいで済んだら警察は要らないんだわ(豹変)。

 

 ともかく、この事態を引き起こしたのはTASさんである、ということは半ば確定。

 ……いやまぁ、九割犯人だとは思うのだが、もしかしたらCHEATちゃん辺りが練習中に変なコードを作ってしまった、みたいな可能性も一切ないわけでもないので、一応逃げ道を作っておく……みたいな感じである。多分使われない道だが。

 

 と、言うわけで。

 俺達はこの迷いサンタをどうにかせねばならない、ということになるのだけれど。

 

 

「……え、えーと、ハーイ!言葉は通じてる?」

「凄く……ダイナマイトです」

「はい?」

「とりあえず首を刈るけどいい?」

「刈ってから言う言葉じゃなウボァーッ!?」

 

 

 ……うん、これはソシャゲ系のサンタだな!

 と一目で確信できるくらい、色々とアレなサンタがそこに居たのであった。具体的にはミニスカサンタ。

 

 まぁ、そもそもサンタって一種の職業だし、女の子のサンタが居ても別に問題はないわけなんだけど。

 ちょっと前の俺の発言を思い出して貰えればわかると思うが、サンタって冬の風物詩なんだわ。寒いところに出てくるもんなんだわ。

 少なくとも、ミニスカなんぞ履いて務まるようなモノではないんだわ。

 

 

「そういう時は気合いガードか特殊能力のどっちかだよ、お兄さん」

「お洒落のためなら例え火の中水の中、ってやつ?……いや、そもそもサンタの本拠地ってグリーンランドぞ?夏でも気温が十度を越えないようなところぞ?気合いで耐えるにゃちと無理があるわ」

 

 

 TASさんの言葉に思わずナイナイ、と手を振る俺。

 簡単に言えば、スキー場で半袖とかスカートとか着ることができるか、みたいな話。

 いやまぁ、根性で着る人も中にはいるかもしれないが、それは恐らく着飾ることに命を賭けているような人々だけのこと。

 普通の人は、恐らくファッションはファッションでも『雪山で映えるファッション』とか、そういう方向に軌道修正を図るはずである。

 

 で、目の前の相手はサンタクロース。

 雑に言ってしまえば『制服がある』タイプの職業の人である。

 そこにファッションを持ち込むのは、正直な話就業態度に問題がある、という風に解釈されてもおかしくないわけで。

 

 

「つまり、彼女のこの姿は誰かに強要されたものだったんだよ!」

「理論が飛躍しすぎててウケる」

 

 

 TASさん提案の理由で言うのなら、後者の方。

 なにかしら特殊なパゥワーによって、ミニスカ履いてても特に問題なく動けるようになっている。

 そしてその理由は、恐らく誰かに望まれたからだ……的なことを述べれば、彼女は全く笑ってない顔でウケる、などと口走っていたのだった。……ええと、これはどっちだ……?

 

 

 

・∀・

 

 

 

「で、話を戻すのだけど」

 

 

 なにやってんだろうこの人達、みたいなサンタからの眼差しを受けつつ、一つ咳払いをする俺。

 ……さっきのTASさんはわりとマジでウケてたらしく、ちょっと今使い物にならなくなっているので放置しているが……いや、こちらに背を向けた状態でも、肩が震えているのがわかるってどんだけウケてるんです……?

 

 そんなに変な推論だったかなぁ?と首を傾げつつ、いい加減現実逃避しても仕方ない、とサンタに向き合い声を掛けた、というのがさっきまでの流れなわけだけど……いや、マジでどうしようかこれ?

 

 

「多分無とかアドレス偽装とかで、変なところのオブジェクトを引き寄せちゃったってことなんだろうけど……TASさん、送り返しとかできる?」

「できなくもないかもしれないけれど、こっちに確かめる手段がないから成功したかどうかは不明」

「だよなぁ」

 

 

 先ほども言った通り、恐らくはTASさんのミスによって引き起こされたと思われる、突然のサンタ出現。

 とはいえ、ここにはこちらが知るだけで変なことできる人が他に三人、まだ見ぬ能力者のことも考慮すれば、この事態が単純なTASさんのミスによるもの、と断言するにはちと無理がある。

 

 何故かと言えば、移動距離が遠すぎるのだ。

 恐らく、今回の事態を引き起こした主要因は『取り寄せ』とか『口寄せ』とか呼ばれるもの。これは、ステージ内にある物品を取り寄せる、といったような技である。

 

 ……この場合のステージとは、特に拡張されていなければ一つの市町村とか、そのくらいのモノであり。

 仮に広げたとしても、中継点などを用いなければ国一つが精々、ということになる……と、TASさんが言っていた。

 つまり、日本とグリーンランドだと、距離が遠すぎるのである。なので、単純な口寄せでこのサンタを呼び寄せるのは無理がある、ということになるのだ。

 

 まぁ無論、色々と裏技はあるらしく、やろうと思えば単独でできなくもない……みたいなことも彼女は言っていたわけだが。……今回に関しては『そのつもりはなかった』とも言っていたわけで。

 

 なので、単純にやったことを逆にしてみれば戻せる、とは言えないのだ。……まぁ、TASさんの言う通り、手元に引き寄せるのはまだしも、こちらの観測外に送るのは少々無謀が過ぎる、ということにもなるのだが。

 

 だって、例え相手が※データのうみのなかにいる※状態になったとしても、()()()()()()()()()()()()()()()という事実しかこちらは観測できないのだから。

 

 

「……出してください!ここから出して!!」

「はっはっはっ。大丈夫、TASさんの対処法だよ?」

「そこはかとなく不安を煽る言い方やめて!?」

 

 

 なお、そんなことを目の前で言われたせいか、目に見えてサンタさんが慌て始めたけど問題はありません。多分。

 

 

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